私たちの取り組む課題



特定非営利活動法人レスキュー・ハブは、困難な状況を抱えつつ、性風俗や売春などに従事する方々に支援を提供する団体です。
支援するのは、犯罪に巻き込まれた方、詐欺や暴力被害を受けている方、障害を持つ方、育児放棄や虐待を受けた方、住居がない方々などです。
私たちの行う支援は、単に「問題を解決する」だけではなく、当事者が自らの力で問題を乗り越え、社会に参加できるようになる支援を目指しています。
彼女たちは、精神または知的障害などで判断能力が不十分、金銭的困難、負の経験により人を頼ることができず、医療や福祉の支援にアクセスできないため、私たちが探し出し、ハブとして社会資源に繋げます。
【支援活動の主な項目】
(1)緊急対応
緊急対応では、被害者や困窮者の心身の安全を最優先に、性犯罪の被害であれば医療機関での受診や警察への相談、住居の喪失などであれば一時的に避難できる宿泊施設やシェルターの手配と衣・食の提供、自治体の福祉窓口への同行など、予期せぬ妊娠、性感染症への罹患などであれば医療機関で受診させるなどの対応を行います。
事例:暴力団や半グレなどが絡んだ事案
①レスキュー・ハブにつながっている女性が暴力団員に飲食店等を連れまわされ、ホテルに連れ込まれそうになったが、その直前でレスキュー・ハブスタッフが介入し、暴力団員と交渉の上、被害者の身柄を保護した。
②レスキュー・ハブにつながっている女性同士でトラブルが生じた際、仲裁に介入してきた半グレ男性が、当事者女性に解決に係る金銭の要求をしてきたため、その話し合いに同席し、女性側に不利にならないよう話をまとめた。
③レスキュー・ハブにつながっていた女性が、歌舞伎町を離れて地元に帰郷する際、歌舞伎町で知り合った男女から不当な金銭の要求を受けた。本人は払う意思がないこと伝え、その後帰郷したが、当該男女から、仲間を連れて地元まで金を取りに行くという連絡が入
り、Googleストリートビューでスクショした本人実家付近の映像なども送られてきたことから、レスキュー・ハブが現地警察に連絡し、状況を説明、本人家族の安全対策について調整を行った。
■犯罪被害者支援
犯罪の被害を受けた方々に対して、警察や司法機関への同行、心理的サポートを提供し、精神的な回復を支援します。
■医療支援
生死にかかわるような状況にあり、保険証を持っていない、または金銭的な理由で医療機関にアクセスできない方々に対して、医療機関への同行支援や、医療費の一部負担を行っています。精神的または身体的なケアが必要な方々に対し、必要な治療を受ける支援を行っています。
事例:ハイリスクな出産
軽度知的障害を抱えており、家族からの性虐待を受け、児童養護施設で育った女性。性産業に従事して生計を立てていたが、ある日、妊娠したかもしれないとの相談を受け、医療機関にて受診させたところ、妊娠36週との診断であったため即日入院し、生活保護等を受給させ、無事に病院で出産した。
(2)シェルター事業
シェルター事業では、家がない方や、配偶者の暴力などにより家に帰ることができない状況にある方に対し、一時的な住居の提供を行っています。
(3)アウトリーチ事業
アウトリーチ事業は、「自分で相談窓口まで行くことができない困窮者が多くいる。上げられない声があるなら、こちらから探しに行こう」という理事長の思いで始まりました。繁華街で被害者になる可能性があると思しき女性へ声掛け、相談カードの配布を行います。私たちの支援と支援対象者の最初の接点であり、レスキュー・ハブの核ともなる活動です。
声掛けをするのは、新宿歌舞伎町にて、腕や足などに大量のリストカット痕がある方や、歩き方がおぼつかず、いかにもオーバードーズをした後だとわかるような方、髪の毛がべたついており数日入浴していない様子の方や、ヘルプマークを所持している方、
服に汚れが目立つ方、路上に直に座ったり、寝そべっている方など、自分で助けを求められないように見受けられる方々です。
街頭でのアウトリーチを繰り返すことで、顔の見える関係性と信頼関係を築き、困難な状況であっても自ら助けを求められない、窓口まで出向くことのできない方々に、私たちが具体的な援助を届けるための準備が整います。
(4)自立支援事業
自立支援事業では、女性たちが地域において自立した生活を送れるよう、行政機関や福祉サービスの情報提供・同行・アフターフォローや、より安定した収入を得るための就労支援、相談窓口の開設などを行っています。
■行政との連携
家族不和や社会的孤立に悩む方々に対して、地域支援団体や福祉機関との連携を行い、生活保護へのつなぎや、障害年金取得のサポートなど孤立した生活から抜け出すためのサポートを行います。
■就労支援
就職を希望しているものの難しい状況にある方々に対して、就労先候補の提示、面接への同行、履歴書の作成支援、面接対策等を行い、採用をサポートします。また、就職後もアフターケア相談等、定着支援も実施し、安定した生活に向けた支援を行っています。
■ハブステーション
ハブステーション(通称、ハブステ)は歌舞伎町の一角にあり、様々な事情で性風俗産業や売春等に従事している女性が気軽に利用できる、自立支援のための相談窓口となります。
開設時間中には団体スタッフやボランティアスタッフが常駐し、誰かに見られたり、聞かれたりする心配のない場所で、当事者女性の困りごとを聴き、本人の抱える問題の整理から、問題解決に向けた手段の策定、解決手法の選択肢を提示、また、抱える問題解決の糸口を見つけ、精神的な健康を回復するための手段のひとつとして、連携する公的機関の心理専門職員による心理面談などを受けることもでき、専門家と話すことで、与えられる支援を受けるだけではなく、解決への筋道を自身で見つけられるようになる可能性も高まります。
当事者女性たちにとって使いやすく、具体的な問題解決の方法が見つかる場所となることで、利用する女性が増え、具体的な行動を起こすための橋頭保として機能できればと考えています。
【社会構造の変革】
時間をかけてつながった女性の一番近くで行う私たちの支援は、草の根の活動にとどまらず、本人の意思で未来を切り拓いていけるような社会への変革を目指した取り組みも行っています。行政のサポートをさらに強化するため、中央省庁等との意見交渉の場を作り、同様に人身取引根絶に向けた院内集会等の開催、政策提言や社会問題への啓発活動を行っています。社会全体での彼女たちと同じ目線に立った理解と支援の拡大を図っています。
具体的な活動としては、以下のようなものがあります。
- 警察庁
第1回悪質ホストクラブ対策検討会における意見交換、対策の提言等
- アメリカ合衆国国務省人身取引監視対策部
米本国から来日した人身取引監視対策担当無任所大使および随行員、在京米国大使館関係者の歌舞伎町視察をアテンド。路上売春等性的搾取の現況についてブリーフィング実施。
- 国会議員
人身売買禁止ネットワーク(JNATIP)の運営委員として院内集会登壇し、女性の性的搾取について講演を実施
【事例紹介】
私たちの活動にご理解いただき、誠にありがとうございます。皆様の温かいご支援により、レスキュー・ハブの活動が続いております。
私たちの届ける支援は、目先の問題解決のための支援にとどまらず、問題を抱える方々が、今後は自らの力で生活していけるようになるべく、その土壌醸成にも注力しています。実際に、以下のように新たなスタートを切った方がいます。
Aさん
妹の面倒をみてきたヤングケアラーの女性。
Aさんおよび妹は精神疾患(妹の方が重度)を抱えていたが、母親(離婚しシングル)が子ども2人に積極的に関与せず、再婚者と出て行ってしまったため、Aさんは妹に生活保護を受給させつつ、自身も一般的な仕事への就労は難しかったことから、やむを得ず性風俗で働きつつ生計を立てていた。
妹は行政につながってはいるものの、精神的な疾患から頻繁に問題を起こし、Aさんが後始末に追われ、時に妹からの暴力なども受ける生活が数年続いていた。
Aさんは心療内科にも長らく通院していたが、心身の状態は徐々に悪化し、現在の生活に限界を感じ、相談が入ったもの。
本人との対話を続ける中で、抱える課題全般の整理を行い、関係先との諸調整を支援、またAさん本人の生活保護および障害年金の受給に向け、当団および私たちと協力関係にある社会保険労務士が代理申請に向けての準備をはじめている。
Bさん
20代で軽度の精神疾患を抱える女性。
特殊詐欺犯罪に巻き込まれ、本人の意に反し、加害に加担する形となってしまったことで相談が入った。
当団と協力関係にある弁護士に相談したところ、警察での事情説明を勧められ、所轄警察署に自首、本人に悪意がないこと、また逃亡の恐れがないことを理由に、身柄を拘束されない在宅事件扱いとなり、仕事を続けながら警察の捜査に協力することとなったが、犯罪に巻き込まれたことや経済的に不安定だったことから精神面のバランスを崩し、一旦実家に戻ることを決めた。
実家は集合住宅であり、本人の荷物をすべては持ち帰れないことから、大型家電など一部の荷物は私たちの事務所で預かることとし、事務所、実家への荷物移動は団体の車両およびスタッフで行った。
その後Bさんは実家から心療内科等に通院しつつ、警察とも連絡を取り続け、約1年後には新しい就労先を見つけ、新しく部屋も借りることができたため、私たちが預かっていた家電や荷物を新居まで届けた。
Cさん
高校進学のため地方から一人で上京した17歳の女性。
メンズコンカフェに勤務する30代男性が、Cさんが未成年であることを知りつつ、本人のさみしさなどに乗じて営業をかけ、その後妊娠させ、本人の知り合い経由で相談が入ったもの。
私たちと協力関係にあるレディースクリニックにつなげ、妊娠検査や性病検査、その他ヒアリングを実施。本人が中絶を希望したことから、医師が地方在住の保護者と直接連絡を取り、中絶手術に関する了承を得たうえで中絶手術を実施。
手術当日は団体の車両にてCさんの送迎ならびに、クリニックへの同行支援を行った。
Dさん
都内在住の20代女性。
地方在住の交際者宅にてDV被害を受け、自宅外に避難して私たちに連絡をしてきたもの。
団体から警察庁の関係部署に連絡し、Dさんのいる県警察への本人保護に係る根回しを依頼した。あわせて本人の避難先に私たちから直接架電、Dさんを保護のうえ110番通報を行うように依頼した。避難先からの110番通報を受けた県警捜査員がDさんを保護し、交際者宅にある私物も回収した後、最寄りのJR駅まで随行した。
Dさんは帰京する交通費を所持していなかったため、県警捜査員が現地JR駅にて事情を説明し、Dさんの乗車料金を東京にて支払うことを説明、同時刻、私たちスタッフが都内のJR駅にて同様に事情を説明し、Dさんの乗車料金を支払い、入金を確認した現地JR駅が乗車チケットを発券、現地警察の捜査員はDさんが新幹線に乗車し、出発するまでを確認して離脱した。
Dさん帰京後は、交際者からの追跡を警戒して住居の移転を決め、新住居が決まるまでの間、私たちのシェルターおよび自治体の緊急一時保護につなぎ、約1カ月後、新居への移転も支援した。
なぜこの課題に取り組むか
私たちは、支援が届かないまま困難な状況に直面している方々への支援に取り組んでいます。
日本社会において、住居や仕事を失った人々、障害を抱えた人々、経済的に困窮している人々、そして犯罪の被害を受けた人々等が抱える問題は非常に深刻です。
しかし、これらの被害者が抱える問題は、単に個人の問題にとどまらず、社会的な支援が届きにくいという根本的な課題が存在します。
1.行政の目も手も届かない
行政からの支援が必要な場合でも、その手が届くのは一部の人々に限られています。
多くの支援制度やプログラムは、手続きが煩雑である、条件が厳しい、あるいは情報不足のために、支援が実際に必要な人々には届きません。
その結果、被害者は行政にすらアクセスできず、支援の機会を逃してしまうのです。
2. 当事者が支援の存在を知らない
さらに問題なのは、支援が存在していることを知らない当事者が多いことです。
必要な支援があっても、それにアクセスする方法や情報が不足しているために、多くの困難に直面している方々は、自分が受けられる支援に気づかないまま、苦しんでいます。
私たちは、この情報を届け、支援の存在を知ってもらうことを使命として活動しています。
3. 助ける人間がいない
こうした困難な状況に直面している方々の多くは、周囲に助けてくれる人間がいないことが問題です。
家族や友人といった身近な支えがない中で、支援を求めることすら難しい状況が続いています。支援の手が届かないまま、当事者は孤立し、状況がどんどん悪化していくことがよくあります。
4.現況に対する世の中の誤解を解く
困難な状況に置かれた人々が周囲に理解されないことは少なくありません。特に、夜職に従事している女性や、経済的に困窮した人々は、「自己責任論」で片づけられることが多く、その存在自体が見過ごされています。これらの偏見が、被害者が支援を求める勇気を削いでしまうこともあります。
私たちは、こうした誤解を解き、支援が必要な方々が安心して助けを求められる環境を作りたいと考えています。
5. 人身取引に終止符を打つ
2000年に国連総会で「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」を補足する議定書として、「人身取引議定書(パレルモ議定書)」が採択されました。
議定書の中で搾取とは、「性的搾取」「強制労働」「隷属や臓器の摘出」とあり、「…搾取には、少なくとも、他の者を売春させて搾取することその他の形態の性的搾取、強制的な労働もしくは役務の提供…を含める」との表記があります。
日本は国連事務総長に対し、2017年7月に受諾書を寄託していますが、依然として国内には性的搾取が存在しています。
性的な搾取を受けている当事者は、孤立し、困難な状況にあるものの、その実態は可視化されにくく、当事者に対する理解や支援も足りていません。本状況の下、レスキュー・ハブは「ハブ役」として草の根レベルで当事者とつながり、当事者の抱える困難を解決できるであろう適切な社会資源につなげていきます。
繰り返しとなりますが、日本国内における人身取引は可視化されにくく、あたかも本人が自ら選択したように見えるケースも多いため、自己責任を問う声も少なくありません。被害だけではなく加害行為も可視化し、そもそもの加害行為を無くしていくという視座も必要となります。
困難な状況にある方々が希望を見いだし、新しいスタートを切るためにも、単なる一時的な助けではなく、その人の未来に繋がる継続的な支援が重要だと私たちは考えています。
私たち「レスキュー・ハブ」は、困難な状況にある方々が再び自立するため、誰もが支援を受ける権利があり、その支援については特定の誰かによってのみ行われるのではなく、社会全体がこの現況を受け入れ、支えていくべき問題であると考えています。
支援金の使い道
具体的な寄付金の使い道は以下の通りです。ご寄付がどのように活かされるのかを知っていただければ、より一層支援の重要性を感じていただけると思います。
・5,000円で、医療費の補助ができます。
・8,000円で、一人の方が高卒認定試験を受けるための支援ができます。教科書代や試験費用、教育の機会を得ることができます。
・10,000円で、家がない方へ、安全な宿泊施設を提供することができます。温かい寝床を確保できることは、安心した明日を迎えるための第一歩です。
・50,000円で、反社会的勢力や暴力・脅迫による支配下にある方と荷物を、安全な場所へ避難させることができます。
【実際にいただいた寄付】
実際に寄付を通じて支援を受けた方々がどのように変わったのか、その一部をお伝えします。
例えば、高卒認定試験の勉強をする女性が、寄付でいただいた参考書を使って、毎日コツコツと勉強を続けています。その努力が実を結ぶ日が来ることを、私たちも心から応援しています。
【応援コメント】
当事者の声
Uさん
「3年前からお世話になってます。支援を受けて私の生活は180度かわりました。今は高卒認定取得の為にがんばってます。レスキュー・ハブの応援よろしくお願いします。」
Zさん
「居場所のない女の子を助けてほしい。団体(レスキュー・ハブ)がなければ路頭に迷っていた。」
Sさん
「困ったときには相談に乗ってくれたりして、心の支えになっています。応援よろしくお願いします。」
【感謝の気持ちを込めて】
寄付者の方々には、活動の状況をまとめた簡易的な活動報告書をお送りします。
また、状況に応じて実際にレスキュー・ハブの活動を見学していただくことも検討しております。街頭でのアウトリーチ活動やハブステーションでの活動現場を実際に見ていただき、支援の内容やその成果、また、寄付がどう使われているかを体感いただければと思います。なお、返礼品については、2025年10月25日以降ご寄附いただいた方に適応されます。
【100万円以上】
①代表の坂本がご希望先に出向き(原則、日本国内に限る)、60~90分程度で団体の活動説明等をさせていただきます。また、東京にお越しいただける場合には、活動(一部)をご見学いただけます。
②団体の活動についてまとめられた書籍(「歌舞伎町の路上売春」「歌舞伎町で再犯防止について考えてみた」「続歌舞伎町で再犯防止について考えてみた」の3冊)をお送りします。
③年間の活動報告書をお送りします。
【10万円以上100万円未満】
①活動(一部)をご見学いただけます。
②代表の坂本がご希望先に出向き(東京都内に限る)、団体の活動説明等(60分程度)をさせていただきます。
③東京都外の場合、旅費交通費の実費をご負担いただけるのであれば、代表の坂本がご希望先(原則、日本国内に限る)に出向き、団体の活動説明等(60分程度)をさせていただきます。
※①②③はいずれか一つ
④団体の活動についてまとめられた書籍(歌舞伎町の路上売春)をお送りします。
⑤年度末に作成する年次活動報告書をお送りします。
【1万円以上10万円未満】
①団体の活動についてまとめられた書籍(歌舞伎町の路上売春)をお送りします。
②年度末に作成する年次活動報告書をお送りします。
【5,000円以上1万円未満】
①レスキュー・ハブのオリジナルポストカード(3枚組)をお送りします。

