私たちの取り組む課題
空気と水の循環を回復させて減災へ
造園技師・環境再生医である矢野智徳(やのとものり)が、40年におよぶ観察と実践を経て見出したのが環境再生技術「大地の再生®」です。
私たちは、人の開発が原因で傷んでしまった自然を回復させるとともに、この技術の学術的研究と普及啓発に取り組んでいます。
大地の空気と水の循環を取り戻すことで、激発する自然災害を軽減し、かつては当たり前にあったその土地の自然と人間の共生を復活させます。
施工のお手本は常に自然界にあります。五感を使って自然を観察測定し、絶えることなく循環する自然の営みに助けてもらいながら、必要最小限の介入を行います。
かつて人が自然と共生していた時代においては、それはごく当たり前の感性であり知恵でしたが、私たちはこれを学び直し、現代の環境再生に役立て、次世代につないでいきます。
【緊急支援】能登震災風土環境再生事業
2024年1月1日に起きた能登半島地震では、1月13日から現地入りして災害現場を調査・検証し、復旧・支援活動を行っています。
地震を防ぐことはできませんが、地震から学ぶことはたくさんあります。どのように大地は動いたのか、なぜ土砂崩れや倒壊が起きたのか。
能登の歴史と風土・文化、かつての暮らしは地震のような災害とも共存してきました。ガレキをすべて撤去してほかの地域に廃棄し、より堅固なコンクリート建造物を建てる現代土木建築だけでは、風土が失われるばかりか、災害の根本的な解決策にもなりません。
土砂崩れ、液状化、倒壊には必ず原因があり、そこには大地の空気と水の滞りが見られます。二次災害を防ぐためにも災害現場の環境改善は重要です。
またガレキ撤去については、矢野智徳が阪神淡路大震災の復興支援から培ってきた「自然界にゴミはない」を信条に、被災地のみなさんの思いに寄り添いながら、ガレキを仕分け、できるかぎりその場に収めていく方法を推進していきます。
なぜこの課題に取り組むか
人と自然を「大地の再生」でつなぐ
すべての生きものが呼吸しているように、大地もまた呼吸をしています。
いま、人の開発によってこの呼吸が失われていくことで、森羅万象のバランスが崩れはじめています。木々は枯れ、生きものたちが異常行動をとるようになりました。
気象は極端になり、地形は崩壊し、さまざまな災害となって人社会に大きな影響をもたらしています。
「大地の再生」とは、失われてしまった大地の呼吸を取り戻すこと。
地上と地下を巡る空気と水の循環=呼吸を取り戻す作業は、移植ゴテひとつから始めることができます。
小さな子どもからお年寄りまで、誰にでも可能です。人が少し地面を掘るだけで、空気と水が動き始め、植物や、微細な生きものから大きな動物たちまで応援してくれるようになります。荒れた風景に風が通り、大地と地上の循環が回復し、やさしい、懐かしい風景に変わります。
- 「杜(もり)」という字には、「傷めず、汚さず、この場所を大切に使わせてください」という意味があります。
- 「結(ゆい)」には、人と自然の“結”、人と人の“結”という、連携と協働の意味があります。
できるだけ多くの人たちとともに、自然との協働作業を行うことが急がれます。
一般財団法人 杜の財団【結の杜基金】が目指す、大地の再生技術による環境改善の取り組みを、ぜひご支援いただけますようお願いいたします。
寄付金の使い道
・能登震災風土環境再生事業(令和6年能登半島地震支援)
・奥山から海まで、流域生態系環境調査と改善
・都市部での緑地及び樹木保全
・「大地の再生」技術を習得する人材育成
・学術連携による技術研究