私たちの取り組む課題



「勉強ができること」だけが学びじゃない!
子どもたちの居場所と創造性をあきらめさせない
〜ローカルマガジン制作という「社会実装」から育む、新しい自己肯定感〜
1.取り組む課題は、顕在化していない都市部の教育課題
文京区をはじめとする中学受験や学力テストへの関心が高い地域では、「勉強ができること」が、知らず知らずのうちに子どもたちの価値を測る大きな基準になっています。
その結果、「勉強ができるかどうか」が、子ども自身の自己評価や、周囲からの評価に大きな影響を与えることがあります。
そこには、数字には表れにくい「自己評価の差」が生まれることがあります。
受験をする子としない子の学力差やコンプレックス、自己肯定感の低下につながることもあります。
「勉強ができないと自分の居場所がない」と感じてしまう子どもたちもいます。
絵を描くことが得意な子、写真を撮ることが好きな子、本が大好きで物語をつくりたい子。
そんな子どもたちの中には、それぞれの創造性や「表現したい」という気持ちが、確かに芽生えています。
独自の観察眼や表現力を持っている子どもたちが、勉強の評価など気にせず活躍できる場を作っていきたいと思います。
2. 情操教育や贅沢とはちがう「社会実装としてのデザイン活動」
クリエイティブな活動は、時に「遊び」や「贅沢な習い事」または、子どもの教養としての情操教育と受け取られがちです。
しかし私たちは、これを子どもたちが社会とつながるための極めて重要な実践的活動だと捉えています。
私たちの活動では、子どもたちの表現を「自分のためにつくる」だけで終わらせず、誰かに伝え、社会とつながるデザイン的な実践へと発展させることを大切にしています。
・社会実装のプラットフォーム 子どもならではの視点や感じたままの感性を大人が枠にはめず肯定し、プロのクリエイターが伴走して、子どもたちの表現を「社会に届く形」にしていきます。
3. 私たちが提案するローカルマガジン制作プロジェクト
小学4年生から中学3年生の子どもたちが、プロのクリエイターとともに地域を取材し、自分たちの視点で本物の地域情報誌をつくります。
この活動の特徴は、子どもたちの創造的な表現を、作品づくりだけで終わらせず、実際に地域や社会へ届けることです。
「学ぶ → 調べる → 人に会う → 表現する → 冊子にする → 地域へ届ける」という一連のプロセスを通して、自分の感性や創造性が社会とつながる体験を生み出します。
特徴ある活動は以下の通り
・プロによる実践的レクチャー: 取材・文章・写真・デザインの本質を学びます。
・子どもたち主体の対面取材: 街の大人に直接話を聞き、自分の耳と目で街を掘り起こします。
・プロとの誌面づくりと地域配布: 制作した記事やイラストをプロが社会に届く誌面へと仕上げ、地域の店舗や公共施設、図書館へ配布します。
・完成発表会: 地域の方々を前に、自らの言葉で活動の学びと成果を堂々と報告します。
4.紙の冊子が社会とつながっていることを実感させる
子どもたちが絵を描く、文章を書く、写真を撮ってものが、本人や学校の中だけで終わってしまうことがあります。
私たちは、子どもたちの「好き」や「得意」を、ただ学ぶだけ、表現するだけで終わらせたくありません。
取材し、考え、書き、撮影し、デザインした成果を、実際に地域へ届ける紙の冊子として発行するにこだわっています。
冊子は、子どもたちの活動を一過性の体験で終わらせず、地域に残る成果へと変えます。
そして、自分たちがつくったものが、家族や先生だけではない、地域の人たちの手に渡る。
そこで初めて子どもたちは、
「自分の表現が、誰かに届いた」
「自分たちのつくったものが、社会の中に存在している」
という実感を得ることができます。
子どもたちの創造性を、自己表現で終わらせず、社会とつなげるためです。
なぜこの課題に取り組むか



完成した冊子は文京区の公立図書館に収蔵されています。
2018年 キッズデザイン賞・2023年グッドデザイン賞受賞。
この活動モデルは全国20エリアへ広がり、10年以上継続しています。
活動を始めたきっかけ
私たちは、創造性を仕事にしている大人たちです。
デザインする人、文章を書く人、写真を撮る人。
そして多くのメンバーが、子どもの頃から「何かをつくること」が好きでした。
そして今、彼らはその創造性をいかして、社会の役に立つ仕事をしています。
もちろん、学校の勉強も大切です。
考える基礎は勉強の中にあるからです。
しかし、好きな絵を描くことを我慢して勉強に追われたり、
物語をつくる代わりにテストの点数だけを追い求めたりすることで、
子どもたちが本来持っている豊かな創造性をあきらめてしまうのは、とてももったいないことです。
「君の創造性は、しっかり社会の役に立つんだということを覚えてほしい」
そんな想いから、この活動は始まりました。
代表は、クリエイターの社会貢献としてできる「子どもたちへの創造性教育」のひとつとして、2012年に静岡県伊豆市から「COLOMAGA project」の仕組みを立ち上げました。
そして2地域目のエリアとして、代表が暮らす文京区でスタートしたのが『MiTaMiYo!!』です。
主催するのは、芸術大学の准教授、プロのデザイナー、アートディレクター、ライターを中心としたチームです。
何かを創り出すことを生業とし、その価値を誰よりも深く知っている大人たちが集まっています。
創造性とは、単に美しいものやかっこいいものをつくる技術ではありません。
自分の感性で社会と関わり、人と人をつなぎ、見知らぬ誰かの心を動かす力です。
プロとして生きる大人が、自分の実践をそのまま持ち込んで子どもたちの隣に立ち、伴走する。それが私たちの原点です。
活動の内容
MiTaMiYo!! は、小学4年生〜中学3年生のキッズクリエイターが、
プロのカメラマン・ライター・デザイナーとともに文京区を取材し、本物の地域情報誌(ローカルマガジン)を制作・出版するプロジェクトです。
名前の「MiTaMiYo!!(見た?見ようよ!)」は、第1号に参加した子どもが名付けてくれました。
年間約9ヶ月をかけ、企画・取材・執筆・デザイン・印刷・発表会という一連のプロセスを経て、毎年1冊の冊子を完成させます。
活動はまず、プロのクリエイターによるレクチャーから始まります。
・プロによるレクチャー: 写真の撮り方、文章の書き方、取材の進め方など、「伝えること」の本質をプロから直接学びます。
・子どもたち自身による取材先の選定: 神社仏閣、老舗の店舗、大学の研究室、銭湯、路地裏など、大人が選ばないような場所も含めて自分たちの視点で街を掘り起こします。
・「本人に会って話を聞く」対面取材: ネットや本で調べるだけでなく、実際に足を運び、自分の耳で聞き、自分の言葉で伝えます。
・プロとの誌面づくりと地域配布: 記事・イラスト・写真はすべて子どもたちが制作し、プロのデザイナーが社会に届く誌面へと仕上げ、地域の店舗・公共施設・図書館などに広く配布されます。
・完成発表会: 取材先や地域の方々を招き、子どもたちが自らの言葉で活動の成果や気づきを堂々と報告します。
この活動が生み出す効果
「自分がつくったものが、見知らぬ誰かの手に届く」
参加者へのインタビューやアンケート調査からは、取材や制作を通じて、単なる文章力や写真技術だけではない変化が見えてきています。
子どもたちは、プロのクリエイターと出会い、地域の大人と対話し、自分たちの表現を見知らぬ読者へ届けるという経験を通して、
自分自身と地域の見え方を少しずつ変化させていきます。
取材を通じて「まちに顔見知りの大人」ができ、冊子を通じて「自分のまちへの誇り」が育まれます。
取材を通じて地域の大人と顔見知りになり、街への関心を深めることは、子どもたちが地域社会の一員であるという感覚を育むことにもつながります。
こうした人と人とのつながりは、結果として、防災や防犯の面でも地域の力を高める可能性があります。
地域の大人を「知っている人」として認識できる子どもが増えることは、いざというときの地域の底力につながります。
紙の冊子へのこだわり
デジタル全盛の時代だからこそ、私たちは「手にとって五感で完成を味わえる本物の紙の冊子」をつくることにこだわっています。
1. 画面の中では得られない「重み・手触り」を通じた達成感の身体化
子どもたちの表現活動を画面の中や身内だけの評価で終わらせず、印刷・製本された「本物の紙の冊子」として形にすることにこだわっています。
画面越しでは得られない重みや手触りとともに、自分たちの発想や表現が社会に通用する水準へと結実する達成感を体全体で味わうことができます。
「想像以上のものになった」と身体全体で実感できるのは、フィジカルな冊子だからこそ得られる実体験です。
2. 誰かの手に渡り、街に残る社会実装の実感
紙の冊子は、店舗の店頭や図書館に置かれ、見知らぬ大人が実際に手に取り、めくり、持ち帰るという物理的な体験を伴います。
「あの店に自分の描いた本が置かれている」
「見知らぬ人がカバンに入れて持って帰ってくれた」
「図書館の郷土資料として保存され、街の記録として残る」
このように「社会の中に自分の表現が確かに存在している」という手応えが、テストの点数では得られない深い自己肯定感(誰かの役に立っている実感)へと直結します。
3.プロのクオリティが「目に見える形」で担保される
子どもたちの描いた絵や文章が、印刷・製本を経て「商品のような本物の雑誌」として完成します。
子どもたちは「自分たちの表現が、社会に通用する品質のものなった」という驚きと誇りを抱きます。
この完成度の高さが、学校の先生や友人、家族だけでなく、広く社会から本気で賞賛される基盤となります。
実際に参加した子どもたちからは、こんな声が届いています。
① 地域の発見・まちへの眼差し
「文京区にはいろんな仕事がある人たちがいると思いました」
「普段入れないワクワクする場所で取材ができた」
「いろんな場所にいって、自分がすんでいる文京区の楽しさを全部体験できた」
② 人との出会い・コミュニケーション
「人と会うと質問がたくさん出てくる」
「学校や年齢がちがっても、私と同じ文京区の魅力を伝えたいと思って参加しているみんなと、冊子を作り上げることができて楽しかった」
③ 子どもの成長・変化
「最初は気が進まなかったけど、取材やワークショップで先生や仲間と協力してやっていくと、楽しくなっていきました。知らなかったことも、できなかったこともできるようになりました」
「みんなで1つのものをつくるということ。自分がかいたものが雑誌にのるということが大切なんだと思った」
④ 活動全体への感謝・印象
「取材など貴重な体験は宝物だ」
「あっというまの半年間でした。もうおわっちゃうのかーと思うと来年もさんかしたいです」
「二回目でしたが、やはり大事な体験をさせてもらいました」
保護者からは、こんな声が届いています。
① 子どもの地域への変化
「地域に対する興味・関心が強まっていました。取材で行けなかった所にはプライベートで行ってみていました。カメラをもちたがるようになったのは、こちらの活動のおかげだったんだと気付きました」
② 活動を知るということ
「普段は文京区の中でも家や学校の周りのことしか見たり調べたりする機会がないので、区内の他の地域を知るいい機会になったと思います」
③ 子どもの成長への驚き
「自分の子の感想も"またやりたい"におどろきました」
④ 子どもたちが感じた活動の価値
「自分たちの住んでいる街のことを知って、それを他の方に伝えることで文京区にも貢献でき、本当に貴重な体験になっています」
これまでの実績
2017年の活動開始以来、文京区6エリア(大塚・音羽関口・東大本郷・小石川春日・白山千石・湯島)で6冊を発行。
完成した冊子は文京区の公立図書館に収蔵されています。2023年グッドデザイン賞受賞。
この活動モデルは全国20エリアへ広がり、10年以上継続しています。
Vol.1(2017)大塚エリア
文溪堂・共同印刷・ルリ製本/不二家・洋食店コクリコ・cafe&bar totoru・一幸庵・Patisserie Hiyama・スターフルーツ茗荷谷店・小林久間古豆腐店/護国寺・傳通院/Booksアイ・ステーショナーズ・ラ・フルール/大黒湯
Vol.2(2017)音羽・関口エリア
今宮神社・吹上稲荷神社/ホテル椿山荘東京・細川コレクション永青文庫・肥後細川庭園・東京カテドラル/関口フランスパン・善作・江戸川はし浪花家/講談社・文成社/白山台運動公園
Vol.3(2018)東大・本郷エリア
東京大学/松下産業/鳳明館 森川別館/FARO DESIGN/食堂もり川・万定フルーツパーラー・まるや肉店・北海道すなお水産/大洋製薬/いわしや/金魚坂
Vol.4(2020)小石川・春日エリア
源覚寺・講道館・赤堀料理学園・稲荷蕎麦 萬盛・小石川大神宮/東京ドームシティアトラクションズ・東京宝島/青いナポリ・アリンコ/PARADIS・Pebbles Books・齋藤商店
Vol.5(2025)白山・千石エリア
童心社/東洋大学 井上円了記念博物館/白山倉庫・銭湯山車/an dan te/白山神社・石だたみ/白山 Le Bon Vivant/喜三郎農場/白山上 鮨 辰巳
Vol.6(2026)湯島エリア
湯島天神/湯島聖堂/おり紙会館・染め紙工房/天澤山 麟祥院・座禅体験/東京科学大学病院・ER/サカノウエカフェ/とんかつ井泉/舞い鶴/みつばち
支援金の使い道



制作費用について
MiTaMiYo!!の1年間の活動には、企画・取材・講師・編集・デザインなどを含め、およそ50万円の制作・運営費がかかります。
これに加えて、冊子の印刷・製本費が必要になります。
制作・運営費:約50万円
印刷・製本費:約30万円(2000冊の場合)
年間必要額:約80万円
行政補助のない民間・ボランティア運営のため、皆さまのご支援が活動継続の大きな支えになります。
いただいたご支援は、以下の活動費に大切に使わせていただきます。
冊子の印刷・製本費
取材活動費(交通費・取材先への謝礼)
プロクリエイター講師への謝礼(カメラマン・ライター・イラストレーター・デザイナー)
画材・撮影機材費
冊子の配布・広報費
団体の基盤整備や事業のコーディネーション、広報活動等
子どもたちが「つくったものが誰かに届く」体験を、毎年続けるための費用です
その他、活動の継続・発展に必要な経費として大切に使わせていただきます。

