私たちの取り組む課題
家庭環境の多様化による子どもたちの学習環境の格差
なぜこの課題に取り組むか
平成30年に厚生労働省が発表した「2019年 国民生活基礎調査」によると、日本の子どもの相対的貧困率は約13%にも及び、およそ7人に1人が貧困であるとの事実が明るみになりました。OECD加盟国の中でも二番目に高い水準となっている相対的貧困が、インフラが充実したこの日本で起こっていることに、危機感を抱いています。
この状況が続けば、所得の差によって学力や社会的地位に大きな格差が起こるのは時間の問題です。そしてこの状況は、私たちの手の届く距離、地域の中でも例外なく起こっています。
私たちはこれまで地域の中で活動し、地域住民と交流を持つ中で、家庭環境の多様化により子どもたちの学習環境の格差が顕著に起こっていることを知りました。
令和の現代において、衣食住をはじめとする生活の最低水準が底上げされている中で、私たち一般住民が子どもの貧困について肌感覚を持って知ることが極めて難しくなっています。地域の中を歩く子どもたちは皆一様に純真な眼差しで生き生きと往来しています。しかし、前段に述べたように、子どもの相対的貧困率から考えれば、7人に1人つまり学校のひとクラスに4〜5名もの子どもたちが学習環境に恵まれていない、あるいはそれに準ずる環境にあるといえます。私たち大人をはじめ多くの地域住民がこの状況を承知していないというのが事実です。
先進国の日本において、さまざまな行政サービスが充実しているのにも関わらず、このような状況、いわゆる「行政福祉サービスのラストワンマイル」に手が届いていない家庭が多くある状況になっていることに、非常な懸念を抱かざるを得ません。
地域住民の日常生活に根ざした支援体制が急務な中で、私たちのような「地域の中にいる大人」が少しずつでも力と知恵を出し合って、子どもたちを育むことができれば、現状における学習環境格差の是正に対して貢献できると確信しております。
そしてその先に、「地域で地域の子どもを育てる」マインド自体が醸成され、子どもたちの個性が、安心した環境の中で生きていけるようになることを常に目指し続けたいと考えています。
また、今後子どもたちが生きていく社会の中で不可欠であるデジタル・ITの進化に対しても、私たちは活動開始以降一貫してさまざまな情報技術の活用を続けてまいりました。こうした側面からも、従来の学習支援だけでなくITを最大限に活用した学習体制の構築やイベントの開催などを行ってまいります。
社会構造、経済活動は時代の流れとともに変化していきます。それらは時代の変容として健全なものとして受け止める一方で、時代の変容によって子どもたちの学習環境に大きな格差が生まれてしまうことに違和感を覚えざるを得ません。
家庭環境の変化とともに、家庭の中で子どもたちの全ての問題や課題を解決することが難しくなっている現代において、社会全体で子どもたちを包摂していく必要があると考えています。
しかしながら、「社会」という大きな主語では、子どもたちの周辺に横たわる微細な歪みに対してのソリューションを提供することが非常に難しくなっています。だからこそ、私たちは「地域」という手に届く主語を用いて、子どもたちや家庭にとってぬくもりを感じやすい環境の中で安心安全な学習環境を提供したいと考えています。
寄付金の使い道
学習会教室運営費(物品購入、学習環境の整備)、教材購入費、ボランティア交通費、職員人件費