事業の目的
北海道沿岸に漂着した鯨類の情報を収集,また可能な限り出動して標本を収集します。得られた情報,標本は学術研究のために活用します。標本は無条件で日本全国の研究機関に配分し,鯨類と人間との共存,生物多様性の保全に資する研究に役立てます。
これまでの活動
2007年にストランディングネットワーク北海道が任意団体として設立されて以来,2022年までに1107件,1220頭の報告を受けており,年平均69件,76頭となります。近年は,これらの報告の全件で種判定に用いることのできる写真を入手,約半数で標本を取得しています。これらは,全国15研究機関(国立科学博物館,愛媛大生物環境試料バンク(es-BANK),日本鯨類研究所,北海道大学,帯広畜産大学,東京農業大学等)に,無条件で譲渡し,鯨類研究に寄与してきました。
これまでの事業成果
SNHの情報と標本をもとに,すでに48報を超える学術論文,6本の博士学位論文,127件を超える学会発表が行われており,日本における鯨類研究の標本提供基盤となっています。中でも,新種クロツチクジラについては,2008年にストランディングネットワーク北海道が標本をはじめて確保したのがきっかけで研究がはじまり,その後得られた6個体の標本を含めて分析し,2019年にNature誌の発行する電子科学雑誌 Scientific Reportsにて新種として発表,全世界3000以上の報道機関で報じられました。
事業の必要経費
年間70件の情報を収集し,約半数について出動します。
・漂着鯨類調査旅費(1件につき平均5万円,年間約150万円を要します)
・漂着鯨類調査消耗品費(1件につき平均7000円,年間20万円を要します)