
事業の目的
「ホッとサークル」は、障害のある方や支援者が、就職後も安心してつながり続けられる"第3の居場所"として誕生しました。
働き始めた後も、悩みや不安は尽きません。「職場でうまくいかない」「相談する相手がいない」「孤立してしまう」——
そうした声に耳を傾け、孤立を防ぎ、継続的な成長を支えることを目的としています。
このサークルでは、生涯学習の視点を取り入れています。年齢や立場にかかわらず、学び直しや自己理解のプロセスを大切にし、次のような機会を提供します。
・感情の整理:働く中で感じるモヤモヤやストレスを、安心して話せる空間で言語化。自分の感情を理解し、扱える力を育てます。
・学び直しの機会:コミュニケーション・キャリア・生活スキルなど、社会人として必要なことを「学び直す」ことで、新たな気づきや成長へとつなげます。
・人との対話:同じように悩みながらも働く仲間たちとの対話を通じて、「自分だけじゃない」と感じられる安心感と、新しい視点に出会える場となります。
また、支援者・専門職も対象に含めることで、利用者と支援者が一緒に学び、育ち合う関係性を築いています。
福祉や教育、医療などの専門家が、それぞれの専門性を持ち寄りながら、一人の人の人生に寄り添い続けるモデルを育てています。
「ホッとサークル」は、障害のある方が"働きながら育っていく"ことを支える、これからの社会に必要なプラットフォームです。
隔月1回開催されるこのサークルが、一人ひとりにとっての「安心できるつながり」と「自分らしい成長のきっかけ」になることを願って、今後も活動を続けていきます。
これまでの活動
1. 定期開催の小規模サークル(隔月1回)
就労後の障がい当事者や支援者が、日々の悩みや変化を語り合うことができる安心の場として、小規模サークルを継続的に開催してきました。
主なテーマ例
「職場でのコミュニケーションのコツ」
「仕事と体調のバランス、どう整える?」
「モチベーションが下がった時の対処法」
参加者の声:
「ここで話せることで、明日も頑張ろうと思える」
「他の人の工夫を知れて、自分も試してみようと思った」
2. 生涯学習的ワークショップの実施(例:キャリアと人生の振り返り)
単なる情報提供ではなく、自分自身の経験や価値観に向き合うワーク型プログラムも取り入れています。
ワークショップ例
「キャリア年表を描いてみよう」
「ストレスとの付き合い方マップ」
「"働く"って何だろう? 自分にとっての意味を考える」
・支援者・専門家の参加もあり、「当事者支援と自己成長」を両立する学びの場となっています。
3. 支援者・専門家の情報交換会(ゆるやかな学びの場)
就職後の定着支援に関わる福祉事業所、企業、医療機関、教育関係者などがゆるやかに集まり、「こんなときどうしてる?」を気軽に共有できる会も実施しています。
話題例:
「継続雇用が難しいケースへの対応」
「障がい特性をどう企業と共有しているか?」
「支援疲れやバーンアウトとの向き合い方」
・お互いの立場を尊重しながら、感情の共有・情報交換・応援の場として機能しています。
4. 活動報告会・シンポジウムの開催
サークル活動の成果を地域に伝えるために、活動報告会・シンポジウムも実施しています。
・障がいのある方の「働く・続ける・育ち合う」リアルな声を伝えるトークセッション。
・福祉・教育・企業の立場から、支援の現場や課題を語るパネルディスカッション。
・地域の人も参加し、「多様な人が共に働く社会」を一緒に考える機会となっています。
これまでの「ホッとサークル」は、一方通行の支援ではなく、"支える・支えられる"の境界を越えた関係性づくりを目指して取り組まれてきました。
参加者からは、「仕事を通じて孤立していたが、ここでつながりを感じた」「学び直すことで"自分の人生に意味がある"と思えるようになった」といった声が寄せられています。
今後は、こうした価値ある場を、さらに多くの地域・立場の方々へ届けていきます。
これまでの事業成果
1. 「孤立」の軽減と安心できる居場所の創出
就労後の障がい当事者や支援者が、孤立感を抱えたまま仕事を続けることが多いなか、ホッとサークルが「気持ちを話せる」「自分のままでいられる」安心の場として機能し、参加者同士の自然なつながりが生まれました。
•声の変化:「ここでなら失敗談も話せる」「人と繋がれる場所がなかったため、嬉しかった。」
•データ的成果:継続参加者の9割以上が「今後も参加したい」「自分らしく話せる場ができた」と回答。
2. 生涯学習視点でのキャリア再構築支援
単なる"職場での困りごと相談"に留まらず、人生を振り返ったり、自分の価値観に触れ直すワークを通じて、参加者が自分の生き方・働き方を再定義するきっかけを得ました。
成果事例:
・「キャリア年表ワーク」で、自分の強みや変化に気づき、今後の働き方を前向きにとらえ直した。
・支援者自身も「支援=与えるもの」ではなく「共に学び合う場」と捉え直し、バーンアウトから回復。
3. 支援者・専門家の交流による"孤立しない支援"の実現
福祉や教育・企業内支援など、分野を越えた支援者同士が出会い、実践事例や悩みを共有する中で、新たな連携や共同実践が生まれる土台ができつつあります。
成果例:
・異なる事業所の支援者が、当事者支援で連携しはじめた。
・専門家同士で勉強会を立ち上げたきっかけとなった。
4. 地域・行政・企業との共創的な対話の場を形成
サークルの活動報告会や公開イベントでは、支援現場に関わらない地域の人々や行政・企業担当者とも対話が生まれ、「共に考える・支え合う」社会づくりの第一歩となる場を生み出しました。
成果例:
・地域企業が「職場体験の場」として協力を申し出た。
・行政職員から「こういう声が聞けて現場理解が深まった」とのフィードバック。
総括:ホッとサークルが育てている"見えにくい価値"
「成果=就職者数」「参加人数」などの定量的指標だけでなく、この事業では以下のような"見えにくいけれど大切な変化"が生まれています。
•自分の過去・現在・未来を肯定できるようになる。
•支援を「一人で抱え込まなくていい」と感じられるようになる。
・つながりの中で、社会と関わる力が自然と回復していく。
こうした「育ち直し」「信頼の回復」「自己決定の土壌づくり」こそが、ホッとサークルが目指す成果です。
今後も、参加者一人ひとりの内側に芽生える"変化の兆し"を見つけ、支え、広げていきます。
事業の必要経費

「ホッとサークル」の運営には、定期的かつ継続的な場の提供、参加者への配慮、学びの質の確保が求められます。そのため、以下のような多岐にわたる経費が必要です。
①会場費・設備使用料
・アクセスしやすく、バリアフリー対応の会場を借りるための費用。
・小規模グループワークや対話型のセッションを行うために、静かで安心できる空間が必要。
・必要に応じて空調・音響・プロジェクターなどの機材使用料も含まれます。
②講師・ファシリテーター謝礼
・当事者・専門家・支援者が共に学ぶ場として、適切なナビゲートができる外部講師やファシリテーターの謝礼。
・メンタルヘルス・キャリア支援・ライフスキルなど、多様なテーマに応じた専門家を招きます。
③運営スタッフ人件費
・サークルの企画・連絡調整・当日の運営を担うスタッフの人件費。
・特に、障がいのある方の参加においては、事前配慮や個別の対応が不可欠です。
④ 広報・チラシ制作・発送費
・サークルの存在を必要とする方に届けるため、わかりやすく魅力的な広報物(チラシ・SNS画像など)の作成。
・地域の就労支援機関、医療・教育機関等への送付費・配布費用。
⑤学習教材・備品費
・自己理解や対話を深めるワークシート、参加者のための筆記用具や配布資料など。
・回によってはワークショップ形式のため、カード教材や模造紙などの消耗品も使用します。
⑥記録・評価・報告のための費用
・活動の様子を撮影・記録し、関係者への報告資料やWeb発信に活用。
・効果測定・参加者アンケート・改善のための外部評価費用も含みます。
⑦オンライン対応費用
・遠隔地や外出が難しい方のために、オンラインでも参加できるハイブリッド開催時の通信環境整備・機材導入費。
このように、「ホッとサークル」は単なるイベント開催ではなく、「安心してつながり続け、学び、成長できる場」を継続的に運営するために、さまざまな経費がかかっています。
ご支援いただいた寄付は、こうした一つひとつの費用に充てられ、社会に確かな循環を生み出す大切な原動力となります。