私たちの取り組む課題
アジア最貧国と呼ばれたバングラデシュ。
首都ダッカから船で6時間の距離にあるハムチャー村を私たちが訪れたとき、衝撃を受けた光景がありました。
街灯の明かりの下から聞こえるのは、念仏のような声。
ボロボロになった教科書を必死に音読する、高校生の姿だったのです。
「妹や弟を助けるために、良い仕事に就きたい。」
「そのために、大学に受かりたい。」
「でも、お金がないから予備校には通えない」
なかには、「勉強したい」と泣きながら言う生徒もいました。
でも、家庭の半分以上は電気が通らず、夜は暗いまま。
そして、教えてくれる先生もいません。
数学や物理の教科書をやみくもに音読したって成績は上がらないことを、彼らも気づいていました。
ただ彼らには、ボロボロになった教科書をひたすら読むしか、選択肢がなかったのです。
こうして農村地域では、一般的な家庭の子どもの多くは、どんなに学ぶ意欲や能力が高くても、勉強する機会を与えられないままになっているのです。
なぜこの課題に取り組むか
私たちe-Educationが活動を始めたのは、2010年のこと。
創業者の税所篤快が学生だった20歳の頃に、日本とはまったく異なる光景を目の当たりにしたのがきっかけでした。
「貧しい者は、勉強する資格さえない」
そんな現実に打ちのめされながらも、脳裏に浮かんだのが、日本の予備校で受けた「映像授業」でした。
バングラデシュNo.1であるダッカ大学の学生らにヒアリングを行い、その後国内最高の予備校講師の協力を取り付けました。頼りになる現地パートナーも加わり、1ヶ月間にわたり授業を撮影。
初めての教室は、ダッカ郊外の村、ハムチャー。
『最高の授業』を、無料で見られるようにしました。
通った高校生は、32名。水を得た魚のように勉強に打ち込みました。
しかし合格までの道のりは、決して順調ではありませんでした。
「やっぱり勉強をやめたい」
「貧乏人の僕らが、受かるわけがない」
「勉強してもムダと親に言われた」
あきらめかけた生徒もいました。そんな時に伝えたのは、不可能はないということ。
「この国では、貧乏人と田舎者にはダッカ大学には行けないって思われている。そんな常識を覆そう!」
「不可能はないって証明しよう」
「世界を驚かそう!」
その結果、初年度でダッカ大学合格者1名を含む、18名が大学に進学することができたのです。
この「事件」は、ダッカの新聞でも大きく取り上げられ、「ハムチャー村の奇跡」とたたえられました。
映像教育が、世界の教育問題を解決する。その可能性に興奮をおさえられなかった私たちは、フィリピンやネパールなど他の国でも、事業を行うことにしました。
これまで延べ14カ国で3,500本を超える映像授業を約30,000人の生徒へ届けてきました。
寄付金の使い道
バングラデシュの高校生に届ける映像授業の撮影や編集費など、e-Educationの活動全般に活用させていただきます。サポーターの方には活動内容を随時ご報告いたします。
最高の授業を届ける流れ
①途上国の現地ニーズを調査
②有名講師・先生への協力依頼
③現地の仲間と共に映像教材作成
④貧しい子供へ映像教育を提供