ひきこもりのための24時間365日やっている居場所を守りたい!

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🌟応援コラム③🌟 伊藤康貴(社会学者)

2025/3/2 12:00

🌟応援コラム③🌟 伊藤康貴(社会学者) Main Visual

(写真は昔のとよなかリレーションハウス)

リレーションハウス、行ってみて思ったこと。

阪急の曽根駅から改札を出て左に、緩やかな下り坂の道を歩いていくと、やや古めかしい木造の二戸一長屋がみえてくる。屋根から「とよなかリレーションハウス」の看板がぶら下がっている。「ここだ。ここだ」。玄関は左右に二つみえるが、右側の玄関から出入りするらしい。ガラガラガラ。引き戸を開けて「ごめんください」。

そこはまんま「人んちの玄関」である。すでに参加者が集まっているのか、玄関の土間は靴でいっぱいだ。「こちらへどうぞ」。招きに応じて靴を脱いで右手側の部屋に入っていく。こちらもまんま「人んちのリビング」である。木造の古めかしい建物(家屋)ということもあり、どこか懐かしさも感じさせる部屋だ。大きな液晶テレビ(アンテナはつながってない)、テーブル、椅子、ソファがあり、先に来ていた人はパソコン作業をしていたり、本を読んだり、みんなもくもくと過ごしている。年季の入ったソファはだいぶくたびれているが、寝転がっている人をよりいっそう包み込んでいた。

もうすぐお昼、台所の方ではカレーを作っているようだ。スパイスのにおいがリビングの方まで漂ってくる。そういえばまだお昼を食べてない。「カレー食べられますか?」。腹の音もならないうちに「いただきます!」と即答。思いがけず、美味なカレーにありつくことができた。

今日はリビングの部屋を使ってオンライン配信をするトークイベントである。wi-fiを使わせてもらってYouTubeの限定配信の画面をみながら、イベントに参加する。テレビモニタにもその画面が映し出されて、オンラインの参加者の顔や名前がみえる。何やら懐かしい顔ぶれも。

イベントが終わったら残る人たちでリビングで懇親会。デリバリー・ピザを頼んだり、近くのコンビニやスーパーに買い出しに行ったり。私もビールを買いにみんなの買い出しについていき、そして戻ってみると、知らない銘柄のウィスキーボトルがテーブルに何本か。「どっからでてきたんこれ?」。ある意味ウィークタイらしい。酔いながらみるみる時間が過ぎていく。なぜか話は尽きない。不思議だ。

気が付いたらお開きの時間。帰る人は帰る。「そうそう今日は泊まるんだった」。リレハにもシャワー室はあるが、「近くに銭湯ありますよ。いきましょう」。歩いて10分弱。阪急の高架を過ぎてしばらくするとタコの看板が。この銭湯、その名の通りたこ焼きも売ってるらしい。もう夜も遅いのでたこ焼きは終わり、今日はお風呂だけ。銭湯の2階は露天風呂で、なかなかに気持ちがいい。湯上りにみんなでラムネを飲みながら帰る。左手側に大きな公園。「そういえば昔ここでみんなで花火したな」。ふと、数年前にあったリレハのイベント後のことを思い出す。

リレハに帰ってきて寝床の用意。1階と2階、いくつか泊まれる部屋はあるようだ。畳の匂い。「えらい年季の入ったふとんやね」。お盆にいつも帰っていたおばあちゃんちの布団を思い出す。薄くてかたくて少し埃っぽいけど、どこか懐かしい。もう疲れたのか、同室の人は二言三言で寝落ちしてしまった。家族以外のだれかと一緒に泊まるのはいつぶりだろうか。泊まれる居場所、仲間がいる。家に帰ってひとりふっと孤独感に襲われることはない。

失われて気づく、なんてことない日常。「うちではそんなんもなかったわ」、ついさっき聞いた言葉。「でもそれがふつうやと思ってた。みんなで楽しくわいわいなんてこと知らんやった」。みんなが同じような家族を過ごしているわけではない。家族がしんどいことがある。家に帰りたくないときがある。「ここがなくなったら私はどこに行けばいいの?」。

365日24時間、誰かのために開かれてるリレハ。古めかしい二戸一木造長屋の空間におけるこのクレイジーな実践(実験)によって救われた人は確かにいる。この空間やそこでの出会いは、私たちの日常を捉え返し、揺さぶり、編み直し、組み替えていく。それはあまりにも日常的すぎて、肩肘張った「支援」の枠組みでは決して捉えきれないが、しかしその日常こそが生きづらい問題の核心だったのではないだろうか。


伊藤康貴(社会学者・大手前大学准教授)


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以下、伊藤さんの文章を拝読して、リレーションハウス管理人も文章をつづらせていただきます。


さびしくない、実家の出かた

ひとり暮らしを、したことがなかった。ほんとは、大学生のときにやっていればよかったかなと思う。けど、大学があった京都でうまく人とつながれなくて、実家暮らしのまま、卒業してしまった。卒業後も、実家。うまく外の世界に出られないイライラからか、家族とケンカもしがちだった。

さびしいのはイヤだった。けれど、他人と一緒にいることも、緊張してむずかしい。大学に入ったとき、寮に入ったけれど、知らない人とずっと一緒にいるのはしんどくて、すぐ辞めてしまった。卒業後、勇気を出して台湾に語学留学をした。台湾の大学寮は相部屋だったけど、空き部屋を見つけてひとりの空間をつくりつつ、4ヶ月を過ごした。いい成功体験だった。

ひとりぐらしはお金がかかる。コスパなら、実家暮らしが一番いい。けれど、ほんとはもっと外に出てみたい。30歳になって、かつての理想と、何をやったらいいのか、何ができるのかわからない現実とのギャップに深く悩んでいたとき、時々行っていたとよなかリレーションハウスで、声がかかった。「リレハの管理人やりませんか?」。それなら、やれるかもと思った。

イベントの時はとても楽しい。けど、何もない日はひとりで、さびしかった。いつしか、スタッフのIさんが泊まってくれるようになった。Iさんとリレハのリビングで色々話す。味噌汁作ったよと言って、Iさんにもあげる。Iさんのパンをもらう。東京や鳥取、ときに台湾の友人が泊まりに来てくれる。遠くにいる友人とも、会いやすくなった。近くの友達も、時々遊びに来てくれる。ふたりで、あるいはみんなで一緒にたこ湯に行って、ゆっくり話す。2時間くらい、すぐだ。

いつも、誰かが来てくれるわけではない。さびしいのは苦手で、時々実家に帰る。拠点が増えた感じ。きっとそれは、めぐまれている。

日常を、ほかの人たちとシェアする感じ。一緒に、日常すごしませんか?


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