事業の目的
現地カウンターパートと協働してパラグアイ都市部のスラムに住む人たちの生活改善を行うこと
これまでの活動
パラグアイのスラム・カテウラ
パラグアイの首都、アスンシオンの郊外にはスラム地域があります。この地域の正式名称はバニャード・デ・アスンシオン(Bañado de Asunción)なのですが、パラグアイではこのエリアのことをカテウラと呼んでいます。カテウラには、都市最大のゴミ集積地があり、毎日約1,000~1,500トンものゴミが運び込まれています。あちらこちらに高く積まれたゴミ山の中で、多くの女性や子どもがゴミの分別をして生計を立てています。
雇用を求めて農村部から都市部にやってきた人々が、住居や職を手に入れることができず、もともと湿地帯であったこの地域に「不法占拠」という形で暮らしています。
カテウラの抱える課題
カテウラでは、毎年雨季になると、近くを流れるパラグアイ川が氾濫し洪水が起きます。多くの家屋が浸水し、時には家屋や学校は水没してしまい、カテウラに住む半数以上の住民が避難を余儀なくされてしまいます。
カテウラ出身というだけで差別を受けることもあり、仕事に就くことも難しく、経済的困難に陥るという悪循環も存在しております。親の仕事の手伝いで学校に十分に通えない子どもも多くいます。
その結果、教育へのアクセスの機会が不足し、複合的な問題へとつながっていきます。
庭師や左官、家政婦として働いても低賃金である、支払いをだまされる等も起こります。また、女性に対する差別の例として、家政婦として働いている家屋の中でおきる暴力・性暴力などもあります。性教育の不足や自尊心の欠如、食べるためになど複数の理由から若い女性が若年妊娠をしてしまう事例もあります。若くしてシングルマザーになってしまう女性たちは子どもを抱え、日々生きていくことに精一杯で、未来を描くことができません。仕事を見つけることができない若者たちは、昼間から麻薬やアルコールに依存し暮らしているケースもあります。人々の住む家はもろく、あばら家に住んでいるため、不法侵入などにより若い女性がレイプ被害にあることもあります。
このようにカテウラの生活環境、治安は厳しい状況となっています。
現地カウンターパート団体との協働
カテウラで「自分の生まれ育った地域を良くしたい」という思いを持った、カテウラ出身の若者たちに出会いました。彼ら・彼女らはJuvenSur(フベンスール)という団体を立ち上げ、カテウラの生活をよくしたいと日々努力をしていました。
私たちは約2年間かけてフベンスールのメンバーと共に調査を行い、小さな生活改善のための活動も実施してきました。
2018年にはクラウドファンディングを実施し、200万円の資金を調達し、カテウラで約4ヶ月に渡る生活改善プロジェクトを実施いたしました。
「教育」「健康」「職業訓練」を3つのテーマに掲げ、パラグアイ国内の大学など多くの方に協力を仰ぎながら活動を実施いたしました。
これまでの事業成果
生活改善プロジェクト
「教育」「健康」「職業訓練」を3つのテーマに掲げて実施した生活改善プロジェクトでは、パラグアイのトップ大学であるアスンシオン国立大学医学部など多くの方に協力をいただきながら4ヶ月間にわたって、合計15回講習を開催し、のべ500人以上のカテウラの住民が参加しました。
(写真左:アスンシオン国立大学医学部生によるコミュニティ巡回健康調査)
カテウラで暮らすシングルマザーへの就業支援
スラムで暮らす女性の仕事は、ゴミの分別や家政婦などであることが多いため、肺などの病気にかかるリスクや雇い主からの暴力のリスクを負っています。また、女性の賃金は男性よりも低いため、女性が経済的に自立することは容易ではありません。
しかし、女性がネイル細工という手に職をつけることで、中間層以上の女性たちを対象にネイル細工をすることが可能になります。一回の施術で30,000グアラニー(約5.5ドル)を稼ぐことができ、彼女と子どもたちの生活をするために必要な最低限の所得を女性たちは得ることができるようになります。ネイル細工のキットはコンパクトであるため、持ち運びが容易であり、女性の足で中間層以上の層の人々の家を回ることができます。
現在までに70名の女性に講習を提供しています。
(写真右:受講する女性)
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