＊2年前（2020年）に発刊された、『ウリハッキョマダン冊子』の文を紹介いたします。

【ウリハッキョマダンの想い出】

滋賀朝鮮学園　金隆泰（キム・リュンテ）

第一回から舞台司会などで深く関わらせていただき、楽しい想い出がいっぱいだ(笑)。

　もちろん14回ともなんらかの役で参加させてもらってますが、今では店舗を回りながら見られるチングの皆様のかき氷のような涼しい笑顔や、新田のお姉さま方の活気や、彦根のさいぼしを炙る煙に触れるだけで心地良い。

　中でも印象に残っているのが、どこかで人権講師をした時に最前列で『ミサイルと拉致問題はどうなってんのや？！』と開口一番だった方がマダンに参加してくださった事だ。私は講義で、『国家代表でもありませんが、日本との戦争でおじいちゃんを日本軍に駆り出された拉致被害者家族なので辛い気持ちは分かります。』と答えた。日本に住む在日コリアンの子ども達の教育に携わっているものとして、一度遊びに来てくださいという私の提案におじいちゃんは答えてくれた。『報道とぜんぜんちゃうなぁ…』と、おじいちゃんは遠くを見つめていました。

　結構な確率で『私もコリアンです。』とカミングアウトする日本の学校に通う学生さんとも出会えた。テントはご存じの《しゃべり場》で、聞いた同級生たちが目を丸くしたのを今でも思い出す。

　みんなで作り上げてきたマダンという空間は、自分を当たり前のようにさらけ出せる不思議な力を持っているようだ。

　毎年ほぼ半年ぐらい練り上げて準備するマダンで、出会えた方や団体も多い。

　今ではその方達が、社会的に弱い立場であるコリアンやウリハッキョを守り成長させてくださる。そんな事を狙ってマダンを発起された訳ではないだろうが、一生懸命に生きているとこうやって繋がっていけるのだと感じている。