私たちの取り組む課題
イラク戦争の翌年2004年に設立した当初は、5年ほどすれば活動も落ち着くのではないかと思っていました。しかし、過激派の流入、そしてイスラム国の台頭などにより状勢はどんどん悪化しました。
JIM-NETは大きなことはできませんが、少しずつ活動を続けてきた中で、ずっと「厳しい環境下にある小児がん患者と家族が安心して過ごせる場所を作りたい」という夢を持ってきました。避難生活の中で不安な日々を送る家族を支え、がんの子どもたちが笑顔になれる場所を作ることができたら、どんなに素晴らしいことでしょう。
そんな私たちの願いが2019年の春に叶い、『JIM-NETハウス』が完成しました。
私たちの今までの活動を認めていただき(※1)、支援を受け、建てることができました。
※1:外務省より日本NGO連携無償資金協力の助成を受けています。
『JIM-NETハウス』は、イラクのクルド人自治区 首都アルビルのナナカリ病院敷地内にあります。
小児病棟からこのカラフルな建物が見え、JIM-NETハウスに行くことを目標に、治療を頑張る子も居ます。
15年目の節目にJIM-NETハウスができたことを大変嬉しく思う反面、この大きな1歩を、確実な支援につなげていかなくてはいけない責任が新たに増えました。
患者と家族に寄り添ったサポートができるよう、薬剤支援だけでなく、ソーシャルな支援も質を高めていきたいと環境づくりを整えています。
ぜひこれからのJIM-NETも応援をよろしくお願い致します。
なぜこの課題に取り組むか
1991年の湾岸戦争以降、イラクではガンや白血病の子どもたちの数が増えています。日本では、小児白血病の治療技術は、ここ10年で著しく進歩しており、80%以上が治る病気になっています。ところがイラクではちょうどこの時期に国連の決議に基づいて国際社会が課した経済制裁で、病院の設備は老朽化し、薬も欠乏し続けたために多くの子どもたちが死んでいきました。 2003年のイラク戦争後、経済制裁はなくなりましたが、イスラム国などの武装勢力による治安の悪化や、各国のODAや国際機関の支援も滞り、状況はなかなか改善されていません。
日本では、広島・長崎の関係で、白血病に関する関心が高く、いくつかのNGOが既に薬の支援などをしてきました。 更なる支援の効率を上げるためには、援助の重複を避け、役割分担を明確にした調整と一方で医療の専門性を高めてきました。
1991年以前は、イラクの医療は中東でも随一と言われてきました。しかし、海外に逃れた人が多く、医師が多く不足しています。また治安や国の機能も安定しないため、病院での薬代は無料ですが供給が間に合っていません。
タクシー代を払えず、治療放棄してしまう保護者もいます。
子どもたちの命を救うため、薬代の支援・看護師の研修・ソーシャルワーカーの育成などが必要です。
寄付金の使い道
JIM-NET では、イラクの5病院へ医薬品支援を行っています。
・バグダッドのCWTH(子ども福祉教育病院)CPTH(子ども中央病院)、バスラ子ども病院、アルビルのナナカリ病院、モスルのイブン・アル・アシール病院
また、現在はイラク・シリア国内のシリア難民キャンプへの支援、
福島の子どもたちを放射能から守る活動を行う団体を助成する「福島基金」も行っています。