私たちの取り組む課題
1.砂浜海岸の激減による海浜植物群落の減少
海浜植物群落は、移動する砂を留め、砂丘の形成を促進し、自然堤防を形成してくれるなど、陸側の防潮林や農地・住宅地を守り、人々の生活を支える自然のインフラといえる。しかしながら日本には自然状態の砂浜海岸は総延長の10%程度まで減少し、さらに海浜植物群落の発達した砂浜海岸はごく希少なものとなってしまっている。
2.海浜植生への関心の低さから進む、インフラ整備による更なる破壊
一方、海浜植物保全への関心は低く、津波防災に主眼を置いた防災インフラの整備が進む中、仙台湾岸では、大震災の痛手から自律的に復元しつつあった砂浜や湿地・海岸林が、大規模かつ急激な盛土によって延長30kmの大部分が埋め立てられるなど「減災・防災と自然環境の調和」が図られてない状況にある。この状況は、国土強靭化政策の下行われている全国各地の防災インフラの整備でも同様で、改善が必要である。
3.東日本大震災の記憶の風化
また東日本大震災の被災地では、次第に国民の関心が薄れていくことに強い危機感を抱いており、私たちが住む北海道でも遠い記憶となりつつある。震災を通して今一度つながった人々の絆が弱まり、減災・防災の得難い知恵を共有し育てる機会を失いかねない状況にある。時間の経過による風化に対し、状況の改善が必要とされている。
4.被災地域における活動の自律化
さらに震災から8年が経過する中、被災地での継続的な活動と定着させていくために、地域での担い手の発掘・技術移転が求められる。
なぜこの課題に取り組むか
私たちは、海浜植物を通して東北の人々と北海道の人々をつなぐ「かけはし」になりたいと考えました。
復旧工事により消失する東北の海浜植物群落から今ある海浜植物の種子を集めて、北海道で育苗し、再び現地の適地あるいは近隣小学校等に移植することを目的とします。あの日生き残った植物たちを守り、被災地の復興への希望の光を絶やさないようにしていきたいと思います。そして、海浜植物群落の回復がハチやバッタなど元の生態系の回復につながり、その恵みを受けていた海辺の文化の保全・再生につながることを目指します。
寄付金の使い道
1.被災地および北海道での海浜植物の育成、植栽活動
震災直後は、被災地での育苗ができなかったため、現地の海辺に残っていた海浜植物からタネを採って北海道に持ち帰り、石狩市立石狩中学校はじめ、KDDI(株)さんや雪印種苗(株)さんなど賛同する団体の方などで苗づくりをして、育った苗を現地に持って行って、地元の方と一緒に植栽活動を始めました。その後、仙台市立岡田小学校や気仙沼市立大谷小学校での苗づくり、植栽活動も始めています。