応援メッセージ:佐久間 大輔さん 大阪市立自然史博物館学芸課長・西日本自然史系博物館ネットワーク理事
2026/5/21 10:00

応援メッセージ
いうまでもなく、LiCa HOUSeは「他にこんな場所どこにあるだろう?」というような替わりのない大切な場所。続いてほしい。でも、LiCa HOUSeは森さん山浦さんの「個人プロジェクト」だ。個人プロジェクトである以上、終わりはある。終わりのない「恒久的な」施設にする、そういうパブリックな存在にしていくという選択肢もあったかもしれないけど、お二人はそうではない選択をした。その状態に、恒久的な支援体制も作らずに、頑張れ、続けて、と言い募るのは、もちろん温かいファンの声ではあるのだけど、もしかしたら無責任な外野の声にもなってしまう。だから「責任ある閉じ方」を模索するこのプロジェクトを応援したい。
全国には実は、個人が作った博物館がたくさんある。しかし、それを継承できない場合だってたくさんある。個人が高齢化し、あるいは亡くなってしまったとき、家族に続けろというのも酷だし、その家族がいない場合も、やる気があっても相続の問題もあったり。公立の博物館だって、少子高齢化、過疎と言う地方にあっては特に厳しい条件にある。都市部にあっても厳しい財政事情の自治体はざらにある。社会構造の変化とともに、続けることが難しい博物館が一定数でてくることはおそらく、避けることが難しい現実だろう。それを「博物館の閉館を議論するなんてけしからん」というのはそれこそ無責任な外野の声かもしれない。無責任なのは後始末のない閉館なのだ。
住民がそこにいなくなっても、都市に移り住んだ子孫のためにも村の歴史を残したい、というのはエゴだろうか。そうは思わない。連綿と地域の歴史、文化、記録が遺されることで、この国の文化は重層的に語り継がれるはずだ。それは失ってはいけないものだと思う。だからこそ、閉館する博物館は後始末が必要だ。個人が作った博物館でも、その活動の成果をどう継承するのか、皆で考えたい。なぜならそこに集まってきた資料や成果は、もはや個人だけのものではないからだ。
博物館の終活が断捨離であって良いわけがない。皆に愛された(=その時点でパブリックな存在になった)資料たちを、どうやって継承するのか。その方法を模索する必要がある。先日「廃棄」という言及ばかりが批判された「博物館の設置及び運営上の望ましい基準」にも、いくつも博物館閉館時を睨んだ、すべきことが書かれている(が、「望ましい」なので強制力がない)。すべきことはたくさんある。ハードルを上げすぎると、何もできずに突然「サイレント閉館」となってしまう。「博物館の孤独死」と言ってもいい。それは避けたい。
LiCa HOUSeと路上博物館のこのプロジェクトは「責任ある閉じ方」を超えて社会に意味のある成果として遺そうとしているのだろう。責任ある閉館のあり方、にまともに光を当てるものだと思う。それは、案外しんどい看取りかもしれない。でも、同時に困難な状況に救いの道を拓く希望の光になるかもしれない。
「一粒の麦が地に落ちて死ねば、やがて多くの実を結ぶ」。自ら一粒の麦として地に落ちんとするプロジェクトに敬意を評し、できるだけ伴走をしたいと考えている。
※「LiCa HOUSe」は理科ハウスの別表記です(事務局注)
参考資料
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shinko/kankei_horei/94355301.html








