私たちの取り組む課題
【不登校の子どもたちが安心して過ごせる居場所づくり】
<居場所を必要とする18万人>
子どもの数が減っているにも関わらず、不登校の子どもたちが増え続け、全国で約18万人もの小・中学生が学びの場が保障されずに過ごしています。
多くの子どもたちは、不登校になったことで自己肯定感が低下し、一人で悩んでいます。その様子を見守る家族も苦しんでいます。
特に、宮城県の不登校の児童・生徒の割合は全国でもトップであり、その対応が急がれます。
<選択肢が「学校」しかない現状>
文部科学省では、「不登校は誰にでも起こり得る」「不登校は問題行動ではない」と通達しています。
しかし現行の教育制度は、子どもたちが普通教育を受けられる場は「公的な学校」のみであり、学校に通えなくなると他の選択肢がないという状態にあります。
<多様な居場所の必要性>
私たちは、どのような子どもたちも安心して過ごせる居場所、生き生きと活動できる環境が多く必要であると考えています。
そこで、宮城県内でフリースクールなど、子どもの居場所に関する活動をしている民間団体がお互いに連携し、子どもたちに多様な学びの場を保障するために、ネットワークをつくりました。
これが「多様な学びを共につくる・みやぎネットワーク」です。
現在、不登校の子どもたちが学校以外に学習ができる場所、安心して過ごせる居場所が宮城県内により多くでき、それらを選択できる社会になるよう、活動を続けています。
なぜこの課題に取り組むか
●フリースクール・フリースペース・居場所はかけがえのない場所●
不登校になる理由は本当に様々です。いじめ・先生や友達との人間関係・部活や「学校がが合わない」「自分のペースで学習したい」 また「なぜ学校に行けないのか自分でもわからない」といったケースもあります。
学校に行くのが「当たり前」と思われ、学校に行けない子どもたちは「行けない自分はダメな自分」「大人になれない」「親に申し訳ない」など、自己否定感でいっぱいになります。
そして、不登校経験をもつ若者たちや、一度社会に出たけれど人間関係などで悩み、傷ついた若者たちも、自分に自信がもてないままに、家に閉じこもってしまうことも多いです。
そんな子ども・若者たちにとって、「居場所」はとても大切な場所です。
「ありのまま」「あなたはあなたでいいんだよ」「だいじょうぶ」……
そんなふうに自分を認めてもらえる場所
「遊びたい」「友達をつくりたい」「勉強したい」「社会に役立ちたい」「働くきっかけがほしい」…
そんな当たり前のことが叶う場所が 居場所であり、フリースクール、フリースペースです。
親同士がつながれる「親の会」「親カフェ」などを通して 悩みを分かち合いながら、親もどんどん元気になっていくことができるのです。
でも まだまだ「不登校」「ひきこもり」への偏見は大きく、孤立し、苦しんでいる子ども・若者・親たちが大勢います。そのような子ども・若者にとって、かけがえのない居場所ですが、国からの経済的な支援は各家庭にも運営側にもなく、「居場所に通いたい」「居場所を継続したい」と思っても困難な状況です。貧困家庭も増えており、利用料が支払えない実態もあります。
また居場所が見つからなくて 右往左往しているお母さんたちがたくさんいます。
なかには 泣く泣く「仕事をやめて日中子どもといられるようにした」というお母さんもいるほど、本当に困っているのです。
●「もう学校復帰でなはい」 教育機会確保法の設立●
2017年に「教育機会確保法」という法律が設立されました。
はじめて子どもたちの「休養の必要性」そして「官民の連携」「居場所の大切さ」が盛り込まれました。
これまでは不登校になった子どもは、どんなに学校がつらい場所だったとしても、「学校に戻らなくてはならない」「学校復帰」が前提でした。しかしながら、この法律ができたことによって、学校に合わない場合、フリースクールなどの居場所に通いながら、社会的な自立を目指すことが官民の連携でできるようになりました。
法律の中には「学校が子どもたちにとって安心できる場所になること」が提言されています。学校がより良い場所になるようにすることはもちろん大事ですが、それと同時に学ぶ場所を選択できるようになることも、子どもたちの命を守るうえでもとても重要であると考えます。
もはや「学校」だけが唯一の学ぶ場所でなく、「ホームスクーリング」や「シュタイナー教育」「モンテッソーリ教育」などオルタナティブな教育を選択できる時代に変わってきていると思います。
時代が多様になり、価値観や生き方が多様になっている時代に、教育も画一的な教育ではなく、子どもが自分で選ぶことができる「選択できる学びの場」を増やすことが今求められているのではないでしょうか。
●不登校の割合は増え続け、宮城は全国1位●
不登校の子どもたちの数は年々増え続け、小中学校合わせて、1昨年は16万人 昨年は18万人を越えました。中学生に至っては27人に1人が不登校です。
●フリースクール等の厳しい運営や活動状況●
民間のフリースクール等は、行政からの支援は全く受けずに運営しています。多くの団体は、財政面で厳しい状況を続けたまま運営を続けています。残念ながら続けることが困難になり、閉鎖してしまうフリースクール等も少なくありません。
また、団体単体での活動ではできることに限りがあり、思うように活動が広がらずに停滞してしまうこともあります。
だからこそ、お互いのフリースクール等が手を取り合って子どもたちのために
活動を継続していくためのネットワークが必要なのです。
寄付金の使い道
いただいたご寄付は、以下のみやネットの活動資金として活用させていただきます。
①研修会・講演会等の開催
不登校の問題や「教育機会確保法」に関する知識・見分を広げたり、関係機関や団体間の情報を共有できるための研修会や講演会などを開催します。
②調査活動
不登校の当事者を対象とした意識アンケートなど活動に関する調査活動を行い、不登校問題の解決に向けた現状分析しながら、問題解決の指針を立てます。
③交流イベントへの参加
宮城県内のフリースクール・居場所に在籍する子どもたちどうしの交流イベントを企画します。
④全国のフリースクール等の情報共有と発信
全国フリースクールネットワークをはじめ、子どもの居場所に関する活動をしている団体や不登校関連の情報を発信しています。
昨年11月に製作した「みやぎ子どもの居場所マップ」では、県内のフリースクールや子どもの居場所の情報を掲載しています。
⑤行政、県および市町村議員との懇談会
不登校の問題を解決していくためには民間と行政、議会との連携が不可欠です。
お互いの立場の垣根を越えて、子どもたちの居場所や教育の場について勉強会や懇親会を開きます。
現状の教育制度ではフリースクールなどの学校以外の学びの場では、公的な支援を受けられていません。
子どもたちが「普通教育を受ける」権利が守られるよう、学校以外の学びの場に公的支援が受けられるための働きかけを行います。
⑥先進事例の視察
全国のフリースクールや子どもの居場所のなかでも、先進的な取り組みをしている団体や、補助金などの助成を行っている自治体などの事例を視察し、みやネットの活動や情報提供に活用します。