応援メッセージ:真鍋真先生 古生物学者
2026/6/15 12:19

応援メッセージ
理科ハウスは手作りの観察や実験を通して、ひとりひとりが学びを経験できる「世界一小さな科学館」です。私は2025年6月に恐竜と恐竜の時代に関するお話会をさせていただきました。理科ハウスがなくなってしまうなんて、ショックを受けている人たちがたくさんいらっしゃると思います。
かつての私は、全国の全ての博物館を維持していくことはむずかしいので、数を絞っていかないと、標本や資料を次世代に継承するのはむずかしいだろうと考えていました。しかし、2011年3月以降、東日本大震災のボランティア活動を通して、地元に博物館がなくてはならないことを教えられました。小さくても地元に博物館があれば、そこに集う子どもたちや大人たちが生まれます。彼ら彼女らが地元の動物や植物、菌類を採集したりすることで、コレクションが充実して行きます。地元のふだんの自然の標本やデータがないと、例えば東日本大震災で自然環境がどのように変わったかが、わからなかったりします。そして、あなたの街に理科ハウスのような場所があったら、あなたが学校帰りに理科ハウスに立ち寄ることで学校と科学館が、そして科学館での出来事や学びを家に帰って家族と話せば、科学館と家庭がつながります。科学館や博物館が地域の日常になるのです。
私たちは博物館や科学館から未来を考えようとしたとき、標本とか資料という「モノ」の継承に関心が行きますが、それを調査する、収集する、標本にするという作業は、AIにはなかなか代行してもらえません。私たちは「モノ」だけでなく、それに関わる「ヒト」も育て、継承していこうとしているのです。理科ハウスのようなみんなが集う「ハコ」がなくなってしまうと、重要な「ヒト」の継承が出来なくなってしまうかもしれません。「ヒト」というと通常は博物館の内側にいる学芸員などをさします。来館者も博物館という空間の中で化学反応を起こすために必要不可欠な存在であることは間違いありません。だから私は内側と外側というような区分をせず、来館者も含めて「ヒトビト」と呼ぶようにしています。
森さん、山浦さんは、ご自分たちが理科ハウスを通して18年間取り組んで来られた「ヒトビト」を育てる、未来のためにタネを撒く、水をやるというようなことがもっとふつうのことになってほしいと願っていらっしゃると思います。理科ハウスは最初は小学生を、現在は中学生以上を主な対象として活動してこられました。理科ハウスも一緒に成長して、子どもはもちろんのこと大人も一緒に、タネ蒔きや水やりをしてくれる「ヒトビト」になってくれるのかを思案しながら、最後の1年間の活動をされていくのではないかと思います。
これまで一度も理科ハウスに行ったことがなくても、最後の1年間に伴走すれば、未来へのタネ蒔きを考える活動に参加することが出来ます。ディスカッションの場はオンラインでもご参加いただけます。未来のタネ蒔きのために、みんなが何をどのようにすべきなのか、理科ハウスと一緒に考えて行きませんか?
プロフィール
恐竜など中生代の爬虫類や鳥類の化石から爬虫類から鳥類への進化などを研究しています。国立科学博物館に30年ほど勤務し、2026年4月からは館長をしています。








