私たちの取り組む課題
当庭園は〈丸亀市指定〉の文化財ですが、庭園特有の課題として、下記のような点があります。
- 庭は「生き物」なので、手入れを止めることができない
- 監理には莫大な費用がかかるが、入園料等収入により必要な経費を賄えず、持続可能性に欠ける
- 定期的な修景や、園内にある茶亭の屋根葺替等の際には、大型投資が必要
- 庭師の「属人的な」技術と知恵に頼るところが大きい。(長年見続けてきた勘と技術によって支えられている)
私たちは、このような文化財庭園ならではの課題に向き合いながら、庭園の保全と、地域の文化振興のために必要な事業を展開しています。
なぜこの課題に取り組むか
これらの課題ゆえに、現在でも姿を消しつつある大名庭園ですが、古くから市民の皆さまに親しまれ、大切に受け継がれてきたこの場所には、地域にとって大切な歴史や思い出が残されています。
そして、庭園は設計図や写真、3Dデータなどで保存することが難しく、再現性もありません。
過去には何度も荒廃したことのあるこの庭園ですが、良い立地に位置する場所だけに、万一もう一度荒廃することがあれば、次は『開発』という道を辿らざるを得ないでしょう。
そのようなことから、いったん失われれば二度とは取り戻せない日本の美意識や思想、造園技術などを守るために、下記の活動を行っています。
〇大名庭園の維持保全(日常の維持管理)
日常的な剪定や、観光地としてお客様をお迎えするための毎日の掃除を行っています。
〇庭園の魅力を伝える活動
庭園の見所や手入れの工夫などを分かりやすくお伝えしています。※ボランティアガイドの依頼可能
〇美術館事業
中西讃唯一の様々なジャンルのアートを展示する美術館として、著名なアーティストだけでなく、地元作家の活躍発表の場としても使用されています。
〇強剪定・大規模修景(有識者の関与による)
有識者の指導の下、必要な場合に、景観を維持するために必要な大規模修景を実施します。
〇価値の再発見、地域へのPR
庭園の成り立ちや歴史を調査し、その成果について情報発信を行っています。
〇子どもたちに魅力を伝える事業
子ども向けの茶道教室、写生大会、無料の野外映画上映会など、子どもたちが庭園に親しむための事業を行っています。
〇人生に寄り添う「もてなしの場」として
顔合わせ、前撮り、結婚式、法事、同窓会など、市民皆様の節目の場としてご活用いただいています。
〇日本文化を学ぶ研修の場として
外国人インターン生の日本文化体験の場や、企業研修の場として活用されています。
※写真は荒廃していた頃の写真
寄付金の使い道
御寄付いただいたものは、全て庭園の維持保全に使われます。
当園は、樹齢300年超の古木ばかりで構成されており、とりわけ松の名木(大傘松など。全国にも類を見ない松です)などを枯らすことなく維持するには、木1本1本を個性やコンディションを知り尽くした庭師の存在が欠かせません。そのため、庭師を常駐で雇用しており、主にその報酬・法定福利費等に使用させていただきます。