事業の目的
答えや正解のない「創造学習」
これまで不定期に実施していた体験の時間を、2023年度から毎週の授業時間割に組み込み、「創造学習」タイムとしてスタートしました。毎週、塾生全員が2-3コマの教科学習に加えて、1コマの創造学習に参加しています。
なぜ毎週やろうと思ったのか。
- アウトプットに慣れよう!
もちろん教科学習は生徒たちにとって必要だからやっているのですが、基本的にはインプットの学習です。彼らの学習の様子を見ていて気になったのは「アウトプット」がうまくないことでした。自分で何かを表現することに慣れていないうえに、恥をかかないようにじっとしていることが多いように見えました。
もっと自分を表現して良いし、間違ったっていい。そもそも答えなんてないものもたくさんある。毎週やっていると、自分の意見を言うことも恥ずかしくなくなってきたりします。
- 体験貯金箱に貯金しよう!
それから、さまざまな体験や見たこと&聞いたことあるものを増やしてほしい、という思いもありました。体験したことや見聞きしたこと全てを、人生や進路に役立ててほしいとは、思っていません。子ども時代にした経験や見聞きしたことの中から、自分が興味のあるものが発見できればそれは嬉しいことですが、そうならなくても、なんとなくいろんな大人と時間を共有して、ふうん、こんな大人もいるんだな、と思うのも、また良い経験です。
子どもはみんな体験貯金箱を持っていると思っています。そこに貯金されている体験は、外からはどれくらいたまっているのか見えませんし、どんなものがたまっているのかもわかりません。でも、それがいっぱいになったとき、さまざまな形となってあふれ出してくるのです。
そんな思いを込めて、毎週の創造学習では、ちょっとしたゲームから生活の中にある科学、世の中のしくみのお話、外国人との英語体験学習など、いろんなプログラムを考えて実施しています。
地元の大人が地元の子どもの体験を作る「さがみっこ学び応援隊」の活動
生徒たちに、私たち運営側が企画する「創造学習」以外にも、さまざまなジャンルの体験をしてほしい。それを実現するため、2022年、地元の企業が子どもたちに体験活動を提供する「さがみっこ学び応援隊」を創設しました。
https://sdgs.city.sagamihara.kanagawa.jp/partners_project/sagamicco/
- 活動のキモは「地元」
地元の大人が地元の子どもたちを応援し、地元の産業を知ってもらう。子どもたちから見れば、地元が自分を応援してくれるってなんか嬉しい。相模原っていいなあ=地元愛が生まれます。そして地元の企業を彼らの将来の進路として考えてくれるかもしれません。企業からみれば、地元に貢献できる機会が生まれ、CSR活動のアピールもできます。子どもたちの喜ぶ顔を見ることで幸せになれ、仕事にハリが出ますね。そして地元の若者の育成を考えていく基盤ができていけば、と考えています。
- 現在、地元の15企業&団体が参画しています!
コロナの時期を経て、実際に活動が始まったのは2023年度から。これまでに①SC相模原/サッカーから広がるさまざまな仕事、②北里環境科学センター/分析ラボの見学、③富士ホールディングズ/オリンピアンとの交流、④相模原eスポーツ協会/eスポーツの紹介と体験 と、出前授業形式から体験や施設への社会見学など、さまざまな講座や体験メニューを提供してくださっています。
学びの宝庫になっている体験
自分たちで提供できない体験は、外のさまざまな人たちや団体・企業に依頼しています。
これまでに、古典芸能鑑賞、エシカル消費のお話、子どもが知らない職業の紹介、プロのパティシエとケーキ作り、外国人ボランティアたちとの英語交流、聾者との交流&手話体験、SC相模原サッカー観戦、JAXA相模原キャンパス見学、などを実施してきました。企画する側は、手間もお金もかかりますが、体験企画は、大人も子どももみんなが楽しめて学べるので、さがみっこ学び応援隊とともに、続けていきます。ときどき、子どもたちの方が詳しくて、大人が学ばせてもらうことも。お互いに学び合える機会になることが良いのです。
相模原みのり塾は無料学習塾です。勉強ができるようになりたいと思う生徒たちが通います。生徒たちにとって勉強とはもちろん学校の勉強のことなのですが、学校の勉強ができるようになることのベース=土台には、実は体験活動がとても大切で欠かせないんだ、と実感しています。知識の豊かさは、ただ覚えるだけではだめで、やはり見て触って体験するからこそ、実感を伴い、その知識がその人に沁み込んでいくのです。
そして、さまざまな体験で得られる感性が、子どもたちの人生を豊かにしていく。そう信じて、この活動を続けています。