私たちの取り組む課題
1.「子どもの権利」を守る=「こどもの意見を尊重する」
私たちがこの事業を始めたきっかけは、周囲の大人からの「うるさい」というクレームに対し「大人のいない遊び場が欲しい」という子どもの声を実現させること。つまり「自由に遊ぶ権利」を守ります。
大人立入禁止にした背景にはこんな遊びでさえ「職業選択の自由」をこどもから奪う保護者の存在から自由になるためです。
お茶も飲まずお弁当も食べずに夢中で働く我が子が心配で、なんとかお茶を飲ませようと会場に足を運ぶ保護者の存在から自由になるためです。
失敗をさせまいと先回りしたり自分の知識をひけらかしたりして、失敗する権利を奪う大人たちから自由になるためです。
私たちは大人に強制されず子どもが自分で選ぶことを大切にします。それがたとえこどものまちで「働かない」という選択であってもです。
その結果どうなったのかを振り返って、親は子どもを励まし応援し「じゃあ明日は働いてみよう」「やってみたい仕事がないから起業してみよう」とこども自身が思えるようになることが大事だと考えます。
2.学校ではできない体験を
こどものまちにいると銀行でお金を数えるだけの仕事もすごく大事で、誰にでも役割があり生きる権利があることがわかります。学校や塾など既存のコミュニティに入れない子も受け入れる場所になっています。
我が子はコミュニケーションに難があり、周りの子からはウザい存在で学校でいじめられて不登校になったりした時期がありました。その時いじめの良し悪しよりも「小学生のコミュニティの狭さ」に疑問を感じました。たった40人のコミュニティで否定されただけで人生ってダメになるのか?どうしてそんなに絶望するのか?社会に出ればそんなことはないのに、なぜこどもの世界は狭いのか。
でもこどもにとってはそのコミュニティが全てなのです。そこで嫌われたら絶望しかありません。
だから学校以外のできるだけ大きなコミュニティで、利害関係がなく、その子をそのまま受け入れられる場を作りたい。
勉強ができるとかスポーツができるとか以外の良さを、その子の成長に責任のない周りの人が褒めたり、才能を発見して伝えたりしたいと考えています。
3.教育・体験格差の解消
新型コロナウィルスの影響で貧困の格差が進んだと言われています。2022年NPO法人キッズドアの調査によれば、元々困窮状態にある家庭がコロナ禍でさらに収入が減り現在でも収入が減ったままの状態である世帯が50%。物価高の影響もあり生活費のやりくりで精一杯でしょう。https://toyokeizai.net/articles/-/613129
せっかくの宿題のない春休みに遊びに行けない子でも参加できるように低価格で参加できるように事業をやってきましたが、それすら払えない家庭もあります。
でもそんな家庭の子にこそ参加してほしいのです。
もしかしたらこどものまちで大金持ちになれるかもしれません。仕事や社会を体験して自分の将来を考えるきっかけになるかもしれません。
それが未来への希望や生きる活力、自信になることを願っています。
4.地域コミュニティの復興
「親はなくても子は育つ」と言われたのも昔のこと。現代は地域社会の崩壊により「学校」「家庭」に居場所がなくなると八方塞がりです。
それは回り回って子育て家庭を苦しめる結果になっています。子育てを親だけが負うのは重すぎます。
私たちが地域の一員として子どもたちに提供できることは何か。
自由であることは軋轢や葛藤を生みますが、それで良いのだということを伝えていきます。
「人に迷惑をかけてはいけない」と教えるのではなく「迷惑をかけていい。誰かに助けてもらえる。」と感じてもらうことがとっても大切です。
なぜこの課題に取り組むか
新型コロナの蔓延を経て、禁止事項が極端に増えてしまいました。
そんな中でも子どもたちはちゃんと遊び育っています。でも子ども同士の監視の目がキツくなっていることに危機感を感じます。
子どもの中にもマスク警察もいますし、ウクライナ紛争をネタにロシアの子を悪者呼ばわりする姿も見ました。
もちろん小中学生という年齢では全てを知ることはできませんが、「自由を欲している子どもだからこそ、他人の自由を奪う行動をしてはいけない」という倫理観は育てたい。
そのためには、マスコミの流すウケるネタを鵜呑みに他者を攻撃するのではなく、「マスクが苦しい子もいる」「普通に暮らしている人は国が違えど僕たちと変わらない」という実体験は生涯にわたって大事な倫理観となります。そんな多様性を体感する場にしていきたいのです。
経済的困難を抱える子どもの増加も新型コロナウィルスによる低所得者への影響と繋がっています。普段の生活で我慢を強いられている子にこそ、ハレの体験をして欲しいと考えています。
学習支援や食糧支援など生きていくために必要な日常の支援は本当に大事です。でもこどもにとっては特別な楽しい非日常体験も、生きていくためには大事です。
ディズニーランドには連れて行ってあげられないけど、こどものまちなら招待できるという選択肢になりたいです。
またこの事業を始めたきっかけは、代表が幼少期に機能不全家庭で育ち大人への不信感を抱いていたことと、前身NPOこどもDIY部設立時に受けたクレームに対しこどもたちが「大人のいない遊ぶ場が欲しい」と言ったこと。これを実現させるためには、こどもの持っている(でも大人による禁止事項で発揮する場を閉ざされている)ポテンシャルを引き出す必要があって、そのためには「助けてあげる支援」よりも「共に作り上げる場」を創る必要があります。
寄付金の使い道
毎年春に開催している「大人立入禁止こどものまちをつくろう」に必要な資金として大切に使わせていただきます。