私たちの取り組む課題
「孤独」は、一部の人だけの特別な問題ではありません。
内閣官房の調査では、日本で孤独を感じている人は約4〜5割にのぼります。同居していない家族や友人と直接会って話すのが月1回以下という人も、約4割います。社会的な孤立は死亡リスクを29%高めるという研究もあり、健康寿命にも大きく影響します。
私たちが10年間、群馬の現場で出会ってきたのは、こんな人たちです。
・「子どもに迷惑をかけたくない」と、本当は寂しくても声を上げない一人暮らしの高齢者。困っていないように見えるため、支援が届きません。
・「誰かの役に立ちたい」と思いながら、「うまくいかないかも」「迷惑をかけるかも」という不安で一歩が踏み出せない若者。漠然とした不安を抱えたまま、孤独が表に出てきません。
・「私が抜けたら、もう回らない」と、10年同じ役を続けてきた地域の担い手。民生委員や地域の担い手は高齢化し、固定化し、疲れています。
孤独・孤立の一番の課題は、「本人も周りも気づかないこと」と「気づいても関われないこと」だと、私たちは考えています。支援者や専門職を増やすだけでは、隣の人の苦しみに気づいて関わる力は育ちません。
なぜこの課題に取り組むか
代表の萩原涼平は、群馬県前橋市の核家族で育ちました。つらいことがあると自転車で駆け込んだ、祖父母の家。そこで注がれた無償の愛情が、心の居場所でした。おばあちゃんは問題を「解決」してくれたわけではありません。ただ、安心できる場所をくれただけです。でも、その場所があったから、自分で立ち直り、次の一歩を踏み出せました。
高校生のとき祖父を亡くし、一人暮らしになった祖母を訪ねるなかで、「自分が地域や高齢者から受け取ったものを社会に返したい」という思いが生まれました。2017年、22歳でNPO法人ソンリッサを設立。以来、孤独・孤立の課題に正面から取り組んできました。
【10年間の歩み】
・延べ5,000名以上の高齢者に、見守り訪問・地域サロン・居場所づくり・相談支援を届けてきました。
・延べ2,000名以上の若者が、「まごマネージャー」としてさまざまな形で地域に関わってきました。
・内閣府「孤独・孤立対策 官民連携取組事例」に好事例として掲載。群馬県地域づくりAWARD大賞、Yunus & Youth Social Business Design Contest優勝。
【10年やってきて、わかったこと】
若者2,000人、高齢者5,000人と向き合って、たどり着いた結論があります。分断や孤独は、あらゆる社会課題の根っこにある。そして人は本来、誰かと共にいられる存在だ、ということです。
だから私たちは、「困っている人を助ける社会」ではなく、「誰もが誰かと共にいられる社会」をつくりたい。支援者や専門職だけに任せるのではなく、身近な人の孤独に気づき、自分を大切にしながら関われる人を、社会全体で増やしていきます。まごマネージャー基礎講座と、若者が問いを持ち寄る対話の場。いま私たちが力を注いでいる二つの活動は、すべてそのためのものです。
支援金の使い道
いただいたご寄付は、「気づいて関われる人」を育てる活動の運営費として、大切に使わせていただきます。
1. まごマネージャー基礎講座の開発・運営
孤独・孤立に気づき、自分を大切にしながら関わる力を育てる、若者向けの講座です。講座の企画・運営、オンライン環境、資料作成、運営スタッフの人件費に充てます。
2. 若者の居場所・学びコミュニティ「問いかけミーティング」と個別サポート
地域づくりや地域福祉に関心のある若者が、自分の「問い」を持ち寄って対話する場です。オンライン会議ツール、リアル開催時の会場費・交通費、若者一人ひとりへの無償の個別サポートに充てます。
3. 「思いやり」の研究と社会実装
孤独や孤立が生まれる根っこには、職場・地域・福祉の現場のどこにも、弱さを認め合い「共にある」余白がなくなっていることがあります。ソンリッサは研究者と連携しながら、10年の現場で体現してきた「思いやり(コンパッション)」を、誰もが育てられ、測れるものにしていく研究に取り組んでいます。思いやりの変化を測る評価指標づくり、企業や地域の組織での実証、その成果の発信に充てます。

