JVC初代事務局長 星野昌子さんからのビデオメッセージ
2020/3/6 20:39
昨日の活動報告では、40年前、インドシナ難民の力になれたら、とタイの難民キャンプにかけつけた日本人の人びとのがむしゃらな気持ちからJVCがうまれたことをお伝えしました。
そのJVCの設立に深く関わり、JVCの初代事務局長を務められた星野昌子さんから、40周年、また「マンスリー募金100人募集キャンペーン」に寄せてビデオメッセージをいただきました。どうぞご覧ください。
>JVC設立40周年 初代事務局長星野昌子さんからのメッセージ
■進んだ国、貧しい国ではない
星野さんは1932年に東京で生まれ、第二次世界大戦を経験しました。そのと、経済成長を遂げる日本で、一度家庭に入ったらひたすらに夫を支えることが求められることにもがき、1965年に青年海外協力隊の初代隊員としてラオスに赴任します。
ラオスでの日々のなかで、ラオスの人々は物はなくとても貧しくても、おだやかで平和で、精神的に豊かな生活をしていると感じ、「進んだ国からきて、貧しい国を指導する」という考え方は違う、と感じるようになりました。
その後、青年海外協力隊の後もラオス、タイで暮らしますが、森林伐採等、経済的利益を優先した結果生活に行き詰まってしまう農民たちを目にし、日本の豊かさは厳しい暮らしを強いられる東南アジアの人々によって支えられていることを知りました。
■国際協力NGOとの出会い
その後、ラオス・カンボジア・ベトナムから紛争・虐殺で大勢の人々がタイに逃れてきて、「金は出しても人は出さない」とモラルを問われた日本政府が1979年に派遣した「ジャパン・メディカル・チーム(JMT)」という医療チームに通訳として参加したことが、JVC設立につながっていくことになります。
タイの難民キャンプでは、餓死寸前の赤ん坊を抱くうつろな目をした母親、マラリアにかかった瀕死の病人、地雷に足を吹き飛ばされて手当もなしに逃げてきた人々など、現場は悲惨で混沌としていました。星野さんは「第二次世界大戦末期、人の死が日常であったころの空気と同じだ」と感じたそうです。
そこで星野さんはボランティアが支援活動をする海外の国々の国際協力NGOと出会い、「日本ではなぜNGOがないのか」と考えるようになります。
■「同じ人間」として支援する日本人たち
そんな中、JMTとは別に、自分で航空券を買って異国の人たちの救援に駆け付ける日本人たちがどんどんやってきました。そして、彼らはみな「かわいそうなアジア人でなく同じ人間」として、「善意のおしつけではなく相手を尊重して」難民たちに向き合っている、と星野さんは感じます。
そして、タイ政府が、活動していいのはNGOに所属しているボランティアのみ、という通達を出したことで、星野さんは「日本のNGOをつくろう」と決意し、JVCがうまれることになりました。
日本人による国際協力ボランティア団体の誕生は新聞などでも大きく報じられ、山のような衣類や1憶数千万円のご寄付が集まるなど、それまで海外で支援活動をしてこなかった日本のなかで大きなうねりをつくっていくことになりました。
そしてJVCが1980年2月27日に立ち上げられ、星野さんは初代事務局長となりました。1989年に事務局長退任後、神奈川県立かながわ女性センター館長、日本NPOセンター代表理事、G8サミットNGOフォーラム代表等を歴任。
これらを通して日本社会に国際ボランティアの潮流を生み出したことが評価され、2012年に旭日小綬章を受章されるなど、日本の国際協力分野を切り開いてきたパイオニアとして数々の功績を残してきました。(なんと、Wikipediaに項目もあります!)
■一人のスターではなく、全員がスター
そのようにJVCの中心的人物として語られることの多い星野さんですが、彼女自身はJVCのことをこう表現しています。
「偉大な指導者のもとに集まってその考えに従って行動するのではなく、参加する一人ひとりが星となる、星雲とも、群れなす星雲とも呼べるもの」
今でも、個人個人が自発的に「じぶんごと」として支援に携わるJVCの姿勢は変わっていません。また、その星は活動に直接携わるスタッフだけを指すのではないと私たちは考えています。
くりかえしお伝えしていますが、私たちJVCの活動はご支援してくださった皆様あってのものです。そうやってJVCに参加してくださる皆様全員がスターであると思います。実際に海外に行って支援活動をする、NGOスタッフになる、ボランティアをする、というのはなかなか難しいかもしれませんが、今回のマンスリーキャンペーンを通して、「JVCのスター」になってほしいと思います。ご協力、どうぞよろしくお願いいたします!
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