私たちの取り組む課題
●組織の運営
1-1. 広く会員を募集して、ネットワークへの参加者を拡充する。
2-1. 安定的な組織運営に必要な会費や寄付金を集める。プロジェクト実行のために、効率的、効果的に運用できる補助金を獲得する。組織運営や活動・研究を担う人材を募集、育成する。
3-1. メーリングリスト、オンライン会議など、インターネットを活用したコミュニケーションを充実させる。会報や資料を作成し、会員に配布する。
●地域との連携
4-1. 地域の湿地の保全およびNGO との連携の仕方について、地域のNGO とともに検討し、特に緊急な問題を抱える地域(ホット・スポット)への支援や地域のNGO との協働を積極的に進める。
そのための方法、体制について検討し、態勢を整える。
5-1. 各地のNGOの活動をつなげ、全体的に支援するための取り組みを実施する。
●国際的な連携
6-1. 世界湿地ネットワーク(WWN)の日本およびアジア地域のパートナーを務め、各国のNGOと連携して活動する。
7-1. 韓国などアジアの湿地保全グループとの連携を緊密にし、交流のための活動を実施する。
8-1. ラムサール条約、生物多様性条約などの国際会議やイベントに参加し、情報収集や、サイドイベント・展示等を通じた情報発信を行う。
●行政との連携・提言
9-1. 湿地保全に関する政策の情報を収集し、関連するNGO や専門家の協力を得ながら、政策提言を行って、実現を図る。
10-1. 既存のラムサール条約湿地の保全状況などを把握する。新規登録に関する活動を地域NGOや行政と協働で行う。
●第一次産業との連携
11-1. 農林水産各分野のNGO との交流を促進し、特に水田における生物多様性向上のための活動を進める。
●一般の人々との連携
12-1. 観察会・学習会などの実施やインターネットでの情報発信などを地域のNGO と連携して行う。湿地保全に関する資料や啓発ツールなどを作成して一般に配布する。
●情報や知識の収集と公開
13-1. ラムサール条約に関する情報収集を行い、翻訳や出版、報告会などを行う。
14-1. 情報収集と調査研究を行い、資料集の作成やインターネットでの情報公開などを行う。
15-1. 湿地の自然環境の調査など独自の調査研究活動を行って情報を公開する。
なぜこの課題に取り組むか
日本や韓国をはじめ東アジアの国々は、かつては湿地を賢明な方法で利用していた。湿原には水田がつくられ持続的な農業が営まれ、河川や湖沼は内水面漁業や舟運に利用され、遊水池、貯水池として治水、利水の役割も担っていた。干潟や藻場、浅海域、サンゴ礁では持続的な沿岸漁業が営まれ、豊かな漁獲があり多くの海産物が得られた。これらの湿地には、栽培植物や漁獲対象種ばかりでなく、様々な生物が数多く生育、生息し、湿地の生物多様性を保持し、水辺の生命と暮らしのつながりを形作ってきた。
しかし、国家政策として、第一次産業よりも製造業や重化学工業による経済発展が重視されるようになると、湿原や干潟は埋め立てられ、工場用地や住宅地などに姿を変えていった。減反政策で水田面積が減少し、一方では、農薬が多用され生物相は貧弱になった。各地で湿地を守る市民運動がくり広げられ、いくつかの湿地は保全されたが、多くの重要な湿地が失われている。
私たちは、2008年 3月に「ラムサール COP10のための日本 NGOネットワーク」を設立し、韓国の NGOとともに「世界 NGO湿地会議」( 2008年 10月)を開催し、スンチョン NGO宣言の採択、「世界湿地ネットワーク( WWN)」の発足、地域に根ざした NGOのかつてない協力、協働の広がりなど、大きな成果を上げた。また、続いて開催された第 10回ラムサール条約締約国会議に参加し、「水田決議」の提案と採択など、 NGOの立場で条約の実行と湿地の保全に貢献した。
私たちは、「ラムサール COP10のための日本 NGOネットワーク」の活動によって得られた成果を引き継ぎ発展させることが、日本の湿地保護運動にとって不可欠であるとの認識と合意に至ったことから、その後継組織として「ラムサール・ネットワーク日本」を設立し、地域に根ざした湿地保護運動を継続し発展させることを決意した。
「ラムサール・ネットワーク日本」は、日本各地で、湿原、河川、湖沼、水田、ため池、砂浜、干潟、浅海域、サンゴ礁、マングローブ林などの湿地にかかわる地域の環境 NGOや個人から成り立っている。その目標は「地域の草の根グループと連携し、湿地にかかわるNGOのネットワークを運営し、ラムサール条約にもとづく考え方・方法により、すべての湿地の保全、再生、賢明な利用を実現する」ことである。
この目標を実現するため、地域の湿地 NGO、世界の NGOと連携し、ラムサール条約を有効に活用し、政策提言を行い、農林漁業との関係を重視し、一般への普及教育をすすめるなど、多くの行動が必要とされている。
私たちは「ラムサール・ネットワーク日本」を広く会員に開かれた組織として設立し、各地域で湿地保護に活動する多くのグループ、個人の意見を取り入れ、その活動を世界につなぎ、湿地の生物多様性を守り、賢明に利用し、未来の世代に引き継いでいきたいと考えている。
寄付金の使い道
新型コロナウイルスのパンデミックによって、延期を重ねた2つの国際会議が、2022年の冬に開催されます。
当初の予定では、中国の武漢で開催される予定であったラムサール条約第14回締約国会議は、11月5日~13日、スイスのジュネーブで開催されることになりました。
また、同じく、中国の昆明で開催される予定であった生物多様性条約第15回締約国会議は、12月5日~17日、カナダのモントリオールで開催されることになりました。
当団体は、毎回、サイドイベントを開催して国際会議の場でプレゼンスをアピールしています。
加えて、当団体にとっては、大変嬉しいことに、理事の呉地正行さんがラムサール条約の賢明な利用の賞を受賞しました。
会期中に授賞式が行われます。
燃料高騰、急な円安に加えて、渡航費がアジアからヨーロッパに変更となってしまいました。