私たちの取り組む課題
私たちはアウトリーチ活動を通じて、メンタルヘルスに係るさまざまな課題の解決を目指す団体です!
メンタルヘルスの支援ニーズがある人を中心に、社会的孤立状態にある人や、そのリスクがある人、また、その人に関わる人たちが、地域の中で自分らしい暮らしができる社会の実現に寄与することを目的に活動をしています。
日本の精神医療の課題
日本の精神医療にはいくつかの課題があり、2022年8月の国連障害者権利委員会による対日審査の総括所見を参考にすると、以下のようなポイントが挙げられます。これらの課題は、特に障害者権利条約(CRPD)の理念に照らして問題視されています。
1. 長期入院の多さ
•日本では精神科病院への入院患者の平均在院日数が非常に長く、慢性期の患者が退院できずに施設にとどまるケースが多いです。
•国連は、このような長期入院が「障害者の地域社会での生活の権利」を制限していると批判しています。
2. 強制入院の多用
•精神保健福祉法に基づき、医療保護入院や措置入院が頻繁に行われています。
•国連は、これが障害者の自己決定権を侵害している可能性を指摘し、強制的な入院制度の見直しを求めています。
3. 身体拘束や隔離の多さ
•日本では精神科医療における身体拘束や隔離が国際基準に比べて多用されています。
•国連からは、これらの行為が拷問や虐待にあたる可能性があるとして、段階的な廃止を求められています。
4. 地域支援の不足
•地域での精神保健サービスや支援体制が不十分であるため、退院後の生活が困難になり、再入院に至るケースが多いとされています。
•国連は、地域社会での包括的な支援サービスの強化を求めています。
5. 偏見とスティグマ
•精神疾患に対する社会的偏見が根強く、患者や家族が孤立しやすい環境にあります。
•これにより、適切な治療や支援へのアクセスが妨げられることが懸念されています。
6. インフォームド・コンセントの不備
•患者が自分の治療について十分な情報を得た上で同意を与える仕組みが不十分です。
•特に強制入院や治療において、患者の意向が軽視される場合があります。
7. 障害者の権利に基づく法改正の必要性
•精神保健福祉法が障害者権利条約に完全に適合していないとされ、包括的な法改正が求められています。
•とくに、差別的な法律や慣行の廃止が必要とされています。
8. 家族負担の大きさ
•精神科医療や社会福祉サービスが十分でないため、家族が患者のケアを担う負担が大きいことも課題です。
•家族支援の仕組みが脆弱であると指摘されています。
なぜこの課題に取り組むか
Mission(ミッション)
私たちが果たしたい社会的役割!「私たちはなんのために存在しているのか?」という問いへの答え
1.必要な人にアウトリーチが届く仕組みづくり
「望む地域での暮らし」を実現するアウトリーチ支援の体制を整備するため
2.アウトリーチ支援者のプラットフォームづくり
アウトリーチに関する情報を集約・発信するだけでなく、価値や理念を共有価値や理念をするアウトリーチ実践者が集い・学び・語らい、互いがエンパワーメントされる場(団体)になるため
Missionを実現するためのAction(アクション)~2030年を目指して~
アクション①
本人の尊厳が大切にされる支援体制確立のための議論、問題提起、提言
1. 本人の尊厳が大切にされる保健福祉医療について考えていきます。
2. 支援を受けない権利も含めた本人の意思決定が保障される仕組みづくりに関する議論・検討を行います。
3. 他団体にも働きかけ、意思決定に困難を抱える人へのかかわり方に関する議論・検討をしていきます。
4. メンタルヘルスに関する理解の促進を図るために、社会へ向けて情報を発信していきます。
アクション②
本人やケアラーの人権・権利擁護についての議論・発信
1. 本人やケアラーが守られ、孤立しない仕組みづくりに関する議論・検討をしていきます。
2. 本人やケアラーの立場の人たちとの協働を目指します。
3.こども・若者や生活困窮者の支援団体、当事者組織や家族会との協働を目指します。
※ここでいう「ケアラー」とは・・・
こころやからだに不調のある人の「介護」「看病」「療育」「世話」「気づかい」など、ケアの必要な家族や近親者、友人、知人などをケアする人を指します。(日本ケアラー連盟による定義より)
アクション③
支援者のサポート・エンパワーメント・研鑽
1. アウトリーチ支援を支える価値や理念の普及、人材育成のために全国大会や各種研修会などを企画・運営します。
2. アウトリーチ実践者が交流し、困り事を相談できる機能を持つようにします。
3. アウトリーチ支援の組織づくり・事業化について、相談窓口を設けます。
4. 支援者が安心して働き続けられる環境づくりを検討します。
5. 2~4を実現するために事務局機能の拡充を目指します。
6. 透明性の高い開かれた組織運営を心がけ、組織の拡充・会員数の増加を図ります
寄付金の使い道
・使用用途の詳細
当法人の目的や理念に賛同してくださる方を対象とし、メンタルヘルスに関わるアウトリーチ実践者の人材育成のために充当する。毎年実施している当法人主催の全国大会や各種研修会などを、今後はより充実させる形で企画・開催する。私たちが企画する全国大会や研修会では、どんなに重い精神障害があっても「望む地域での暮らし」を実現するアウトリーチ支援体制を整備するための議論を行い、アウトリーチに関する情報を集約・発信するだけでなく、価値や理念を共有するアウトリーチ実践者らが集い、お互いがエンパワメントされる場としたい。
・受益者
主にメンタルヘルス領域のアウトリーチに関わる専門職。専門職の質が高まることによって、当事者やケアラーの生活に好循環がもたらされ、その好循環が社会全体にも波及していくことを願っている。
・期待される成果とインパクト
1.メタルヘルスに関わるアウトリーチ実践者の人材育成・質の向上
2.メンタルヘルスやアウトリーチに関する情報交換・普及啓発