Issues we are working on
被害を自覚できるのに7年半の時間が必要
性暴力の被害を自覚するまでに、平均して7年半の時間がかかることを知っていますか?
この現状には、性暴力に関する正しい知識が不足していることが一因にあると考えています。
性暴力とは?嫌だと感じた性的な行為全て。
性暴力についての定義や範囲が誤解されることが多いですが、性暴力は嫌だと感じた性的な行為全てです。
強制性交や強制わいせつだけではなく、痴漢や盗撮、言葉による暴力や、露出なども許されない行為となっています。
性暴力の大半は10-20代の若者が被害者に。
内閣府の調査によれば、若者の4人に1人が性暴力の被害に遭遇したことがあると判明しています。
被害者の多くは10代〜20代の若年層に集中しており、若者にとっては非常に深刻な問題となっています。
性暴力・性犯罪という言葉は知っていても、具体的にどのような行為が性暴力に該当するのか、知らない人が多い実態があります。
実際に「性暴力ではないと思うけれど…」という前置きを使い、被害を相談をしてくれるケースも多々あります。
自分に責任を感じたり、セカンドレイプに遭遇するケースも。
被害に遭遇すると、被害者自身が「私が悪かった」と自責の念を感じやすい傾向があります。
加害者の大半が被害者の「知人」であるため、暴力だと認識したり、相手を悪く思いづらい状況があるのです。
さらに、第三者から「あなたが悪かったんじゃないの?」「大したことないよ」と言われる『セカンドレイプ』に遭遇してしまった場合、より被害を自覚しにくくなってしまいます。
SISTERSの活動で出会った22歳のHさんは、中学2年生の時に被害に遭い、大学生になってようやく、報道番組のニュースを通じて自分が性暴力の被害者であったことを自覚できました。
学校の授業で性暴力について学ぶ機会がなかったため、認識するまでに長い時間を要してしまったのです。
被害を相談できない人は6割程度、10代のうちに知ることが重要。
このような現状から、被害を誰かに相談できた人はわずか4割程度に留まっています。
長期間1人で抱え込んでしまうことで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)といった深刻な精神的影響が生じる可能性が高くなり、性暴力の被害者がPTSDを発症する割合が非常に高いことが明らかにされています。
性暴力に関する正しい知識が不足しているために、被害を自覚するまでに時間がかかり、誰にも相談できずに一人で抱え込むことになります。
Why we are tackling this issue
これらの問題を解決するためにSISTERSでは、誰もが性暴力の被害者、加害者にならないための出張授業を行なっています。
授業では、性暴力の範囲、被害後の心理的影響、支援資源についての基本知識を提供し、境界線や性的同意に関する包括的性教育の領域にも触れています。
参加者は性暴力の理解が向上。
クイズやワークセッションを通じて分かりやすく伝えた結果、参加者の90%以上が性暴力に対する理解が深まったことがわかりました。
大多数の生徒は性暴力は「レイプのみ」「遠い話」という認識がありました。
授業によって、性暴力の正しい範囲や内容、身近に発生する問題であることを知ることで、深い理解変化に繋がっています。
また二次被害の内容を話した場合、20%の生徒は友達が性暴力に遭遇したら「優しい言葉をかけたい」「助けられる人になりたい」と感想欄に自主的に記載をしていました。
予防授業は、二次被害を含めた加害者を生まないための授業としても進められています。
この課題に向き合う背景
なぜこの活動を始めたのか、それには代表鈴木自身の過去の経験があります。
私は高校生の時、性暴力の被害に遭いました。
しかし、その当時は性暴力が何であるかを理解しておらず、自分が被害者だと思うこともできませんでした。
インターネットで「性暴力とは」「性犯罪 どこから」と検索しても、学生が理解できるような情報はほとんどなく、たどり着いた先は匿名で相談ができる大手Q&Aサイトでした。
そこには、「性犯罪は激しく拒絶できたレイプのみ」「被害に遭ったあなたが悪い」という誤った情報が溢れていましたが、私はその情報を信じ、誰にも相談することができませんでした。
幸いなことに、様子が普段と違うことに気づいた友人のおかげで、1年後に相談できるようになり、「あなたは悪くない、相談してくれてありがとう」と言ってもらえたことで、精神的に回復することができました。
こうした経験を通じて、誰もが性別を理由に不条理な出来事に遭遇することなく、自分らしく生きられる社会を作りたいと思い、活動をスタートしました。
支援が必要な理由
現在、若い世代における性暴力被害の現状は政府も問題視しており、文部科学省から「生命の安全授業」にて性暴力に関する授業を実施することが推奨されています。
しかし、現場の学校では通達がまだ浸透しておらず、教師も授業の準備が困難だったり、万が一相談を受けた際にどう対応すべきか分からないという声が上がっています。
そのため、私たちは自治体や学校と連携し、出張授業を進めてきましたが、無償での開催が条件の学校や地域も多く、実施できる場所が限られているのが現状です。
学生時代に一度でも、性暴力に関する授業を受けてもらいたい。
この思いから、クラウドファンディングを実施することを決意しました。
LINE相談窓口で支援につなげる。
現在、授業に参加した生徒さん限定でLINEでの相談窓口を運用しています。
授業を受けたことで被害を自認できた場合でも、安心して相談できる窓口がなければ、相談に繋がることはありません。
政府が提供している相談窓口「ワンストップセンター」も紹介していますが、心理的にハードルが高いと感じる生徒も多く、気軽に話せる環境を用意しています。
男性の被害実態も伝えていきたい。
最近では、SMILE-UP.(元ジャニーズ事務所)の性被害事件をきっかけに、男性の性暴力の被害者の問題が注目されています。
私たちの活動を通じて、幼少期に性暴力の被害に遭遇した男性にも多くお会いしてきました。
性暴力被害はまだまだ女性の被害のイメージが多く、男子学生にもきちんと伝えていく必要があります。
またこの授業では、被害者を守るだけでなく、加害者を生まないようにするための教育にも力を入れています。
若い世代からジェンダーについて話し、ジェンダーバイアスの軽減を目指し、若い世代が誰かを傷つける加害者にならないための教育を届けていきます。
How donations are used
必要経費である、「出張授業の交通費」と、活動を加速させるために必要な人件費である「講師活動費・謝礼費」「授業監修の専門家謝礼費」に使わせていただきます。