私たちの取り組む課題
料理人の卵たちが和食を学ぶ塾「島食の寺子屋」で生産現場と料理 の現場を繋げる人材を育てる
島根県海士町では、島外から大量の安価な加工品の流入により、島内の地産地消の機会が減少しています
島根県海士町(中ノ島)は、離島には珍しく湧き水が豊富で、漁業だけでなく農業も盛んな「半農半漁」の島として、古来から豊かな暮らしが営まれてきました。
しかしながら、近年では流通の発達もあり、島外からの加工品の流入が増えてきており、島内の飲食の場において島内産品が殆ど使われていない現状があります。
(島根県本土での1人あたりの魚介類の年間消費量が44kg強であることに比べ、海に囲まれている海士町では1人あたり10kg未満という現状)
なぜ加工品の流入が止まらないのか?
島根県海士町(中ノ島)では食材の生産現場が豊富にありますが、決して安定した供給が出来るわけではありません。
高齢化とともに農業従事者が減少してきており、数少ない生産者に供給を依存しています。
また漁業では、定置網漁など天然魚介類が漁獲のメインになっているので、天候などの自然の影響を受けやすく、養殖漁業のように安定した供給が難しいです。
食材の供給が不安定である結果、島内の飲食の現場では固定のメニューを組みにくくなり、
安定した供給が見込まれる島外からの加工品をもとにした食事提供に効率化を求めるようになってきています。
海士町観光協会の料理人育成塾「島食の寺子屋」を通して、まずは料理人 が生産現場に寄り添う活動を進めています
海士町観光協会では、「島食の寺子屋」という和食の料理人育成塾を立上げ、プロの料理人による指導のもと、生産現場に赴き生産者の現状を把握しながら、料理人の卵たちが和食を学ぶ塾を設立しました。島食の寺子屋では、不安定ながらも豊かな旬の食材のみで調理ができる「その日を形にする」料理人を育てるカリキュラムを組んでいます。
加工品の流入により、乖離してしまっている島内の生産現場と料理の現場の繋がりを取り戻す役割として、今後も活動を続けていきます。
なぜこの課題に取り組むか
島根県海士町の島の食が人を育む場所であり続ける
海士町内での域内循環を高めることで生産現場が守られる
島外からの加工品が流入し続けると、島内産品の需要が減少し、生産者の減少が加速してしまいます。
また、離島は本土への運搬費用がかかる為に、品質や価格での競争でハンデを負っています。
その為、島内食材は島内で消費を促進する域内循環を高めていくことが、生産現場と生産者を活性化させる最適解と考えています。
海士町内で暮らす子供たちに給食用の魚介加工品を届けています
島で暮らす子供たちが、島で獲れる食材に日常的に触れてもらいたい。
そんな想いから、学校給食で提供される魚の一次加工を島食の寺子屋で担っています。
人の体は食べたものでできる。島で育つ子供たちも、島の食材で育っていってほしいと考えています。
海士町から和食の料理人を輩出する
日本全体で和食の料理人になる若年層が減ってきています。
そして、漁師がどのように魚を獲り、農家がどのように野菜を育てているかを、料理人の卵たちが知る環境もなくなってきています。
生産現場が近い環境で、尚且つ旬の食材の移ろいに寄り添いながら料理人を育てることで、和食文化を守っていく人材を育てる島として発展を続けていきたい。
テレビでも全国で紹介されています
日本海テレビ製作<日本テレビ系全国28局ネット>(2023年9月30日15:00~放送)にて、島食の寺子屋の活動が放送されました。
寄付金の使い道
皆さまの寄付金は、【「その日を形にする」料理人育成のための奨学金プログラム】や【未利用魚 などを使った加工品の試作費用】として、大切に使わせていただきます。