私たちの取り組む課題
【子どもが気軽に「困った」と言える地域へ】
◆私たちの課題意識 ~第一部~
私たちは子どもたちが悩みを一人で抱え込まず、様々なことにチャレンジしながら、自分の将来にワクワクしながら生きていける地域、そして社会を子どもたちとつくっていくために活動を行っています。細かなデータについては2部でまとめますが、最近では地域の繋がりが薄くなっていく中で、子どもの成長や問題行動ととれるような事に関して、「自己責任」が問われやすい社会になってきているように感じます。更に、地域だけでなく、家庭内での関係性の希薄化も大きな課題に感じています。
移り変わりの激しい社会の中で子どもやその家庭に責任を負わせるのではなく、成長の過程を共に歩み、共に悩み、子どもたちの成長を共に喜べる団体や地域、社会に向けてこれからも尽力していきます。
◆愛知県の子どもの現状 ~第二部~
2016年に「愛知子ども調査」が実施され、様々な現状が改めて見えてきました。
以下は中学2年生のデータを一部抜粋して紹介します。
・18時までに保護者が帰ってこない:23.1%
・放課後に家で一人で過ごす:12.6%
・地域活動への参加をしていない:10.3%
・夕食を一人で食べる:6.1%
・子どもと過ごす時間を十分に取れていない:15.1%
(最も所得区分が高い世帯の割合)
その中でも「子どもの貧困」という軸で考えてみる。
現在の日本全体における子どもの貧困率は2016年に行われた「国民生活基礎調査」より13.9%となっており、日本の7人に1人の子どもが貧困と言われている。愛知県でも同様に2016年、「愛知子ども調査」を実施し、愛知県の子どもの貧困率は5.9%という結果がでた。また、名古屋市の子どもの貧困率は6.2%で、私たちの活動する知多半島の子どもの貧困率は6.0%と愛知県全体よりも若干だが高い傾向にあった。
子どもの貧困率が県内で低い位置にあることはよいことでもあるが、同時に「貧困」というテーマを取り上げる中で注意して見なければいけない点がある。その注意点が「孤立」にある。県内での貧困率が少ないということはサポートが必要な子どもが発見しづらい。また、日本の貧困自体が「相対的貧困」と言われ、周りと比べて貧困の状態にあるため見つけにくい性質がある。つまり、愛知県の中でサポートが必要な子どもたちを見つけるのが難しく、同時に孤立しやすい状況にある。
とはいうものの、私たちが拠点とする半田市だけでも貧困率から概算すると2,000人を超える子どもたちが貧困状態にあると考えられる。割合でみるとその規模の大きさは小さいように感じるかもしれないが、数字で見ると多くの子どもたちがサポートが必要な可能性が高い。
しかしながら、日本の中で子どもの貧困は取り上げられて日が浅い。そのためか、都市部での活動は盛んなものの、地方都市における打ち手はまだまだ不十分だと考える。だからこそ、子どもの貧困や孤立、そして地方都市における持続可能な子どもの居場所や拠点活動は今後の大きな課題になってくると考え活動を展開している。
なぜこの課題に取り組むか
【福祉の専門家として人を支える】
私たちの法人は元々福祉を学ぶ学生がボランティア団体として立ちあがり「大学生だからこそ出来る社会貢献活動」として、母子家庭の子どもたちに対する学習会を2012年の1月よりスタートした。子どもたちと共に勉強を日々行っている中で、様々な相談が大学生に寄せられた。当然学習に関する相談や将来に関する相談、年の近いからそこの恋愛相談も多くあった。しかし、将来のことや学習の事以上に家庭や普段の人間関係の悩みも多く寄せられていた。その中で、学習や将来に向けて集中して取り組むための障害が今の子どもたちには多くあり、その障害を共に考え、乗り越えていくような場をつくることで子どもたちが変化していく事に気づいた。
勉強が苦手な子どもたちに「どうやって分かりやすく勉強を教えるか」というこちらのスキルではなく、「子どもたちは学ぶ力はあるがその力をどのように引き出すか」という視点で家庭や本人の人間関係、本人自身と向き合いながら共に考えていくことの重要性を子どもたちから気づかされた。
学生団体として立ち上がった団体で、学生が中心になって活動してくれているからこそ、子どもたちは近い目線で様々なことを吐露でき、そして福祉の専門家が関わることで、子どもたちにスキルを与えるのではなく、高める為のサポートは私たちだからこそ出来ることだと感じ、この課題や活動を取り組んでいる。
寄付金の使い道
組織基盤を固め、地方都市で持続的に活動していける体力をまずはつけさせてもらいたいと考えています。