事業の目的
全国から集まった小中学生18名が1年間の協働生活で学ぶ
1年間仲間と暮らしたいという、全国から集まった小中学生18名が、泰阜村にある大きな家「だいだらぼっち」で共同生活を送りながら泰阜村の小中学校に通うプログラム。毎日のご飯づくりや掃除、洗濯はもちろん、風呂を薪で焚き、その薪を山から持ってくることや、田んぼや畑で食料を育てたり、鶏を飼ったりと、仲間と協力して手に届く範囲の自給自足的暮らしをしています。1年間の暮らしのルールやスケジュール、トラブルも全て一人一票の話し合いで決めていきます。生き方もコミュニケーションも正解が用意されていると感じてしまう社会の中で、否応にもできない自然の中、異年齢の仲間、地域の文化や住民など、様々な考え方や生き方に触れながら暮らす体験を通じて、生きるための知恵や他人と協働すること、認め合うこと、そして自らの価値観を育てていきます。
これまでの事業成果
事業開始から35年目。延べ550名のこどもが参加し、創設時の参加者は40代後半となっています。村の小中学校に通うことで、過疎が進む山村のこどもの数を増やすという大きな役割を果たしているが、それだけではありません。
だいだらぼっちのこどもたちは、村の放棄農地を使って田んぼを行っています。荒廃する山村の担い手となっているのです。また田んぼの育て方がわからないこどもたちに、村のおじいま、おばあまは丁寧に教えてくれると、「お年寄りってかっこいい!」という年配者への尊敬を育てる一方、村民の役割や誇りを育てることにつながっています。
だいだらぼっちだけでなく、泰阜村がこどもや預ける保護者にとっては第二のふるさととなっています。応援団として村の広報をしてくれたり、何かがあれば駆け付けてくれる存在です。現在では卒業生がIターンとして村に移り住む事例も増えつつあります。
だいだらぼっちの教育は特殊です。村の自然を生かして暮らす。例えば薪は山から運び出し、薪を割っていく。そんな暮らしは、こどもの体力を育てることはもちろん、仲間との協力や自然の偉大さ、昔の人たちの知恵を学ぶ、生きた学校になっているのです。
そんな教育手法は今やだいだらぼっちに限らず、村のこどもたちへも伝わりつつあります。
現村長は「今やなくてはならない存在」と語ります。村の文化に溶け込み、村を育てる大事な役割を担う存在となっています。