事業の目的
チェルノブイリ原発事故後、甲状腺がん患者がベラルーシで急増しました。
甲状腺がんのほとんどは進行が遅いため、早く発見し早く治療をすれば命を落とさずに済むといわれています。ところが支援活動を始めた当初はベラルーシの医療レベルは低く、発見が遅れや誤診などの問題が起こっていました。さらに都心部と地方の医療格差も深刻で、地方で暮らす人々は精密検査を受けるために高額な交通費をかけて都心へと通院する必要がありました。
甲状腺がんの早期発見・早期治療につなげるため、甲状腺検診の支援をおこなっています。
これまでの活動
甲状腺の検診では触診や超音波検査をおこない、異常があれば甲状腺に針を刺し、細胞を採取して異常の有無を確認します(細胞診)。
甲状腺の細胞診には経験と技術が必要とされています。細胞採取の技術的な指導を行うとともに、ベラルーシ訪問に合わせて判断が難しい症例の診断を行っています。
また、甲状腺の超音波検査に使う器具や、細胞診に使用する消耗品の贈呈も継続的に行っています。
これまでの事業成果
細胞採取の技術が低い支援開始当初は、甲状腺に針を刺したものの細胞が採取できなかった検体不適正が数多く見られました。支援を続けることでその数も徐々に減っていき、「ほとんどゼロ」という状態になっていきました。その技術は、検診に参加する日本の医師からも「日本のレベルを越えている」と絶賛されるほどです。
当初は日本の専門家が中心となっていたものが、回を追うごとに現地医師らの担う役割が大きくなりました。支援活動を続けてきた病院には他の州の医師らが研修に訪れるまでになりました。さらに若い医師にも技術を伝え、第二世代、第三世代へと人材育成が進んでいます。
また、現地の教育に活用してもらうため、甲状腺の細胞像をまとめたアトラスをロシア語に翻訳し贈呈しました。