応援メッセージが届きました #3
2019/9/12 18:22
鴻巣麻里香さん
非営利団体KAKECOMI主宰・福島県スクールソーシャルワーカー
今この日本社会に求められているのは、人と人との関係を「つなぎなおす」ことです。私たちはみな、属性間における多層的な分断の危機にあります。民族的人種的背景、性差、経済的格差による機会の差、障害や疾患の有無、政治的価値観の違い、居住地…本来は想像力や慈しみや多様性への好奇心を実らせるはずの様々な「違い」が、恐れや憎しみを生み、差別へと連鎖しています。
差別に抗うために必要なのは、価値観に根ざした同志との関係構築です。関係構築、そして自身の価値観への洞察とその言語化(パブリックナラティブ)は、コミュニティ・オーガナイジング(CO)の基本軸です。パブリックナラティブ、特にストーリーオブセルフによって、私たちは自分自身の価値観に出会います。それはまた、マイノリティとして(あるいは当事者としての)自分自身との出会いです。見方や立場が変われば、私たちは誰もがマイノリティであり、何かの当事者である。セルフを語ることで私たちはそのことに気づきます。そしてその気づきによって価値観を同じくする同志とつながり、やがてそのつながりは大きな波となって恐れや憎しみ、差別や偏見を押し流してゆくでしょう。
私はソーシャルワークの現場で、COで学んだ関係構築をベースに貧困や虐待、差別という地域課題に取り組んでいます。それは孤立した人々と環境との「つなぎなおし」の作業です。ソーシャルワークとCOがコミットしたとき、目の前のひとりを救済するための行動が、人と人とをつなぎ、地域を変える「うねり」となります。COの輪が更に広がり、各地に「つなぎなおし」のアクションが巻き起こる未来の訪れを信じます。
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