私たちの取り組む課題



私たちは、飼育技術を軸とした生息域外保全の実践を通じて、以下の社会的課題の解決に取り組んでいます。
1.国内外の希少野生動植物種の保全
日本国内および国際的に絶滅の危機にある野生動植物を対象に、飼育下での保全研究を実施。適切な技術管理のもと、将来的な野生復帰や種の存続を支える基盤を築いています。
2.密輸や違法取引による動物の保護
行政や関係機関と連携し、摘発された密輸個体の保護受け入れを行っています。これにより、命を救うとともに、違法取引の社会的認知と対応体制の強化に貢献しています。
3.実践的な保全教育と次世代人材の育成
学校法人と連携し、保全の現場を教育資源として活用。学生が実際に公的な保全事業に携わることで、「生きた技術」と保全事業の「全体性」を修得できる仕組みを構築しています。
4.保全の社会的理解と行動変容の促進
保全活動で得られた知見や経験を、中高生や企業向けに普及啓発活動として展開。命や自然との向き合い方を再考するきっかけを提供し、持続可能な社会づくりへの参画を促しています。
なぜこの課題に取り組むか



なぜ、今、生息域外保全センターが必要なのか?
現在、地球は「第6の大量絶滅期」にあると言われています。これは隕石や火山噴火といった自然現象によるものではなく、人間の活動—生息地の破壊、気候変動、乱獲—によって引き起こされたものです。私たち人間は自然を壊す存在であると同時に、守る力も持っています。
当法人代表の本田は、26年間にわたって動物園の飼育技術者として、数多くの保全プロジェクトに関わってきました。その経験から確信しているのは、「飼育技術者は、保全の最前線で最も現実的かつ重要な役割を担っている」ということです。しかし行政や企業の一部署である動物園が、限られた資源と組織体制の中で主体的かつ継続的に保全活動を行うことは極めて困難です。特に保全には、迅速な意思決定と柔軟な人材・資金運用が不可欠のため、現状ではそのような機動力や文化が育ちにくいという構造的課題があります。
私たちはこうした限界を超えるため、保全に特化した独立型の専門機関として、本センターを設立しました。ここでは行政・大学・動物園・地域・NPOなどが垣根を越えて連携し、絶滅の危機に瀕する野生動物を守る仕組みを構築します。
さらに、学校法人滋慶学園との連携協定により、保全現場が学生にとっては実践的な教育素材となり、私たちにとっては将来の担い手を育成する場となっています。教育と保全が両立するこの新しいモデルは、収益性のない保全活動を持続可能にする現実的な突破口であり、社会全体で野生動物を守るための力強い一歩です。
皆さまのご支援が、未来の命をつなぐ力になります。
支援金の使い道



当センターでは常時40種以上・1000頭以上の希少動物を管理しています。
寄付金は飼育動物の飼料、飼育器具、施設整備に使用させていただきます。