事業の目的
ー水へのアクセス不足を解消して、東ティモールの人々の農業を活性化したいー
事業の背景:
アジアで一番新しい国である東ティモールは、国民の約4割が1日1.25ドル以下で暮らすアジア最貧国の一つ。
貧困層の85%は農村部に暮らしています。
首都ディリから南45キロに位置するエルメラ県アッサベ郡は、住民の大多数が零細農民の貧困に苦しむ農村地域です。農業生産性は低く、その生業状況は脆弱です。気候変動に伴う天候不順等とともに、乾季の水不足が、この地域の農業活動を妨げる大きな要因となっています。雨季の天水に頼った穀物の生産だけではなく、生業手段を多様化し生業状況を改善するためには、農業用水設備の整備を進め、乾季の水不足を解決することが重要です。
このような脆弱な生活基盤に加え、事業対象地の男性農民と女性農民の生産性には31%の差があることが報告されています。多大な労力を必要とする水汲みと農作物への水やりは女性農民が主に担っているため、乾季の水不足は、女性農民らの農業生産性が上がらない要因にもなっています。
これまでの活動
東ティモールエルメラ県アッサベ郡の4村落内11集落村の12の農民グループ(女性農民グループ4つ、男女混合農民グループ8つ、計223人)に対し、貯水タンクや点滴灌漑設備などを設置し、山間部の水源から村、そして畑へと水を引くことで、安定的な農作物の収穫を目指します。さらに、主に女性や子どもたちの役割とされる水汲みや水撒き作業を不要にすることで、女性の農作業負担を軽減します。
主な活動:
1.水源を保全し、貯水タンクおよび水路を造ります。
2.点滴灌漑(*)を設置することによって、農地で水を効果的に利用します。
3.点滴灌漑設備を維持管理するための水管理委員会を農民グループ内に設置し、能力強化を図ります。
4.水管理委員会およびコミュニティの人々を対象にジェンダー平等研修などを行います。
*「点滴灌漑」とは・・・農地に張り巡らされたチューブ内に水を流し、等間隔に開けられたチューブの穴から水が染み出して、作物の根周辺に直接水やりをする方法のこと。より適切に根に水が与えられるため、スプリンクラーなどに比べて、点滴灌漑は蒸発と深部への排水を減らすことで水の節約となる。世界の水消費の70%が食糧生産に使われている中、点滴灌漑の最大の強みは、節水と省エネ性。また、高低差を利用するため、低コストで省労力なシステムで、水汲みや水やりなどの労働から女性農民を解放することが可能となる。
事業の必要経費
およそ40,000千円(年間)