舛森 悠
プロフィール
"「生きててもしょうがない」と言った患者さんに何かできないか" "薬でなく『まちでの生きがい』を処方できたら" "あと少し早く、病院へ来れば救えたのかもしれないのに" 医療者が街に出て、気軽に何でも相談できる 『暮らしの保健室』で まちの健康をつくりたいです。 病院にいても健康なまちづくりはできない。 ”病院に行くまででもないけど、健康が気になる…” ”親がなかなか家から出なくなった、どこに相談できるだろう?” ”大したことないと思って放っておいたら、癌だったなんて” 病院というものは構造上、病気を治療すると診療報酬がします。 病気にならないための知識やケアを行っても、多くの場合は儲けになりません。 つまり、病院は病気を治す場所であって、病気を予防・早期発見するには不向きです。 そして私たちは医療保険で病院で薬を処方できても、 地域のつながりを処方することは難しい。 しかし私はとある地域でこんな経験をしました。 70代でアパートに一人暮らしをしている男性。 奥さんは3年前に亡くなっていました。 金銭的にもギリギリで、衣服はタバコの臭いがします。 「先生の顔を見に通院してんだよ、薬はいらないよ。」 そう言って10分ばかし、世間話をして帰っていく一風変わった方でした。 病院以外に行くところもない、 「あとは迎えが来るのを待つだけだ」と笑いながら言っていました。 その顔はどこか寂しげであったことを覚えています。 そんな彼に私は何ができているだろうと考えていました。 そして、ふと閃いたんです。 「〇〇さん、昔は棋士目指していたんですよね? 公民館で将棋のサークルやってる患者さん知ってるから、 よかったらそこで先生をやってくれませんか?」 それ以降、その男性は生まれ変わったように目を輝かせて、 私の外来で自分がいかに将棋サークルで輝いているかを 教えてくれるようになった。 「先生、ありがとね。」 診察室の去り際に、照れ臭そうに言われたこと一言です。 私はこの言葉・情景を一生忘れないと思います。 薬ではなく”社会とのつながり”を処方するだけで、こんなにも活き活きと暮らせるようになるんだ。 医療と人とまちをつなげていけば、笑顔に溢れて、気がついたら健康になっちゃう、そんなまちづくりができるのではないか? しかし、病院にはそういったそれぞれの地域の資源を把握したり、社会とのつなげる能力がないのが現状です。 ということで私は、 医療者が街に出て、気軽に何でも相談できる 『暮らしの保健室』で まちの健康をつくりつづけていきたいと考えました。 具体的には定期的に”暮らしの保健室”を開催して、 まちの皆さんとの交流を深めたり、誰でも気軽に来られる居場所をつくっていきたいと思っています。 医療者が一方的に健康を押し付けることは本来の姿ではありません。 ひとりひとりが、対話の中で人生や健康観を見直していく。 そして、思いもしない繋がりが生まれて、まちが活性化していく。 そんな活動をしていきたいと考えています。 「〇〇クラブのAさん、最近調子悪そうなのに誰にも相談できていなそう、 そうだ、”暮らしの保健室” に相談してみようかしら?」 そんな言葉がまちの中から生まれてくることを目標にしていきたいです。 そして、私には最終的な目標があります。 地域資源(繋がり)を把握できるデータベースを確立したいです。 あらゆる自治体・クリニック・施設で、何か困ったことがあったときに 簡単に繋がりを提供(社会的処方)できるようなサービスです。 そしてそれに特化したコミュニティナース・リンクワーカーを全国に配置したいと思っています。 医師人生をかけて、 人と地域と医療をつなぎ、まちの健康をつくる そんな想いで、この目標に真正面から取り組んでいきます。 気がついたら健康になっているまちづくり。 ぜひ皆さんのご支援を心から、よろしくお願い申し上げます。

