私たちの取り組む課題
震災により吉里吉里の海も、街も、働く場もなくなりましたが、山だけは津波の前と同じ姿で残ってくれました。 そこで、私たちは助けてもらった命を活かすため、樵(きこり)になろうと思いました。 自分の持てるすべてを、森に捧げようと決めたのです。
津波災害復興に向けて新たな雇⽤の創出と経済復興に関わる地域主体の取り組みを地元住⺠と⼀体となって地域再⽣に取り組んでいます。
復活の森事業
吉里吉里の里山は、その約8割が漁業者の所有林となっており、長いこと手つかずの荒廃した森となっています。森林保全整備作業(主に間伐等)を施し、山や海、その流域をも含めた自然環境の回復を目指し、森を元気に復活できる環境づくりを行います。
地域再生事業
再生可能エネルギー(木質バイオマス燃料)の地域内における普及促進活動を推進することで、持続可能な暮らしの再現をめざします。また、森林保全整備を行ったエリアや生み出された木材を活用し、内外交流の促進に取り組みます。
雇用創出事業
森林作業から生み出される木質・木材を有効活用(主に薪の生産)することで販路を拓き、自伐林業の副業的生業づくりに繋げます。また、林業学校を開催し、失われつつある“暮らしの伝統技術”の普及と、林業担い手育成にも取り組みます。
なぜこの課題に取り組むか
これらの活動を地域住民と一体となって取り組むことで、やがて豊かな海の再生へとつなげ、次世代へと引き継いでいくことで、地域社会に寄与することを目的に、具体的に以下4つの活動をしています。
・森林保全整備活動
・薪の生産・販売・PR活動
・人材の育成活動
・内外交流促進活動
寄付金の使い道
・森林保全整備活動「100年後を見据えた豊かな森と海を」
長いこと放置され、荒廃した集落の森に間伐作業を施し、まず林内に適度な太陽光線を与えねばなりません。 そこに多種多様な生物・草木にとってより良い環境がつくりだされ、しいては豊かな森となります。 豊かな森からは、養分豊富なきれいな水が海に注がれ、魚介類の健全な発育を促してくれます。
・薪の生産・販売・PR活動「『復活の薪』薪に込めた願いと祈り(第一章)から、新たなステージ(第二章)へ」
震災以降ライフラインが完全に途絶え、非常に不便な避難所生活を送る中、吉里吉里地区避難所に岩手県の震災復興支援による、入浴施設が開設されました。給湯用ボイラーはガレキ廃材を活用できる薪ボイラーで、私たちは薪づくりの作業を手伝っていました。 とあるボランティアさんの一言が始まりでした。「この薪、売れるんとちゃうん!」住民有志12名による任意団体、「吉里吉里国 復活の薪」がその時設立されました。(2011/5/15)
被災地での生活再建、暮らしの安心の回復等をより現実のものとすべく、NPO法人格を2011年12月28日に取得しました。 活動拠点も避難所から海を見下ろす場所へと移動し、新たなステージの幕があがりました。薪等の木質バイオマス燃料材を生産・販売することで、新たな副業的なりわいを創出し雇用の確保に繋げます。 やさしく暖かい薪の炎が、被災地で灯されることを願っています。 これからも薪文化の復活・普及に努め、地域内での持続可能なライフスタイルの確立を目指します。
・人材の育成活動「自然の恵みを授かる術を」
森見て、それを支える人々の労苦を想像できること。地域の明日を担える人材を育てます。豊かな自然の中で、その恵みに感謝できる“心豊かな人材”が育ちますよう。
「持続できる林業モデルの創出」林業とは、山で汗した人間が現世のうちに利にあずかれることの少ない仕事かも知れません。しかし、私たちはそれを承知で山に入りつづけます。先人が残してくれた山の恵みを、いま私たちは授かっています。将来この地に生きる子どもたちに、今度は私たちがその恩を送ろう。それが、農山漁村で生きいく私たちの誇りであり希望です。
「自然から学ぶたくさんのこと」いつもは穏やかで心を癒し、時には脅威にもなる自然。豊かな自然の美しさ、厳しさを、森林資源の尊さを、五感で学ぶ場を。誰もが参加できる森林教室を開催します。
・内外交流促進活動「薪が紡ぐつながりをこれからも広げて」
震災で多くの人との別れがありました。そして、多くの人に支えられ、新たな繋がりもできました。 人と人が出会う場に、人と共に学ぶ場に、そして新しいこととも出会える場に。 町内の人同士から、国境や人種をも越え、世界中の人とも共存していきます。