私たちの取り組む課題
平成23年3月1日、障がいのある子どものデイサービス「フレンドリー」をオープンしました。初めて子どもが来た時は嬉しくて今でも覚えています。ピンポーンと呼び鈴が鳴り、玄関先に立つ両親と、母親の腕の中に抱かれていた3歳の女の子。NPO法人Community Lifeの活動の始まりです。ローラー滑り台の公園までよちよち歩き、ぎこちなく鉛筆を握ってひらがなを書き、ビート版をぎゅっと胸に抱えてキャッキャッと泳ぎ、そして一人で帰ると言ってバスの練習を頑張った。一人一人と大切に関わり、あっという間に時が過ぎていきました。彼女の成長と共に私たちも歩んできました。
【国内事業に関して】
①フレンドリー運営
児童発達支援・放課後等デイサービス事業として13期目に入ります。一人一人手間暇かけ、そして小学校1年生で利用し始めた子どもが卒業していくまでの支援と成長過程に関しての実践が蓄積していることが強みで、少人数個別性を重視して子どもたちと楽しく関わっています。
②愛媛県で暮らす外国人のためのソーシャルワークサービス
愛媛県内でも地域で暮らす外国の方が増えて来ています。「相談」ではなく「ソーシャルワークサービス」とした理由はこれも個別性です。相談窓口は行政各所に増えて来ていますが、「暮らし」は総合的なものであり、日本語も国内事情もよく分からない外国の方に寄り添って、一人一人の「暮らし」を考えて支援をしていくためにはソーシャルワークの枠組みや概念は大切です。
③子ども食堂みんなでCooking
月に1度日曜日に開催しています。子どもだけの参加で、みんなとお買い物してお料理して食べています。食事は、私たちが子どもの頃に母親がよく作ってくれたようなメニューにしています。スマホが普及して一人で過ごすことも増えて来ていると思いますが、みんなと過ごすことが楽しく感じて、将来大きくなった時でも力を貸してあげる、困ったら力を借りられる人になって欲しいと思います。また小さいですがフードパントリーもあり、困った人たちに配布しています。
④生きづらい若者のための「夜間教室」
今年度から「赤い羽根福祉基金」から助成を受けて開講します。生きづらいという言葉がキーワードとなり、制度の狭間で何の支援もなく、社会での生活が上手くいかない人たちが増えて来ています。夜間中学校をモデルとして、学び直しを活動の中心とした中間集団を形成して、次の一歩に踏み出していけるような活動にしたいと思っています。経験豊かな教員やカウンセラーを配置して福祉的色合いが強い教育活動にしていきたいと思っています。
④国際理解教育
市内小学校にフィリピンの子どもたちと繋ぐ交流授業をサポートしています。オンラインで現地と繋いでコミュニケーションをとったり、プレゼントを贈ったりと遠い異国の同年代の子どもたちの様子をオンタイムで学べる機会として貴重だと思っています。またその他、年に3回ほど「多文化Cooking」というイベントを開催して2-3か国の外国の方と一緒のお料理をしてワークショップをする機会も提供しています。
【海外事業に関して】
現在フィリピン共和国モンタルバン市において、障がい児の親の会「サマバカモ」と一緒に給食提供の活動を土曜日に実施しています。障がいのある子どもだけでなく、コロナ禍による失業とインフレ下での物価高で食料を思うように購入できない地域の家族と子どもたちがたくさんおり、予想以上に栄養不足の子どもたちは多く、土曜日を楽しみにしてくれています。サマバカモのメンバーや障がいのある子ども・青年、そしてボランティアさんの協力も得ながら楽しく明るく食事の準備をしてくれています。障がいがあるため外出できない子どもにはお弁当を配達する活動もしています。おおよそ1年間継続し、今年度は今井記念海外協力基金様の助成を受けて、”フィリピンに「子ども食堂」を広げようプロジェクト”として再出発しました。日本の子ども食堂のように広がって行けばいいなと思います。食事だけでなく、学校にも通うことが難しい子どもには学習活動も行いながら、子どもたちの育ちを支えています。
なぜこの課題に取り組むか
Friendlyという言葉が好きで、「フレンドリー」を運営しています。Friendlyには友好的という意味の他に、「やさしい」という意味も含まれています。User-friendly computer (ユーザーにやさしい:使いやすいコンピューター)、Environment-friendly Society(環境にやさしい社会)など。今、私たちは地域にやさしい、Community-FriendlyなNPOを目指しています。
現在の地域社会には多様な人たちが暮らし、さらに個別化が進んでいます。一人でも生きていける環境・制度が整う一方、孤独・さみしさなどの精神的な不自由さが募る社会にもなっている気がします。地域が急速に多様化していくにもかかわらず、社会構造や慣習はなかなか変わらず、本流から外れてしまう人たちもまた多様化し、地域に点在して暮らしています。私たちがこのような多様な人たちへの支えであるためには、幅広い経験や知識が不可欠だと思っています。そしてSDGsのLeave no one behind「誰一人取り残さない」、その一人に必要な団体でありたいと思っています。
寄付金の使い道
NPO法人Community Lifeの活動に使用させていただきます。資金的に特に不足している活動は、フィリピンの活動です。できるだけ多くの子どもたちへの食事提供ができればと思っています。Community Lifeの活動において、私たちは子どもたちを集団的に見ることはせず、個別的支援を基本としています。一人一人違う手間暇をかけていくことが最善ですが、経営的から見るとどうしても「合理的」ではありません。そのジレンマは草の根レベルで社会問題に向き合っている多くの人・団体が感じていることではないかと思っています。もちろん、私たちもです。このジレンマを解消してくために皆様と一緒に取り組んでいけることを希望しています。