退院から新たな一歩へ——Dくんの「自立」への挑戦と、広がる支援の輪
2025/10/10 20:24

🌿 退院から始まる新しい生活
東京に来て間もなく、思いもよらぬ1ヶ月の入院を経験したDくん。
長い入院生活を経て、ようやく退院を迎えたときの彼の表情には、以前よりもずっと落ち着いた強さがありました。
退院後はシェアハウスでの生活がスタート。
最低限の荷物だけでの新生活でしたが、入院中に多くのことを考えたのでしょう。
以前よりも地に足のついた彼の姿に、私たちは確かな成長を感じました。
この夏は体調の回復と暑さに慣れるのに時間がかかりましたが、周囲の支援者や病院と連携しながら少しずつ生活を立て直し、
10月にはいよいよ「一人暮らし」への準備が始まりました。
今、Dくんは再び“自立”の一歩を踏み出そうとしています。
🌱 チームで支える支援へ
これまで私たちだけで支えてきたDくんですが、
今では病院や他の支援者の方々とも連携し、「チーム」で彼を支えられるようになりました。
少しずつ「信頼できる大人の輪」が広がり始めています。
児童養護施設で育った若者たちは、社会に出てから初めて知ることが本当に多いのです。
ポストを毎日チェックすること、役所への電話の仕方、届出の義務に関して…。
そうした“当たり前”は、親に着いていきながら、家で一緒に暮らしながら自然に身につけられるものなのかもしれません。
病院にいっても、職員の人がやってくれる状況が多く、教わる機会がないまま大人になっている子もいます。
大きくなってしまってからだと、できないことを知られることへの恐怖や、人との関わりへの不安を抱えてしまう子が多くいます。
だからこそ、私たちはそばで一緒に考えながら、体験を共にしながら学べる時間を作っています。
センターで一緒にご飯を作るために買い物から一緒にいったり、新しい住処で安心できない時には、安心できる人がいるセンターで昼寝をして、
ぐっすり眠れることを体験したり…
私たちは、我々がすべてて助けをしてやってしまうのではなく、「自分の生活は自分のもの」という感覚を持ちながらも、わからないときは聞ける、
心のケアも自分でできるように一緒にしていく「休める場所」があることを感じてほしいと願っています。
☀️ つながり続けることが力になる
望まない妊娠、20代での子育て、シングルマザーや、20歳になったばかりで一人暮らしを始めた子など、
それぞれの地域で新しい生活を始めた若者たちは私たちと連絡を取り続けてくれています。
養護施設でのセラプレイの時間を思い出してくれて、卒業してからすぐに連絡をくれる子も。
「急に一人が怖くなったとき」「夜中に涙が出ちゃったとき」「ちょっと話を聞いてほしい」と思ったときに気軽に連絡できる関係。
それが“困ってからのSOS”を防ぐ大切な土台になります。
日々の何気ないやり取りを通して、
「人を信じること」「自分を信じること」「助けを求める勇気」を育てています。
話し方も少しずつ上達し、トラブルの対処にも落ち着きが見られるようになりました。
🏡 帰れる場所があるということ
私たちは「居場所を作る」のではなく、
「子どもたち自身が作った居場所を支え続ける」ことを大切にしています。
私は、あなたのことが大好きでいつも離れていても大切に思っていることを心で信じていてほしい。
そう思っています。美味しいご飯を食べて、ゆっくり眠って、また頑張ろうと思える場所。
そんな“実家のような場”があることで、若者たちは安心して挑戦できるようになります。
🤝 皆さまへのお願い
Dくんをはじめ、施設出身の若者たちが社会の中で安心して暮らしていくには、
時間と継続的なサポートが欠かせません。私たちは、居場所を作るのではなくそのとき必要な時に動ける人で
あることが、自立をしたいと思っている子たちを支えると思っています。私たちの本業の時間もそちらに費やす時間も
私たちにとっては、命を守る大切な時間です。
この夏、私たちはチャリティーバザーを開催し、活動資金を集めました。
しかし、居場所の維持や生活支援を続けるためには、まだまだ支援が必要です。
若者たちが安心して立ち寄れる「第二の家」を守るために、
どうか皆さまのお力をお貸しください。
📦 ご支援の方法
・生活用品・食品などの物品寄付
・Syncableからの寄付による活動支援
🌸 若者たちが安心して未来を描けるように——
あなたの応援が、今日も誰かの希望になります。
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