事業の目的
ーアジアで一番新しい国、東ティモールの人々に生きるチカラを届けるー
事業の背景:
アジアで一番新しい国である東ティモールは、国民の約4割が1日1.25ドル以下で暮らすアジア最貧国の一つ。貧困層の85%は農村部に暮らし、昨今、農村部と都市部との経済・教育格差が顕著となっています。公用語であるポルトガル語の成人識字率は都市部で約40%である一方、農村部では約18%と圧倒的に低く、地域格差が生まれています。農村部では十分な識字能力や計算能力を身に付けることができないため、経済活動や家計の管理に支障をきたし、親の識字能力の低さが子どもの栄養・健康状態、そして就学率にも悪影響となって現れています。
これまでの活動
農村部の子どもの発育・教育状況と世帯全体の生活生計能力の向上を図り、自立的な地域社会を目指します。
東ティモール13県に、この国で最も多くの人々が理解する言語「テトゥン語」で書かれた学習雑誌「ラファエック」を作成、配布します。読み書き・計算に加え、生活に必要な情報について、イラストやクイズとともに、分かりやすく紹介しています。成人向け、未就学児~小学校2年生向け、小学3~4年生向け、教員向けの4種類があります。さらに、ラファエックの内容についての理解をより深め、実生活の中での活用を促すために行う、住民参加型のワークショップも開催します。
この活動を通して、以下の知識と実践能力を身に着けることを目指しています。
1)基礎的な計算能力と識字能力の向上
2)農業生産の管理と家族の健康管理の改善
3)起業と小規模金融サービスについての住民の理解の促進
4)幼児の健康や発育、子どもを学校に通わせることの保護者の理解の促進
これまでの事業成果
2019年度の活動成果:
282,968部 年3回配布した 成人向け「ラファエック」の総数
1,296校 未就学・低学年向け 「ラファエック」を配布した学校数
491人 対話ワークショップ*に参加した人数
*単に配布するだけでなく、配布した「ラファ エック」の内容についての理解をより深めるた めに、地域住民を対象に参加型のワークショッ プを実施。本年は11県で開催しました。
5年目にあたる本年は、成人向け、未就学・低学年向け、中学年向け、教員向けの4種を全13県で年3回配布。子ども向けと成人向けの内容を関連付けることで、家庭でも情報共有できるよう工夫しました。これにより、子どもの識字能力や学習能力が強化されただけではなく、親の識字や計算能力も向上し、子どもが教育を受けることの重要性についての認識も高まりました。また、SNSを活用した教育コンテンツの配信にも注力し、公式Facebookは開設から1年足らずで、いいね!数が80,000人を突破しました。今後は、ウェブサイト上で電子版 「ラファエック」の提供も行い、読者層の大幅な拡大を目指します。一方で課題は、雑誌版「ラファエック」の発行継続に向けた資金源の多様化です。寄付や助成金のみに 依存せず、広告収入(スポンサー契約)の獲得に向けて、現地の国際機関や民間企業 への働きかけも行っていきます。
事業の必要経費
2019年度支出額 2,067千円(総事業予算:年間約1億円 *他ドナー資金を含む)