私たちの取り組む課題
自分の住むまちに愛着を持つことは、地域の中で生きていくうえで基盤となる自尊感情です。しかし身近なまちの魅力や価値を客観的に知る機会は乏しいものです。
カルチャーナイトは、普段は入れない夜に施設見学をしたり、その日だけの文化プログラムを体験したり、現場で働く人たちの話を聞くなど、市民の皆さんへ「身近な地域文化の非日常体験」を届けます。
なぜこの課題に取り組むか
誕生の経緯
カルチャーナイトの始まりは、創業者の佐々木亮子が出張先のコペンハーゲンで現地のカルチャーナイトに遭遇したことです。真っ暗な夜道をたくさんの親子連れが歩き回っている光景を目撃して、「いつかこれを北海道でもやりたい!」という想いが生まれました。
そしてコペンハーゲンの経験から6年が経過した2003年、温めていた想いが実現し、ついに夏の一夜に札幌版のカルチャーナイトが誕生しました。初年度は、赤れんがフェスタ内のイベントの一つとしてカルチャーナイトを開催し、札幌市内中心部にある20ヶ所の施設を夜間開放しました。
札幌にカルチャーナイトが誕生して22年。
現在は札幌市内全域に会場が広がり、なんと一夜で220を超えるプログラムを実施しています。施設の夜間開放だけでなく音楽などの市民団体の参加も加わり、カルチャーナイトは産学官民連携による「まちの文化祭」として成長し、一夜で約2万5千人の人たちが参加しています。
参加する方たちの様⼦
例えば会場の⼀つである札幌市時計台や北海道知事公館は観光スポットになっていますが、地元の人にとっては施設を知っていても⼊る機会がない場合も多いものです。歴史ある建築物は実際に⼊ってみることで価値や魅力を体感できるものですから、カルチャーナイトが良い動機付けになっています。
また、銀行職員が大量のお札を数え方をレクチャーするプログラムや、大きな建設車両に特別に試乗するプログラムなどもあります。プロの技術を見せてもらった子どもたちは、表情を輝かせながら「すごーい︕」と声を上げて喜ぶし、施設職員の皆さんにとっても刺激的です。こういった直接的な交流は、互いにとって明日への活力につながっているはずです。
カルチャーナイトの現在地とこれから
イベントとして始まったカルチャーナイトは、社地域密着型のムーブメントとして定着しました。
NPO法人が事務局を担い、プログラムを実施する施設や団体、来場者する市民の皆さん、そしてボランティアや寄付で応援してくださる方々が互いに協力し合いながら運営しています。
そのように多くの皆さんの「協力」によって、イベントの「魅力」を高めていくという循環が22年間続いています。
カルチャーナイトの夏の一夜に向けて、参加団体の職員自らが「今年はどんなプログラムで楽しんでもらおうか」と工夫を凝らしながら準備します。そのプログラムの種一つ一つが、地域の成り立ちや文化を表現していると言えます。
まだ社会が何かを知らない世代にとってカルチャーナイトは、「自分たちの生活する地域がどのように成り立っているのか」を学べる機会です。
体験を通じて「社会」と「地域」と「自分」というつながりを実感することで、地域がぐっと身近になりもっと好きになります。そして一人ひとりが地域に根ざす存在として誇りをもてるようになり、まちの発展につながる―。その循環を創っていきたいと願っています。
- 身近なまちの魅力を再発見する機会を提供することで、地域への愛着と誇りを育みます。
- 親子が一緒に体験を共有することで、心の絆を深めることができます。
- 参加者とっては「生涯学習」の機会であり、「地域社会と自分とのつながり」を体感できる機会になります。
- プログラムを実施する施設や団体にとっては、自らの価値を発信し、地域社会とのつながりを強められる機会です。地域との価値共創(CSV)の場として取り組むことができます。
カルチャーナイト北海道の実績
- 2003年 実行委員会立ち上げ、「赤れんがフェスタ」の企画の一つとして一回目を開催。20カ所の施設開放からスタート
- 2006年 NPO法人化
- 2011年 国税庁から「認定NPO法人」としての認定取得
- 2008年 北海道建設部「北のまちづくり賞」奨励賞受賞
- 2017年 公益財団法人日本観光振興協会北海道支部 観光振興事業者功労者支部長表彰
寄付金の使い道
カルチャーナイトを毎年継続して開催するためには運営費が不可欠で、その7割以上は寄付によって支えられています。カルチャーナイトでの体験を通じて子どもから大人までより多くの人にまちの魅力を体感し価値を再発見していただくこと、それが私たちのミッションです。そのためにまずは活動基盤をしっかり安定させ、そして内容を充実させながら継続していきたいと思っています。
- 持続可能な活動の基盤づくり(運営に最低限必要な費用)
- 広報活動の充実化(案内チラシの配布対象の拡大)
- ウェブサイトの多言語化(参加者の多様化に対応) など