私たちの取り組む課題
全ての子ども達が、中立公平な医療機関で系統的全身診察を受けられ、負担の少ない司法面接によって信用性が高く評価される証拠や証言の収集がなされ、権利擁護のための手続きのサポートや、身体的、精神的な問題についてもワンストップで対応が受けられる、子どもを中心にした子どもに優しいセンターが必要であると考え、NPO法人神奈川子ども支援センターつなっぐを設立しました
病院、児童相談所、捜査機関のみならず、司法関係者、教育関係者、民間団体等も含めた多機関が連携し、子どもにとってより負担の少ない系統的全身診察と司法面接の実施・検証、裁判手続きにおける被害者代理や子どもの負担軽減のための支援者の紹介、子どもへの福祉的又は医療的アプローチ、子ども達の心身のケアや自立支援などを行うさまざまな専門機関への紹介や引継ぎといったことにアウトリーチ で取り組み、一人でも多くの虐待、性虐待の被害にあっている子どもたちが、被害から逃れ、心の傷を癒し、安全な環境で健康に暮らしていくことに寄与します。
なぜこの課題に取り組むか
子どもの被害についてのワンストップサポートサービスの必要性
ア ワンストップサポートについて
虐待[1]や暴力を受けた被害者は、傷ついた身体と心のまま、自ら様々な場所に赴き、自ら行動を起こすことを要求されます。諸外国では、性被害への対応として、一つの場所に行けば、全てのサービスを受けられるような、幅広い機関が連携を取るワンストップセンター(CAC)が作られています。今、日本においては、家庭内暴力の被害者のためのワンストップサポートの必要性が叫ばれはじめていますが、性被害を受けた子ども、家族以外の加害者による虐待を受けた子どもなど、全ての子ども達にとっても必要なものと言えます。
イ 受け皿の少なさ
児童相談所への虐待相談件数は年々増え、2016年には12万件を超えています。その中で、性虐待は全体の1.3%で、その割合は減少傾向となっています。米国ではすべての虐待の中で、性虐待の割合は8.5%(2016年)であり、日本では被虐待児が開示できず放置されたままの状態があると思われます。その原因として、性虐待は歴史的にもっとも見つけにくい虐待ですが、日本では被害を受けた子どもの受け皿が少ないことも原因です。特に、子どもは、成長発達の中途において被害を受けることにより、影響が長期間に及びます。
ウ 子どもに優しい環境
性虐待を受けた子どもが自分の被害を開示した際、度重なる問診や様々な機関からの聴き取りを受けることによる二次被害についてもまだ対策が十分とはいえません。諸外国では、被害者の心理的負担を軽減するために、訓練を受けた犬が傍にいる状態で、被害者が、裁判所で証言をしたり捜査機関から事情聴取をうけたりするというような制度が既にあります。また、子どもに心理的苦痛を与えないような環境や技法を用い、多機関が協同することによる最小限の回数で、裁判の証拠として用いることのできる精度の高い情報を聴取する方法として、司法面接という概念が研究されています。こういった、被害開示のしやすい環境づくりも必要です。
エ 当事者、支援者の教育拠点
子どもに心理的苦痛を与えず、最小限の回数で精度の高い情報を聴取する面接者には知識と高いスキルが求められ、それを学べる場が必要です。面接が実際に効果を発揮しているか否かをたえず検証し知見を重ね、改良を重ねていく取り組みも欠かせません。
また、被害にあった子どもが自身の状況や感情的な影響を理解し発散していくための年齢に応じたプログラムや、被害にあった子どもの家族、家族以外のサポートする大人に対し、被害に対する理解とサポートに必要な事に関する知識、広く社会に性被害に気づけるための情報を伝える講座や研修など、教育の拠点としての機能も必要です。
[1] 日本では子どもに対するものを「虐待」としますが、ここでは諸外国と同様、被害者の年齢を問わずに「虐待」と表記します。
寄付金の使い道
① 子どもを守るワンストップサポート事業にかかる費用(系統的全身診察、司法面接、カウンセリング、こどもの代理人、法廷サポート、フォローアップ、同行支援等)
② 専門家にむけた各種研修の運営にかかる費用
③ 地域に向けた啓発活動(子ども、保護者、教育機関などへの教育、講演活動など)にかかる費用
④ 児童虐待に関する研究(大学、研究機関等との連携)にかかる費用
⑤ 事務局運営資金にかかる費用