私たちの取り組む課題
小学校高学年から中学生で発症するケースが多い起立性調節障害は、中学生の約1割、不登校児の約3~4割が該当すると言われます
起立性調節障害は自律神経がうまく働かないため低血圧や脳血流の低下がみられたり、午前中に症状が強く、学校に遅刻したり登校が困難になるなど、学校生活をはじめ日常生活に支障をきたす子どもが多いです。一方で、めまい,立ちくらみ、頭痛などのさまざまな症状は外見からはわからないため、ぱっと見た印象では健常な人と区別がつきにくい特徴があります。体調不良によりやむを得ず学校を長期欠席となる当事者も多く、学校に行きたいのに行けない、授業についていけない、先生とうまくコミュニケーションがとれない、体調が落ち着いた午後の時間になんとか登校できたとしてもサボりではといった周囲からの無理解な言葉に傷ついてしまう、学校で体調不良になったときに言い出せずに我慢してしまう、進路に不安があるなど、体調だけでなく、学校との関わりや進路に関するお困りを抱える当事者が多いです。学校生活に不安や緊張があると登校に対するハードルが高くなってしまい余計に行きづらくなるケースのご相談も多いです。起立性調節障害の子どもと接する周囲の人たちは、この疾患について正しい知識を持ち、受容的な接し方ができると望ましいと思います。KJ起立性調節障害オンラインコミュニケーションは、当事者やご家族が抱えるさまざまなお困りについて、家族経験者として、ともに悩み、ともに考え、支援に取り組んでいます。
- 学校生活の困りごと
- 学習の不安
- 進路の不安
- おうちでの過ごし方
- 家庭での接し方
- 病院 など
なぜこの課題に取り組むか
今まさに困っています、というお母さんたちとのつながりを大切に
私の息子が当時中学1年のときに起立性調節障害の重症を発症しました。発症以来、寝たきりのような状態が長く、中2,中3の2年間、息子は学校の授業、定期テスト、行事に1日も参加できませんでした。在籍していた中高一貫校の高校に上がることを断念し、高校選びはゼロからのスタートに。当時の私は起立性調節障害について全く知識がなく、毎日つらそうにしている息子にどう接していいのかわからず、息子が通える高校なんて見つからないのでは、と不安ばかりで、まるで出口の見えない真っ暗なトンネルの中に迷い込んでしまったような気持ちでした。親の私まで毎日が苦しく、どうしたらよいのだろうと落ち込むばかりでした。
私は息子の高校を見つけるため、通信制高校を中心に20校の学校説明会に足を運びました。候補になりそうが学校はさらに5回とか、繰り返し訪問しました。そして息子の希望を優先し、生活スタイルに合わせて午後から授業が始まる単位制の高校に進学を決め、これを機に息子は毎日登校するようになりました。すぐに治ったわけではないですが、体調が上向いてきた時期と重なったのか、体調に負担の少ない高校生活が、本人にとってちょうどよかったようで、学習に取り組めるようになりました。現在は大学生で日常生活を取り戻しています。
このようなわが家の経験から、今まさに起立性調節障害でつらい思いをされているお子さんやご家族のために、何かできることはないだろうかと考え、微力かもしれないけれど、私にできる少しのことが、どなたかの役に立つことがあるかもしれないと思って2021年にKJの活動を始めました。かつて私が出会ってきたお母さんたちとの交流を通じて、私自身の心が救われた感謝の気持ちを今度は恩返ししようと思ったのがきっかけです。息子の高校選びの際に通信制高校や都立の3部制高校(チャレンジスクール、昼夜間定時制高校)を訪問したときに感じた高校選びのチェックポイントをお伝えしたい、今まさに困っています、というお母さんたちとのつながりを大切にしたい、がKJの思いです。
~~おもな活動~~
「起立性調節障害の方のための体調に合った高校選びセミナー」
「昼夜間定時制高校選びセミナー」
「銀座交流会」「豊洲交流会」を主催
起立性調節障害に関する講演、教職員様向け研修講師など
また、起立性調節障害は、周りに理解者が1人でも増えることが当事者の過ごしやすさや安心感に直結すると考えます。そこで、2021年にオンラインで全国の方を対象にアンケートを実施したところ約500人の方に回答をいただきました。これらをグラフで可視化し、数字をデータとして客観的にまとめることで、起立性調節障害についてよく知らない方にも理解していただけることにつながるのではと考え、ウエブサイトでどなたでもダウンロードできるよう、PDFで公開しています。🌱アンケート結果 | KJ起立性調節障害オンラインコミュニケーション (amebaownd.com)
これらの活動は私1人でできたことではなく、励ましてくださったり、協力してくださる方たちとの出会いが支えになっています。そして、、、昭和大学病院小児科教授の田中大介先生のご著書「小児科医が伝えたい起立性調節障害 症状と治療」(徳間書店)の中で親の会のページと支援団体のページで歴史ある団体さんとともにKJをご紹介くださいました。本当にありがたいことで感激しています。これも、さまざまなつながりやご縁のおかげなのだなと感謝しかありません。
起立性調節障害の正しい知識を学校関係者の方に知っていただくため、ご縁をいただいた学校様へ田中大介先生の著書を寄贈する活動も行っています。
今後も起立性調節障害の当事者が直面するさまざまな場面で、当事者が安心して過ごすことができるよう、環境づくり、理解者づくりの実現を目指していきたいと思います。
寄付金の使い道
いただいた寄附金は活動の運営費に大切に使わせていただきます
- 起立性調節障害の書籍を学校へ寄贈
- 周知活動の印刷代
- 専門家の講演会参加費、遠方会場の交通費
- 外部講師謝礼
- 書籍代、資料代など