私たちの取り組む課題



遊びは子どもにとって、生きる力を育む原点。
現在、多くの地域で子どもたちが自由に遊べる環境が失われつつあります。
公園でボール遊びが禁止される、遊び声が「騒音」とされる、外遊びよりもスマホやゲームに触れる時間が増える──。
その結果、子どもたちが本来持っている創造力や身体感覚、人と関わる力を育む機会が少なくなっています。
とくに、遊び場にアクセスできない家庭の子どもたちは、その影響をより強く受けています。
私たちは、子どもたちが「やってみたい!」という好奇心を原動力に、のびのびと自分を表現できる社会を目指しています。
家庭や学校とは異なる「第三の居場所」として、自由で安心できる遊び場が地域にひとつでも多く存在してほしいと願っています。
なぜこの課題に取り組むか



どんな環境にある子どもにも、等しく「遊び」を届けたい
私は大学卒業後、学童保育の現場で働き始めました。
当時、学童に通う子どもの数は急増していて、多い日には250人近くの子どもたちがひとつの施設に集まっていました。
年齢の幅も広く、現場ではさまざまな課題に直面しました。
たとえば──
「本当は行きたくない」と言いながら通ってくる子。
学年の違う子たちと過ごすことが怖い子。
理由のわからないイライラをぶつけてしまう子。
その対応に疲れ、辞めていくスタッフ。
子どもを預けることに罪悪感を抱き、「ごめんね」と言いながら迎えに来る保護者。
この状況をなんとかしたいと考えたとき、私が行き着いたのは「遊び」でした。
年齢の違う子どもたちが一緒に夢中になれるような、国内外のおもちゃを集め、準備しました。
ある日、「行きたくない」と言っていた男の子の保護者が、こんなふうに話してくれました。
「学童で遊ぶの楽しいから行きたい!って言うんです。ありがとうございます」
その言葉がとても嬉しくて、理由はなんでもいい。
「行きたいと思える場所があることは、子どもにとっても親にとっても救いになる」と心から感じました。
それから私は「遊び」について本格的に学び始め、「プレイパーク」という存在に出会いました。
プレイパークとは、子どもたちが土や水、木の枝、ロープやスコップなど、身近な素材や道具を使って自由に遊ぶ場。
既存の遊具やルールに縛られず、子ども自身のアイデアと冒険心でつくりあげていく遊び場です。
そこに集う子どもたちは、実にのびのびと、豊かな表情で遊んでいました。
「また来たい!」と笑顔で帰っていく姿を見て、「もっとたくさんの子どもにこの遊び場を届けたい」と思うようになりました。
一方で、学童でいつも「動画を見ている」「帰ったらゲームがしたい」と話していた子たちは、
こうした場所に連れてきてもらったことがなかったのかもしれない──。
なぜ、子どもにとって大切な場所が届いていないのか、もどかしい思いが募りました。
そして私自身が母親になったことで、「子どもを遊び場に連れて行くことの難しさ」にも気づかされました。
「車がないと行けない」「仕事が休めない」「夜間授乳で疲れて上の子の相手ができない」「兄弟が一緒に遊べる場所がない」
そうした理由で、行きたくても行けない家庭がたくさんあるのです。
そして改めて実感しました。
子どもに“居場所”があることは、親にとっても、どれほど安心できることかということを。
こうした経験の積み重ねから、私は「移動式遊び場」の活動をはじめました。
子どもが「ただ遊ぶ」ことは、健やかに育つために欠かせない営みです。
大人のルールや評価に縛られず、自分のペースで、失敗も成功も味わいながら過ごせる場所が、すべての子どもに必要です。
でも、今の社会にはその「当たり前の遊び」がまだ足りていません。
だからこそ、私たちは地域のあらゆる場所に“移動式の遊び場”を届け、
どんな環境にある子どもにも、等しく「遊び」を届けたいと願っています。
支援金の使い道



皆さまからいただいたご寄付は、以下のような目的で大切に活用させていただきます。
- プレイカーの購入
- 遊具や道具の購入・補修
- プレイワーカー(子どもの遊びを見守る大人)の人件費
- プレイカーの交通費(遊び場へ行けない子どもたちへの訪問)