私たちの取り組む課題



「魚を食べる」が当たり前じゃない世界がやってきた😢
1980年代におよそ1200万トンあった日本の漁業生産量は、3分の1ほどになってしまっています。
漁業者の減少、海水温の上昇など、さまざまな理由がありますが、
過剰漁獲によって水産資源が減少していることは、国の研究機関が発表している報告書などからも明らかです。
サケ、サンマ、スルメイカ、サバなど、私たちにとって身近な水産物の資源状態はとても悪い状況です。
漁獲規制を強化し、短期的に資源を守ることを優先させれば、資源が回復して長期的な漁獲量は増えるはずですが、
なかなか改革も進んでいきません。
海に囲まれた国、日本では、大昔から人々は海の恵みに頼った暮らしをしてきました。
しかし、近年では魚の値上がりもあり、なかなか手が出ない食材になっていると思います。
その背景には、上にあるような、資源管理の問題があるのです。
豊かな海と美味しい魚を食べ続けるにはどうしたらいいのでしょうか?
「日本は海の国だ」ということ、意識していますか?
日本は海に囲まれた島国です。
日本の海は、国土の10倍以上の面積があります。
日本の国土面積は世界で61番目にもかかわらず海岸線の長さは世界第6位、日本の排他的経済水域(EEZ)の大きさも世界第6位です。
日本が「海の国」であるともいっても過言ではありません。
でも、学校では海のことを教えません。
海の水は塩水で、波があり、干潮と満潮がある・・・そんな基本的なことさえ、学校では教えないのです。
こうして、私たちは海のことを知らないまま大人になり、知らず知らずのうちに海は豊かさを失っているのです。
海を守るためになにをすべきか、たどりついた「学ぶ」という結論
海の未来を守るためには、私たち一人ひとりがもっと海のことを知る必要があります。
でも、学校のカリキュラムはいっぱいいっぱいだし、先生たちは教えることが多くて大変です。
国語、算数、理科、社会に加え、2020年度からは英語が加わりました。
クラブ活動や部活動、いじめの対応など、教科以外のこともいろいろあります。
この状況で、新しく「海」という教科を追加するのは難しいでしょう。
そこで、私たちは、家庭で学べるオンラインの学校をはじめました。
1匹のおさかなから未来を学ぶ「おさかな小学校」の誕生
私たちは必ずしも海に近くに暮らしているわけではありません。
小中学校で海を教えない理由として、海が遠い学校では直接体験できないから、というものがあります。
コロナ禍で、日本ではオンライン学習が一気に進みました。
オンライン学習なら、海の動画を通じて、海について学ぶことができます。
知識をもとに、海に行けば、知識と実体験をつなげることができます。
おさかな小学校の授業はマグロ、鯛、エビなど、身近な食材を入り口にしているので、
スーパーマーケットや鮮魚店で魚を買うことができます。
魚を調理しながら体の作りを学ぶことができます。
オンラインなので、全国の漁師さんや水族館の飼育員さん、水産加工業者、研究者などとリアルタイムでつなぐことができます。
おさかな小学校の授業をきっかけに、漁師さんに会いに行き、船に乗せてもらった子もいます。
なぜこの課題に取り組むか



日本サステナブルシーフード協会のミッション
あらためまして、日本サステナブルシーフード協会・代表の鈴木允と申します!
大学時代に漁師の見習いをしたことがきっかけとなり、
築地の魚市場のセリ人、MSCジャパンの漁業担当を経て、水産コンサルタントと、
かれこれ20年以上、国内外の海と漁業に関わってきました。
「海が変わってきている」「魚が減っている」そうした漁師さんたちの悲鳴を聞きながら、
一方で消費者と生産者が一緒になってこうした問題に取り組む必要性を感じていました。
私自身は、漁業者と一緒にサステナブルな漁業に変えていくことを仕事にしていますが、
消費者に伝えることの必要性を感じ、2021年4月に日本サステナブルシーフード協会を設立しました。
サステナブルシーフード(Sustainable Seafood)とは、「持続可能な水産物」という意味です。
持続可能な水産物とは、持続可能な漁業でとれた水産物のこと。
いま、国内外の漁業では、過剰漁獲や不要な混獲、生態系の破壊など、さまざまな問題が起きていますが、
私たちが目指すのは、そうしたすべての問題が解決された理想的な未来です。
そこでは、漁業はすべて持続可能な漁業になっており、とれる水産物はすべてサステナブルシーフードとなっているはずです。
きれいで豊かな海があって、美味しい魚を食べ続けられる未来。
そんな未来を実現するためには、単にサステナブルシーフードのマークがついた魚を選ぶというだけでなく、
個人個人ができることがたくさんあるはずです。
旬の魚を選び、小さな魚や産卵期の魚は食べないようにするとか、
海岸でゴミを拾ったり、そもそもプラスチックのゴミを出さないようにしたり、
サステナブルな漁業や食についてSNSで発信したり。
そうしたすべての活動が必要だし、私たちはそうした取り組みを応援していきます。
協会のミッションは、持続可能な海と社会を目指す人々のために、学びと交流の場を作ることです。
学びと交流の第一歩として、私たちは「おさかな小学校」を運営しています。
一筋縄ではいかない問題にどう立ち向かうか。
多角的に考える思考のクセをつける「おさかな小学校」の挑戦
日本サステナブルシーフード協会の主な活動として、オンライン教育プログラム「おさかな小学校」を運営しています。
開校以来、毎週土曜日の朝に欠かさずに授業をしてきました。もうすぐ4周年、200回目の授業を迎えます。
海のサステナビリティと一言で言っても、その問題は非常に複雑です。
例えば、マグロが減っているからといって単純にマグロを食べずに保護する活動をすればいいのかというと
マグロ漁船に関わっている人、そして私たちの食卓からもマグロが消えてしまいます。
それは果たしてサステナブルだと言えるのでしょうか?
我々が目指すのは、豊かな海とおさかなをおいしく食べられる未来。
私たちの生活と自然界のバランスを取るために、
多角的に物事を考え、現場の人の話を聞き、決断をするというクセをつけたいと思っています。
そこで「おさかな小学校」はマグロやエビなどの身近なおさかなを入り口に、
海、魚、漁業、食文化、歴史、海洋環境などを話題を
子どもたちとお父さんお母さんたちに届けてきました。
授業では、さまざまな形で海とさかなに関わる全国のヒーローたちに、ゲストとして出演していただきました。
漁師さん、水産関係者、研究者、水族館の飼育員さん、NGO職員など、
海外ともオンラインでつなぎ、ウガンダ、チリ、ガラパゴス諸島などから生の声を授業中に聞いてもらっています。
授業がきっかけになって家でも魚をさばいてみた子、
魚の生態や漁業、環境問題について深く調べて考えた子、
漁師さんを訪問して漁業体験した子もいます。
オンラインでも徹底して現場主義を貫くことで、自分たちの生活の中で興味をさらに磨き
自律して探求していく子供達を多く輩出できました。
オンラインの枠を飛び越え、小中学校での出張授業やイベント出演へ
コロナ禍で始まったおさかな小学校も今は積極的にリアルな授業、通称「出前授業」を全国で行っています。
宮城県、埼玉県、長野県、東京都、愛知県、岐阜県、高知県、山口県にて、
「1匹の魚から日本を囲む海を学ぼう!」というテーマで、マグロ、カツオ、イカ、サワラなどを切り口にした授業を行い、子どもたちに学びと感動を届けてきました!
生き物と食べ物の間を実際に捌いてみてもらい、今、海で起きている課題を提起することで、
子どもたちの素朴な「なんで?」という問いを深掘りできていると手応えを感じています。
活動についてはnoteをぜひご参照ください!
寄付金の使い道



あなたの力を貸してください
おさかな小学校の「サポーター」を募集しています。
海は国境であり、私たちの文化であり、生き物の起源です。
海を豊かにすることは私たちの生活も必ず豊かになると確信しています。
だからこそ、海のことをすべての日本人たちが基礎知識として知って欲しい。
日本には、約600万人の小学生がいます。
もちろん、「小学生全員に海の学びを届けたい!!」と思って活動していますが、
週1回、Zoomを使った配信では、めいっぱい300人が限度ではないかと思います。
とはいえ、オンラインでできるギリギリのところまでは、なるべく多くの子どもたちに海の大切さを伝えたいと思っています。
オンラインでの「おさかな小学校」は継続しながら輪を広げ、同時並行で
小中学校での出張授業、各種イベント出演、海洋教育人材の育成、などを行っていきます。
また、義務教育のなかで「海」についてもっと教えるよう文部科学省などに働きかけていきます。
こうした活動を続けていくために、「おさかな小学校サポーター」の制度をはじめます。
個人サポーターは、一口5,000円/年(何口でも)
法人サポーターは、一口50,000円/年(何口でも)
希望者は、ホームページにお名前を掲載します。
サポーターに登録する方は、こちらの「年会員になる」のページからお申込みください。
https://syncable.biz/associate/JSSS/donate/membership
また、「寄付する」のページからは単発の寄付や毎月の寄付もいただけます。
いただいた寄付金は、
・子どもたちに見せるための魚介類の購入費
・教材(フィギュア、ぬいぐるみ、工作の材料)の購入費
・教材(画像・動画など)の購入費
・取材のための旅費・交通費
・ホームページの作成・維持・管理費
・オンライン配信用のカメラ、PC周辺機器、照明などの購入費
・教材をしまうためのトランクルームのレンタル料
・インスタグラムなどの広告費
などの用途で大切に使用させていただきます。
必ずしも、サポーターになるだけが支援ではありません。
・知ってくれること。
・小中学校に働きかけること。
・お子さんと一緒におさかな小学校で学ぶこと。
・ゲストの先生としてお話してくださること。
・誰かに伝えること。SNSの発信をシェアすること。
・アイデアをくださること。
・ボランティアとして手伝ってくださること。
こうしたことが、私たちの力になります。
どうぞよろしくお願いいたします。