私たちの取り組む課題

医療制度の中で、「まごころ医療」の場を守り続けるために
現代の医療保険制度は、基本的には『診察した患者さんの人数や検査の回数』に応じて診療報酬が支払われる仕組みになっています。これは、限られた時間で多くの患者さんへ均一な医療を提供する上では非常に効率的で患者さんにとっては費用が抑えられ、とてもありがたく、効率的なシステムです。
しかし、一人ひとりの患者さんの生き方や暮らしにじっくりと時間をかけ、心と体の調和を促すような「まごころ医療」の関わり合いは、現在の保険診療報酬だけでは適切な経済的評価を受けにくいのが実情です。
■診療の枠を超えた「環境づくり」
現在、診療所を継続して運営するためには、人件費や施設維持費、医療機器のリース料のほかに、「まごころ医療」ならではの費用がかかります。
- 「命」と「繋がり」を感じる空間維持 ・・・約410坪(テニスコート約5面分)の敷地にある庭園や池の手入れ、鶏や金魚、カブトムシ、植物などの生き物の飼育など空間の維持費。
- 暮らしに根ざした地域活動・・・耕作放棄地の手入れや近隣の田畑での農作業、お堂の掃除など地域の方々との関わりを通した繋がりづくり。
- 対話と自己対話の「余白(間)」づくり・・・親御さんが安心して受診できる子どもの見守り、夫婦・親子間の悩みに寄り添う対話サポート。また診察日以外にも、食卓を囲んで深い対話を行う「場開き(コミュニティ創り)」を実施。一人ひとりが自分の内面と丁寧に向き合える「空間・時間・仲間」の提供。
■「間」のある暮らし環境を大切にする理由
それは、効率やスピードが求められる現代社会の中で、疲弊した心身を癒やし、本来の自分を取り戻すために必要なのは「人生と向き合うためのゆとり」だからです。
診察室での対話だけでなく、誰かに子どもを預けてほっと息をつく瞬間や、食卓を囲んで本音を語り合う仲間、そして土や掃除に集中しながら心を静める時間。
一見すると医療とは無関係に思えるような「間」の中にこそ、人が自分の生き方や価値観を見つめ直し、自分の足でしなやかに歩み出す(自律する)ための大切な原動力が眠っています。
保険診療の枠組みだけでは賄いきれない環境づくりは、日常の「暮らし」に戻ったあと、自分の足でしなやかに生きていく力を育んでいきます。
高品質な医療インフラと両立させながら、私たちはこれからもこの場を大切に守り育てていきます。
「まごころ医療のある暮らし創り」は、わたし達スタッフのあり方や環境だけでなく、日本のより良い未来を想う皆様からのご支援の循環があってこそ、広がっていきます。
「まごころ医療」という新しい医療のあり方を全国へ広く届けていくために、数年後の「認定NPO法人」取得も見据え、事業収益だけに頼らない安定した寄付基盤を築きたいと考えています。
なぜこの課題に取り組むか

■法人の名前にも入っている『まごころ医療』とは
医療者から患者さんへの一方通行の診察ではなく、お互いがこれまでの経験や人生を持ち寄り、多様な価値観の中で対話を重ねる診察を行います。
患者さんが抱える困りごとや苦しみに、じっくりと耳を傾けます。
過去の出来事に傷つき、『苦しかった』『誰かのせいで』と感じている時、私たちは社会的評価や周囲の価値観に縛られていることが少なくありません。
こうした「傷」から「気づき」を得て、自ら価値観を変えて、自分自身を築いていくプロセスが大切だと考えています。
「気づき」をきっかけに、中心軸を調え、本来の生き方や在り方を体現する人生の「築き」へ。
依存ではなく、自律を促す場として——。
日常の暮らしを土台に、人や自然との繋がりを通じて、揺らぎながらも自分で歩んでいく力を見つけ、本来の自分(自然体)の生き方に戻っていくお手伝いができる医療
私たちはこれを『まごころ医療』と呼んでいます。
■なぜ、和歌山・紀美野町で「まごころ医療」を始めたのか
当法人の理事長であり看護師の今田真穂は、18年間にわたり都市部の医療現場で働き、コロナ禍においては3万人以上の患者さんに関わってきました。
自身も幼少期から病気や生きづらさと隣り合わせで育ってきた当事者であり、現代医学の素晴らしさに深く感謝する一方で、多くの不調に悩む患者さんと接する中で「病気を医師や薬に委ねてしまい、自分自身の命を主体的に生きる視点を見失ってしまうこと」への強い課題意識を抱くようになります。
「病気や心身の不調は、単に排除すべき悪ではなく、これまでの暮らし方や『自分の本音と生き方のズレ』を教えてくれる体からのメッセージなのではないか」
そう気づいたとき、病気の裏側にある生きづらさや感情に丁寧に耳を傾け、患者さん自身が自らの命を愛おしみ、調えていく力を取り戻すお手伝いがしたいと強く考えるようになりました。
移住先を探す中で出会ったのが、かつて江戸時代から「医療」と「仏教(祈り)」を結ぶ役割を果たしていた「醫王寺(いおうじ)」のある和歌山県紀美野町でした。
さらに地域の方々との繋がりの中で紹介されたのが、約100年前に地域の診療所として使われていた古民家だったのです。
「ここで、現代医療の利点を生かしながら、まごころで寄り添う日本人らしい医療の形を育みたい」
その想いに共感した医師の西田拓司をはじめ、多職種のスタッフが集まり、私たちの新たな挑戦が始まりました。
支援金の使い道


「まごころ医療のある暮らし創り」は、わたし達スタッフのあり方や環境だけでなく、日本のより良い未来を想う皆様からのご支援の循環があってこそ、持続し続けて、広がっていくと考えています。
ご支援は、以下のような活動と環境維持に大切に使わせていただきます。
- 診療環境の維持・拡充: ひとり一人に時間をかけて寄り添う診察環境の維持
- 広報・発信活動: 「まごころ医療のある暮らし創り」の知見や成果を全国へ発信
- 心の発育・教育支援: 生きづらさを抱える方が自律を取り戻すためのプログラム・対話の場づくり
- 地域・自然体験活動: 耕作放棄地の手入れ、田畑仕事、地域の掃除など、繋がりを創る活動
- ”暮らし創り”のサポート:想いを真ん中に、医療の枠を超えて、私たちが人や自然と繋がる”暮らし創り”をしてきた3年半の軌跡をお伝えします。
サポーターのみなさまには、診療所の日常の様子や患者さんの変化、「場開き」やイベントのご案内、まごころ医療のあり方の全国への広がり、地域活動のご報告など、定期的な活動報告をお届けしてまいります。
皆さまからの毎月のご支援は、「まごころ医療」を地域に根付かせ、日本に広げていくために大切に活用してまいります。
命の喜びが循環する自律した社会を、和歌山から全国へ
この「まごころ医療」の取り組みは、まだ始まったばかりの挑戦ですが、ここから生まれる対話と変化の種は、これからの時代に必要な「新しい医療と暮らし」になると信じ歩んでいます。
この支援の循環の輪を私たちと一緒に育てていただけますと幸いです。

