私たちの取り組む課題
東日本大震災以降、日本国内の被災地支援に関わっています。
被災地支援としては大きく3つ
1.国内での緊急支援
災害が発生して最も混乱するのが、発生直後の緊急期です。
復旧作業に必要な重機作業の調整、ボランティアセンターの運営、災害救助法など被災地で適応される法律の運用など、被災地支援活動には普段は使わない知識やノウハウが必要不可欠です。被災地の復旧復興を促進するために、多角的に被災地の0→1の立ち上がりを支援しています。
2.被災地での中長期支援
神戸や東北やその他の被災地をみても分かるように、被災地の復興は単年ではかなわないのが実状です。そして、大きくダメージを受けた地域を元の状態に近づけていくには、長い年月の中で、さまざまな課題を解決してかなくてはなりません。
緊急支援に重点を置くため、各地でずっと駐在するわけにはいきませんが、定期的な訪問などを通じて、長期的に被災地との関わりを持っています。
地元が地元を支えることを基本として、時間とともに変化する被災地の課題を共有し、必要に応じてサポートをしています。
3.日ごろの防災啓発活動、ネットワーク構築
災害が起きる瀬戸際の避難行動も、災害が起きてからの復旧作業も、災害後の長い復興の道のりも、鍵になるのは、地域の力です。地域の力が強く、しなやかなネットワークがある場所では、その分課題解決に向かう力が大きくなります。
また、災害があった時に安心して助けを求められる先があるだけで、復旧はスピードアップします。こうした関係を作るためにも、平時のうちから各地での講演活動や、まちづくりに参加しています。
なぜこの課題に取り組むか
2011年から支援活動を始めて、分かったことが2つあります。
ひとつは、被災地支援の専門家が少ないということ。
災害が発生すると、すべてがひっくりかえります。地域をもとに戻していくためには、多岐にわたる知識やノウハウが必要になります。
しかし、被災地にボランティアとしての関わりだけは、その活動は長く続かず、結果的にノウハウの蓄積がされていない印象を受けました。
災害支援に特化した団体として、現地を軸足に活動することで、知識やノウハウを蓄積し、ネットワークを広げ、緊急支援の底上げを狙っています。
ふたつめは、被災地の特性です。
災害が発生すると、一番困難な立場に立たされるのが、もともと課題を抱えていたところです。そうした意味で自然災害は、潜在的な課題をあらわにする機能があると考えています。
例えば、家計に余裕がない世帯は、被災後の生活再建が難しくなります。高齢者だけの世帯で復旧作業が進められないケースも多くあります。もともと地域との距離がある世帯の課題は、誰もが気づきにくい。被災した空き家は誰も片付けられないし、被災によって人口減少が大きく進めば、限界集落になってしまう可能性もあります。
例えば、災害が発生するような大雨が降ったり、威力が強いまま上陸する台風が増えるのは、気候変動が原因と言われていて、そこには我々の生活が大きく関わっているはずです。
林業の衰退によって森林が放置され、荒れた森では土砂崩れの危険性が高まっています。
災害を発生させる課題、災害で大きくなる課題など、災害を切り口にすると社会課題がすこし身近になるのではと考えています。
そして、被災地のためになにかしたいと思ってくれる人は少なくないはず。
災害支援という切り口で活動を続け、情報発信をすることで、たくさんの人が社会課題に関わるきっかけになればと思っています。
寄付金の使い道
いただいたご支援はすべて、被災地の支援活動経費や、活動を維持するための経費に充てさせていただきます。
プロのスポーツ選手がいて、お金をもらいながらプレーしているのに、なぜプロの人助け人がいないのか?
そんな問いをたて、ならば自身がプロの災害支援活動家となろう、と活動を続けてきました。
質の高い支援を実現するために、被災地でのより早い復旧復興のために、被災地支援が職業になることが必要です。
そのためにはボランティアではなく、ちゃんと他の職業に肩を並べられるだけの報酬が必要です。
現段階ではまだ難しい目標ですが、こうした面からも災害支援という文化をつくっていきたいと思っています。