私たちの取り組む課題
私たちは、真偽の定かでない情報が大量に広がる社会に生きています。ジャーナリストでなくても、誰でもSNSなどで情報を拡散する担い手になれる時代です。
どうやったら真偽を見極めたらいいのか。そこで人々の手助けになるのが、「ファクトチェック」です。
ファクトチェック(Fact-Checking)とは、事実に関する言説の真偽を公正に調査し、人々に真偽を見極める判断材料を提供する営みをいいます。
世界各国でファクトチェックの取組みが広がっています。日本でも「フェイクニュース」が流行語となり、誤情報の問題が認識されるようになりましたが、ファクトチェックの担い手はまだ非常に少ないのが現状です。日本でもファクトチェックを推進、普及していくため、2017年6月にファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)を立ち上げました(2018年1月、NPO法人化)。
2017年総選挙では、日本で初めて複数のメディアが参加するファクトチェック共同プロジェクトを企画し、数多くの検証記事を出す成果をおさめました。2018年沖縄県知事選では新聞社も参加し、ファクトチェック活動が多くの人に知れ渡り、認知度も高まりました。
▼選挙プロジェクトの例
http://archive.fij.info/archives/election2017
http://archive.fij.info/project/okinawa2018
https://navi.fij.info/factcheck_navi_tag/2022-sangiin-election/
FIJでは、こうしたプロジェクトのほか、真偽の疑わしい情報を日々収集したデータベースClaimMonitor(クレイムモニター)をファクトチェックを行うメディアに提供しています。
また、ファクトチェックに関する情報発信、ファクトチェックの手法や知識の普及活動に取り組んでいます。
https://fij.info/activity/report
各国のファクトチェックの取り組みにおいては、プロのジャーナリストだけでなく、市民、各界専門家など多様な参加者との協働により大きな成果が生まれています。
FIJは、国際ファクトチェックネットワークの公開性・透明性ルールを踏まえつつ、ジャーナリストと市民のコラボレーション(協働)による、透明性の高い良質なファクトチェックを推進します。
なぜこの課題に取り組むか
インターネットの普及により、ニュース・情報環境は大きく変化しました。2016年のアメリカ大統領選挙では、「ローマ法王がトランプ候補の支持を表明」などの「フェイクニュース」が多く共有され、拡散したことはご存じだと思います。「フェイクニュース」や真偽不明の情報がSNSを通じて急速に拡散する時代になり、市民が健全な判断をしにくくなる状況が生まれています。
米国や欧州、そしてアジア諸国などでも、そうした情報環境の変化に対応してファクトチェックが盛んになっています。しかし、日本はかなり遅れているのが実情です。「日本におけるファクトチェックの推進が重要だ」その点で考えが一致したジャーナリストや研究者、IT企業がFIJ設立に動きました。
ファクトチェックの推進は、以下の3点に資するとわたしたちは考えています。
①誤報・虚報の拡散防止
②ジャーナリズムの信頼性向上
③言論の自由の基盤強化
今日、偽・誤情報問題にはファクトチェックのみならずさまざまな取り組みが行われるようになりました。
総務省が2023年3月にまとめた「偽情報対策に関する取組集」には、プラットフォーム各社などとならびFIJの取り組みも紹介されています。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000868124.pdf
そして2023年6月、社会的関心の高い事柄について正確な事実の共有に貢献したファクトチェック記事を顕彰し、その社会的意義を広める「ファクトチェックアワード2023」を開催しました。
こうした取組みを継続的に進めていくためにも、皆様のご参加、ご支援が必要です。誤った情報に対する人々や社会の免疫力を高め、事実に基づいて議論できる社会の構築にぜひご協力いただきたく、よろしくお願いいたします。
寄付金の使い道
・疑義言説データベース「ClaimMonitor」の運用と改善
・ファクトチェック関連情報の発信
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