
事業の目的
国際会議や国際的なプログラムにおける日本人参加者の少なさは、今後の日本のビジネスや外交、安全保障において課題と言えます。日本人がアクセスしやすい情報がまとまっておらず、各種会議・プログラム等に参加する機会が欠如しています。参加意欲があっても高額な参加費用の負担により参加を躊躇する若者がいます。国際的な場、多国籍・多文化な環境に不慣れなため、参加してもプレゼンスを発揮できていません。
そこで、多国籍な環境・多言語による研修と各国で開催されるプログラムへの送り出しを通じ、グローバルなスキルとマインドセットを持ち、国際会議や国際機関で活躍できる越境人材を育成します。
これまでの活動
2024年度はトレーニングプログラム(オンライン形式)に68名が参加し、グローバルリーダーサミット(対面形式)には40名が参加しました。
トレーニングプログラム参加者の声
- リーダーシップには多くの種類があることを学び、自分自身についてより深く考えるようになりました。自分がどのタイプのリーダーなのかを深めて行きたいと思います。
- リーダーシップに関する理論的根拠を基に、自分がどのような役割を担っているかを分析することが、私がこれから実践しようとしていることの第一歩です。私に必要なことは何かを把握したいと思います。
- 一番印象に残ったのは、リーダーとはメンバーを大切にする人であるということ。ビジョンを持って引っ張っていくだけでなく、メンバーを思いやり、できる限りのことをしてあげること。リーダーとして行動したり、決断したりするときにも、メンバーの立場に立って考えることができるようになると思います。
- リーダーはチームを大切にし、リーダーとしての自分をどのように見られているかに注意を払うべきだということが大きな学びです。私はNPOで管理する立場にあるので、これを業務に活かしていきたいと思います。まずは、自分がどのように評価されているかを理解する必要があります。
- 自分のモチベーションを下げている要因と、モチベーションを高める要因を理解することで、リーダーシップのインスピレーションを得たいと思います。
グローバルリーダーサミット参加者の声
- グループディスカッション、アクティビティ、タスク、チームワーク。世界をより良い場所にしたいという情熱を持つ若者たちと出会えたことは、私の人生で最も素晴らしい経験でした。
- グローバルリーダーアカデミーへの参加を通して自分のビジョンが明確になり、ビジョンへのステップが見えてきました。また、リーダーとしてのヒントや自分自身を見つめ直すこともできました。
- リーダーシップについて論理的かつ実践的に学ぶことができ、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と良好な関係を築く方法を学ぶことができました。
- オープンマインドであることの重要性を学びました。オープンなコミュニケーションがリーダーのありのままの姿や情熱を引き出すことを実感しました。
- 様々なアクティビティを通してリーダーシップの洞察・理解したことが印象に残っています。高い目標を達成するには、各自の強みを効果的に活用することが不可欠であることを学びました。
これまでの事業成果
Leap for事業責任者からのメッセージ
世界は多様性に溢れています。約82億人が約200の国と地域に住み、約7,000の言語が存在、その数は測定不能とも言われています。一方で、そのうち1カ国語しか話さないのは世界で30%以下で、OECDの基準では人口の95%以上を1つの民族が占める場合、単一民族国家と定義され、日本はこれに該当します。日本国内にいると、マイノリティ体験をする機会は少なく、自分と違う価値観や思考を持つ人の存在を身近に感じにくい状況です。日本はハイコンテクストな文化圏に属するため「阿吽の呼吸」や「空気を読む」が自然に成立しやすい環境で暮らしています。そうでない国の人々と比べると、違う価値観や文化が入り混じる空間での立ち回り経験が不足していることを意味します。非英語圏の英語力ランキングでは14位(2011年)から87位(2023年)と減退し、時価総額ランキングでの日本企業の存在感は30社中21社(1989年)だったのが0社(2024年)です。世界GDPランキングはドイツに抜かれ4位と、人々が自信を持ちにくい状況が続いています。
こういった背景を持ち、日本型の「従う」教育を受けてきた日本人が、国際的な会議・サミット・プログラムなどに参加しようとすると、積極的(プロアクティブ)に発言ができない、ネットワーキングの機会を活かせない等の壁に直面し、存在感が薄くなります。参加できればまだ良い方で、検索力や英語力が低い状態であれば、参加するための情報源にすら辿り着けないというケースがほとんどです。特に昨今のSNSは、フィードやショート動画等の機能で、スクロールすれば指一本で情報が流れてくる、受動的かつまとめられた情報に触れるように作られています。アルゴリズムで興味が類似したものがどんどん流れてくるので、視野は開くように見えて閉じていき、よっぽど能動的に検索する力に長けていないと情報に辿りつきません。
そんな現状を、受入機関との関係構築、情報源の設置、実践的な訓練、送り込むための各種支援を通じて、少しでも打開したい。国際舞台で発言力が持てる人材、そして国際的な機関で影響力を発揮できる人材の育成に貢献し、多様性の楽しさを人間の芯から感じ、人と協働できる人材を輩出したい。そんな想いで、本プロジェクトが立ち上がりました。
共感いただける全ての皆さまの、多方面からのご支援をいただいて、ともに次世代に貢献してまいります。
事業の必要経費


以下のような国際会議・プログラムや国際機関で活躍するための基本となる教養・姿勢、必要となる知識、場面に応じたスキルの獲得を目指したプログラムを提供するための費用が必要になります。
トレーニングプログラム(オンライン形式)
オーストラリア、マレーシア、エジプト、ブラジル、バングラデシュ、ケニアといった多国籍かつ専門知識が豊富な講師陣による、6ヶ月間で全7日間の全体研修と、週1回の小グループ単位のミーティングを行います。個人課題やグループ課題を通じて、日々の実践に応用できるさまざまなリーダーシップの理論的枠組みを学びます。プログラムはすべて英語で実施します。
グローバルリーダーサミット(対面形式)
多国籍によるさまざまな文化的背景を持つ若手リーダーたちと協力しながら、さまざまな体験型・参加型の講座に取り組みます。自分自身を知り、リーダーシップの理論的な枠組みを実践に活かすことを学びます。プログラムはすべて英語で実施します。サミットではゲストによる講演、大学関係者やOne Young Worldなど世界のコミュニティに参加している方の視察を受け入れ、広くグローバルに活躍するリーダー像を発信することにもつながっています。
情報提供
世界各国で行われている国際会議やプログラムの情報収集と情報提供を行う予定です。
資金支援
国際会議の参加のための費用提供、参加枠の確保など金銭的負担軽減策を検討しています。