事業の目的
主な目的は、【生態系の保護】【環境保全】【公共の利益の向上】【社会的責任の履行】の4点です。海中のゴミを放置しておくと、そこに住む海洋生物に危害を及ぼし、ひいては海の生態系に悪影響を及ぼします。また、海岸に流れ着いたり水面に浮かんでいたりすることで景観も損ないます。水中清掃を行うことで、海の魅力をさらに高め、生態系を保護し、社会貢献活動として街全体の価値をあげることに繋がります。
<メディア>
東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/332469?rct=sizuoka
PADI
https://blog.padi.com/jp/izuhanto-isshuu-umitonihonproject_2024/
YouTube
【生態系の保護】
海中のゴミが生態系に与える悪影響を軽減し、海洋生物や海洋環境を保護すること。ゴミが海洋生物に絡まったり、飲み込まれたりすることで生態系が破壊されることがあるため。
【環境保全】
海洋環境の美しさや清潔さを維持し、海洋生物の生息地を保全すること。水中清掃は、海中のゴミや汚染物質を取り除き、海洋環境を清浄に保つ役割を果たす。
【公共の利益の向上】
水中清掃によって、地域や水産物の魅力を向上させること。海洋や海岸における清潔さは、観光地やマリンレジャー施設の魅力を高め、漁業や観光産業経済の発展に貢献する。
【社会的責任の履行】
企業や組織が社会的責任を果たす一環として、地域や環境に対する配慮を示すこと。
これまでの活動
第一回目@沼津市静浦
<概要>
今回第一回目となる水中清掃を実施したのは、2024年6月沼津市の静浦漁港(静浦マリーナ)の湾内。一度も水中清掃をしたことがないこの場所には、下見(2024年1月~3月)の段階で色々なものが落ちていることを確認。作業潜水に長けている熟練のスクーバダイバーを募り、有償のボランティアとして水中作業を実施してもらった。ヘドロに埋まっていたゴミも多く、実際には下見の予想をはるかに上回る量のゴミが引き上げられた。
<回収したゴミの量>
1トン以上(2.5立米分のコンテナが満タン)
<内容>
便器、バッテリー、パイプ、ホース、バイク、鉄くず、空き缶、ペットボトル、トタン破片、陶器、釣り具、タイヤ、船のエンジン、船のスクリュー、ワイヤー、車のフレーム、電池、ハサミ、ホース、ガラス瓶、プラスチックケース、アルミ、衣服、バッグ、ビニール破片など
岸から離れたところにはゴミがさほど落ちていなかったことから、岸壁沿いから意図的に不法投棄をしたものと推測。廃棄の際に有料となる物が多く、個人、産廃業者、窃盗犯などが捨てたと思われる。特に、便器などは有料でも行政が引き取らない地域が多く、処分に困った個人が捨てた便器やトイレのタンクを山林でも見かける。加えて、静浦漁港・マリーナ付近は釣りの人気スポットとなっており、釣り具が絡まった状態のパイプや釣り竿も多く見つかった。
<潜水作業詳細>
海の作業ダイバー6名と撮影係1名が入水。2チーム(1名水面、2名水中)に分け、水面係は水中と陸との連携や指示を担当。漁船の往来もあるため、フロートにダイバーが作業中であることを知らせるA旗と注意喚起の旗を用意。
使用道具
・A旗のついたフロート
・メッシュバッグ(フロートの下に伸びるロープに固定)
・陸から引き上げる用のロープ
・リフトバッグ(重い物を水底から水面へ引き上げる用)
・フォークリフト(陸へロープで持ち上げられない重さや形状の物用)
<保険>
あいおいニッセイ同和損害保険(傷害:潜水作業あり、潜水作業無し両方)
<安全管理>
(1)事故発生時にはマリーナの「事故発生時の連絡網」に従って対応する。
海上保安庁:118 消防:119 警察:110
近隣の病院:マリーナの事故発生時の連絡網に従う
軽症の場合:マリーナの事故発生時の連絡網に従う
重症の場合:マリーナの事故発生時の連絡網に従う
(2)水中・水面のダイバーと船舶の接触を最も避けなければいけないので、1チーム毎に水面での安全管理ダイバーが水面で国際信号旗A旗を取り付けたフロートかブイを保持して、その下をダイバーが潜るようにする
<ゴミの処理>
静浦漁協へ一時保管したのち県が引き取った
<メディア>
東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/332469?rct=sizuoka
PADI
https://blog.padi.com/jp/izuhanto-isshuu-umitonihonproject_2024/
YouTube
これまでの事業成果
<目的に対しての感想>
今回の目的は水中清掃が主だが、同時に清掃をする人へ報酬を支払う「有償のボランティア」として作業をしてもらうことでもあった。ボランティアが無償だとの前提を崩すことで、無償のボランティアの「不安定なやる気」に頼る必要がなくなると考えてのことである。散乱ゴミや不法投棄を無くして行くと共に個人が出すゴミの量を減らし、ゴミ拾いをしなくても良い世の中になることがゴールではあるものの、それでもまずは「有償のボランティア」の実現にひとつ理想のゴミ拾いに近づいたと感じた。
今回は、日本財団をはじめとする各団体の助成金と個人や企業からの協賛金で、ダイバーや撮影係への支払い、保険代やシリンダー代、運営側の交通費等も算出することができた。また、軽食や昼食、お土産の提供も協賛で可能となり、作業をしてくれた皆へ予想以上にお返しをすることができた。しかし規則上、運営側の人件費などへは助成金を使用することはまだ難しく、運営(MORE企画)自体の持続可能な形を見出していかなければいけない。支払いをするためには助成金や寄付金が多額に必要であるのと同時に、いかに経費を削減できるかがカギとなる。今回のように、周辺地域を巻き込み、協力者を一人でも多く増やすことは、一見すると難儀だがゴールへの最短ルートだと考えている。
<技術に対しての感想>
今回のように過酷な環境で、危険が伴う水中清掃はプロダイバーの中でも更に特殊な経験や技術が必要となる。今回は、運営側がすでにその腕前を把握しているダイバーたちに直接声をかけたのもそのためだ。これらの技術は一昼夜で取得できるものではなく、また特殊な訓練が必要とされるため「インストラクター」と名がついているからと言って持ち合わせているものではない。何度か回数を重ねて運営側にもノウハウがある程度培われてきたら、彼らの技術を次世代へ継承していくためにも、各チームに経験の浅いプロダイバーを配置するのも検討したい。そうすれば私たちの企画が単に水中を綺麗にすることだけではなく、特殊な技術を持ったダイバーの育成をもできる場になるのではないだろうか。
<まとめ>
周辺地域や行政を巻き込み、ダイバー同士のつながりを強化し、他業種間の交流にもなる。そのような業種や業界、職種や立場を超えた、人と人との繋がりが生まれ、更にそれが自分たちの自然環境を守っていくことに繋がるのであれば、こんなに嬉しいことはないと思った。改善点はあるものの、現時点で出来る最大の準備と手配は計画通り実行できたので一安心である。しかし、ゴミ問題は想像を超えて危機的状況にある。すでに複数の港やマリーナから依頼をいただいているため、次回の開催へ向けて早急に日程や下見の調整をしていく。
事業の必要経費
以下は一例です。
- 謝礼金 20,000円×プロダイバー人数分
- 傷害保険 3,000円×人数分
- タンク代 1,500円×人数分
- 飲食代 20,000円 14名分
- 運営交通費/下見経費 50,000円
- ゴミ処理費 50,000円~量による(行政引き取り不可の場合
上記の金額をベースとし、今回は合計20万円ほどの経費がかかりました。
※今回は、別途協賛品をいただいたり助成金の獲得に成功(協賛・助成金は不確定要素が大きい)