私たちの取り組む課題

私たちが解決したいと考えているのは、こどもたちの「あそび」を取り巻く以下の3つの大きな課題です。
①平時のこどもの「あそび」不足
②災害時のこどもへのケアの不足
③被災時などに必要な助け合い・共助の不足
①平時のこどもの「あそび」不足
こどもたちにとって「あそび」は、単なる余暇や娯楽ではありません。自分で決めて夢中になることは、こどもが自らの世界を広げ、豊かに生きるうえで欠かせない営みです。
しかし今、日本のこどもたちの日常から「あそび」が急速に失われています。公園でのあそびが制限されているほか、習い事などによる放課後の過密化、地域コミュニティの希薄化により、あそびに必要な「時間・空間・仲間」が減少しています。
平日の放課後に外遊びを全くしない小学生が約8割(78%)に上るとの調査結果もあります。(※)
(※)日本学術会議:提言「我が国の子どもの成育環境の改善にむけて-成育空間の課題と提言2020-」より
②災害時のこどもへのケアの不足
ひとたび災害が起きれば、いつもの場所が避難所へと姿を変え、あそびは後回しにされてしまいます。日常が急変し、避難生活が続く中で、こどもたちは「静かに過ごすこと」を求められ、自分らしく過ごせる時間や場所を失います。
急激な環境の変化や恐怖心を経験したこどもたちは、深いトラウマを抱え、時には「震災ごっこ」や「津波ごっこ」といった行動をとり、本能的にあそびを通して自らの心のケアを試みることがあります。
しかし、周囲の大人たちもまた被災者であり、余裕がない状況下では、こどもたちに適切なケアや「安心してあそべる環境」を提供することが極めて困難になっています。
③被災時などに必要な助け合い・共助の不足
地域内の関係性の希薄化や高齢化が進む中、いざという時に地域住民同士で助け合う「共助」の力が弱まっています。
過去の阪神・淡路大震災では、救助された人の8割近く(約77.1%)が近隣住民などによる「共助」によって救出されました。
しかし現在は、日頃からのつながりがないため、災害時に地域で連携して避難所を運営することさえ難しい事態が発生しています。
だから私たちは、移動式あそび場(プレイカー)を通じた”あそぶ環境づくり”に取り組んでいます。
普段は、全国の「移動式あそび場(プレイカー)」の活動を資金や学びの面から応援します。
災害時は、各地の仲間と連携してプレイカーや専門ボランティアが現地に駆け付け、あそび場をひらき、こどもたちの心を守ります。
そして、あそびの大切さを社会に伝え、「あそび」をみんなの当たり前にしていきます。
「どんなときでも、どんなところでも」
私たちはこれらの活動を通じて、平時も災害時も、地域や状況にかかわらず、すべてのこどもたちの「あそぶ権利」が保障され、豊かなあそびを通して生きる力が育まれる社会の実現を目指しています。
なぜこの課題に取り組むか

「あそび」が、こどもたちの心を支え、地域をつなぐ
これまで私たちは、こどもに関わる複数団体で構成するプロジェクト「J-CST」(主催団体:特定非営利活動法人 Chance For All)として、プレイカーを活用し、現場でこどもたちにのびのびとあそべる環境を届けてきました。
その活動を通じて、「あそび」が持つ確かな力と、こどもたちが自ら育ち、傷を癒していく回復力(レジリエンス)を目の当たりにしてきました。
しかし、都市部・山間部に関わらず、日常の中であそぶ環境が十分にないこどもたちが多いことも、現場で強く実感してきたことです。ひとたび災害が起きれば、その問題が一気に顕在化します。
「大声で叫んでいい?」
「仮設は狭くてプラレールすら出せない」
これらは、被災地支援の現場で、実際にこどもたちから聞こえてきた切実な声です。
大きなストレスや不安を抱える環境下において、あそび道具をたくさん載せたプレイカーが到着すると、こどもたちに笑顔や日常が戻っていきました。
現地の小学校の校長先生は、「プレイカーのあそび場で、地震後初めてこどもたちが地震ごっこ、津波ごっこをやり始めた。あそびがもたらす解放によって心のケアがなされた瞬間だった。思いっきりあそぶことが何よりこどもの心のケアになると思います」と話してくださいました。
地震後、片時も保護者のそばを離れられなかったお子さんが、あそび場で夢中になっていくうちに、気づけば自然と手を離してあそぶ姿も見られました。
現場の経験を全国へ。新たな団体としての独立
全国には、こどもたちのあそびを支えようと日々奮闘する実践者がたくさんいます。この力がつながり、ノウハウ共有や安定して活動を継続できるサポート体制が構築されることで、平時のあそび環境はもっと豊かになり、災害時にもより早く、確かな支援につながります。
そこで、現場の実践から得た知見を活かし、あそびを社会のインフラとして全国に広げるための「中間支援」と「ネットワーク構築」に特化した組織として、新たに「あそび with All」を設立します。
私たちは、全国各地で日々奮闘するあそびの担い手に伴走し、平時から連携を深めることで、どんなときでもすべてのこどもが豊かにあそべる社会をつくります。
こどもたちの「あそぶ権利」を、みんなで一緒に守り育てていくために、新たに歩み始めた私たちに、どうか力をお貸しください。
支援金の使い道

皆様からいただいたご寄付は、住んでいる場所やおかれた状況に関わらず、こどもたちのあそびを守り育てるための以下の活動費用として大切に活用させていただきます。
- 移動式あそび場(プレイカー)を実践する団体への伴走支援・助成:全国の実践団体や地域コミュニティへの資金助成、およびプレイカーの担い手育成のための研修費用。
- 災害時におけるあそびを通じたこども支援:災害時に備えた全国ネットワークのコーディネート体制構築費、および緊急時のあそび場展開を支援する費用。
- あそびに関する調査研究および社会発信:あそびの実態や価値を可視化するための調査研究費、および社会全体の認識をアップデートするための発信活動費。

