絵本作家 保科琢音くん 応援メッセージ
2020/7/9 13:44
ぼくは絵本作家です。
ぼくを絵本作家にしてくれたのは娘です。
そして、娘を産んでくれた妻です。
娘は重症心身障害児。
「col4A1遺伝子異常」という病名がついています。
「コルフォーエーワン」という遺伝子の病気。
希少疾患で、まだあまり知られていない病気。
今年8歳になる娘は、今でこそ入院する機会も少なくなりましたが、2歳になる頃までは頻繁に長期入院を繰り返していました。
地元横浜の病院だけでなく、東京の病院へも行くし、大阪の病院にも二カ月程入院していた事があります。
地元から遠く離れた大阪の病院。
周りに知り合いや友達のいない場所での長期入院は、親としても多少の不安がありました。
しかし幸いにも、入院していた病院には隣接された「ファミリーハウス」があり、面会時間外はそこを仮の住まいとして生活する事が出来ました。
同じ病棟で入院している子ども達や親御さん達もすぐに仲良くしてくれて、遠く横浜から来たぼく達家族をときに励まし、勇気づけてくれました。
手術を控えていた娘も、小さいながら本当によく頑張ってくれたし、妻なんか帰る頃にはエセ関西弁を喋るようになっちゃった位。
今思えば、大坂での入院生活には良い思い出がたくさんあります。
初めての場所での長期入院生活ながら、ここまで良い思い出がたくさん出来たのは、周りの方々に本当に恵まれたからだと、今も親子共々感謝しています。
しかし、日本中がそんな病院ばかりではないという事も事実。まだまだ設備や施設、仕組みが整っていない病院も多いのが現状です。
子どもの入院生活で一番に頑張っているのは勿論、子ども。
そして、一番頑張っている子どもと一緒に頑張るのが、親。
理想はやっぱり、どちらにとっても快適な入院生活であって欲しい。入院生活なのに快適っていうのもおかしいかもしれないけれど。
体を治すには、まず心、ですよね。
子どもとの入院生活では大変なこともたくさんあるけれど、ときには楽しいことも待っています。
歌や音楽を奏でてくれるアーティスト。
楽しい踊りを披露してくれるピエロさん。
着ぐるみではない本格的なサンタクロース。
そんなひと達が、入院中の子ども達を笑わせてくれる。病気と戦っている子ども達を、どんどん笑顔にしてくれる。
それは子ども達だけでなく、周りの親もきょうだいも、ときに看護師さんや先生達の心も、癒やしてくれる瞬間です。
そんな場面に当事者としてたくさん触れてきたぼくは、いつか絵本作家として、あのひと達と同じような活動がしたいと想うようになりました。
そして今、ぼくは絵本作家として、子ども病院や子ども医療センター、障害児施設や乳児院でのイベントをさせてもらっています。
他の絵本作家さんには出来ない、ぼくにしか出来ない活動。
そんな活動の中で、「笑顔の花」の茅房栄美さんと知り合いました。想いも、信念も、志も行動も、たくさんの共感が栄美さんにありました。
父方の田舎でもある長野。ぼくのルーツでもある長野で、このようなご縁が繋がった事を心から嬉しく思っています。
栄美さん達の活動がたくさんの方に知って頂けるように、ぼくも絵本作家として、たくさんの「笑顔の花」を咲かせていきます。
ぼくは絵本作家です。
ぼくを絵本作家にしてくれたのは娘です。
娘が娘として生まれてきてくれたおかげです。
そして、娘を娘として産んでくれた妻のおかげです。
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