リハビリ施設ナルコノンジャパンの代表 神野様に応援メッセージをいただきました!
2025/6/30 12:09

薬物の無い世界へ――その一歩を、ともに踏み出しましょう
国際麻薬乱用撲滅デーに寄せて
皆さま、こんにちは。私は長年、薬物依存からの回復を支援するリハビリ施設の運営に携わってきた者です。日々、薬物という見えない鎖に縛られた多くの方々と向き合い、その人たちの「人生を取り戻す瞬間」に立ち会ってきました。私は、薬物依存からの回復は奇跡ではなく、正しい支援と環境があれば、誰にでも可能な「現実」だと信じています。
しかしその一方で、私たちのようなリハビリの現場だけでは、限界があることも痛感しています。なぜなら、良いリハビリとは、「予防」と「理解」によって支えられて初めて機能するものだからです。
本日は、公益財団法人麻薬覚せい剤乱用防止センターが実施するクラウドファンディングに際し、私の想いと、皆さまへの心からのお願いをお伝えしたく、筆を執りました。
① 「良い薬物リハビリ」は、乱用防止活動と共にあってこそ
薬物依存症は、決して「意志の弱さ」や「性格の問題」ではありません。誰しもが、ふとしたきっかけで薬物に手を伸ばしてしまう可能性を持っています。その入り口に立たせないこと――それが、乱用防止活動の本質的な価値です。
啓発活動、教育、地域のネットワークづくり、若者たちへのアプローチ。これらすべてが、薬物依存への「最初の一歩」を踏ませない防波堤となります。
そして、ここが非常に重要な点ですが、その防波堤があってこそ、リハビリの現場は、「回復のための場所」として力を発揮できるのです。逆に、予防がなければ、回復の現場は終わりなき受け皿となってしまいます。
防止と回復は、車の両輪です。どちらが欠けても、社会は前に進みません。だからこそ私は、今回のクラウドファンディングの趣旨――予防啓発活動の強化に向けた支援――に、心からの賛同と期待を寄せています。
② 「薬物のない世界」を目指すためのリハビリ
私たちの施設には、10代の少年少女から、家庭を持つ中年の方、高齢者に至るまで、幅広い年齢層の方がやってきます。彼らは口を揃えて言います。「こんなはずじゃなかった」「やめたいのに、やめられない」と。
薬物依存は、孤独と無力感を深め、人とのつながりを断ち、自己肯定感を奪っていきます。そのためリハビリの現場では、「再び人として生き直す力を取り戻す」ことを最も大切にしています。
薬物をやめることはゴールではなく、薬物の無い世界で“生きていく力”を築くことが、私たちのリハビリの本質です。
そのためには、社会全体が変わる必要があります。薬物使用歴がある人に対して、いつまでもレッテルを貼るのではなく、回復の過程を支え、見守り、チャンスを与える社会。
それをつくるには、まず「薬物を使う前」に社会が手を差し伸べることが欠かせません。
③ 防止活動があってこそ、「だれも取りこぼさない」
薬物乱用防止活動は、「まだ使っていない人」だけのためのものではありません。実は、既に薬物に手を染めてしまった人々が、回復のきっかけを得るチャンスにもなるのです。
予防啓発の現場で出会った人に、地域の相談窓口を紹介する。学校での教育を通じて、自分や家族の問題に気づく。そうした“気づきの扉”が開かれたとき、私たちのような回復支援の現場がその人を受け止めるのです。
防止活動とリハビリの連携が強まれば、薬物で苦しむ人を「自己責任」で見捨てる社会ではなく、「立ち直り」を社会全体で支える仕組みが築かれていきます。
今回のクラウドファンディングは、まさにそのための挑戦です。薬物乱用防止の取り組みに資金と想いを集め、だれも取りこぼさない社会をつくる。その志に、私は心から応援しています。
一人ひとりの想いが、未来を変える
リハビリ施設の現場で、私が何度も見てきた光景があります。
「自分はもうダメだと思っていた。でも、誰かが“あなたには価値がある”と言ってくれた。だから、やめようと思えた」。
寄付は、ただの金銭的な支援ではありません。**「あなたの回復を、私は信じている」**というメッセージなのです。
今回のクラウドファンディングが、多くの方々の想いとともに広がり、予防と回復の両面から、薬物のない社会に一歩近づくことを、私は心から願っています。
薬物の問題は、特別な人の問題ではありません。すべての人に関わる「社会の課題」です。そして、希望を持って立ち直る力もまた、すべての人に宿っているものです。
どうか、薬物のない未来をともに描く仲間として、このプロジェクトを応援してください。
一人ひとりの力が、未来を変えると私は信じています。
心からの感謝とともに。
一般社団法人ナルコノンジャパン
代表理事 神野正啓
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