事業の目的
この事業では、若手演奏家に向けて、Music Dialogueの音楽監督であり、世界的なヴィオリスト・指揮者の大山平一郎が塾長として3日間にわたるレッスンとリハーサルを行い、音楽づくりを学んでもらう機会を提供し、最終日にはその成果を演奏会で披露しています。
この3日間のレッスン・リハーサルでは、演奏の技術の向上だけでなく、楽譜をどう読み込むのか、人と一緒に弾くとはどういうことなのか、音楽をつくるとは何をどこまでしないといけないのか、というようなことまで含め受講者に考えてもらい、意識を変えて音楽づくりに関わるようになってもらうことを目的としています。
それだけでなく、最終日の演奏会に加えて、3日間のレッスン・リハーサルの様子を公開し、演奏家以外の方にも音楽がどう作られていくのかを体験していただける場として設定をしています。会場である旧園田高弘邸は、登録有形文化財(吉村順三による建築)に指定されている建築物でもあり、音楽だけでなく建築の美しさも来場された方に味わっていただき、芸術を多角的に体感できる取り組みとしています。
また、この塾では演奏家やお客様だけでなく、音楽事業に携わる人たち(アートマネジャー)を育てるということもミッションに掲げています。運営には音楽大学の学生に関わってもらい、塾長・受講者・聴講者・共催団体などとのやりとりや印刷物作成やプログラム解説執筆などを担当してもらい、どのようなことが運営に必要なのかを体験して学んでもらうことも目的としています。
Music Dialogueが開催する「塾」は演奏家のためだけのものではなく、お客様やアートマネジャー、地域団体、共催団体など、皆にとって学びの場を提供するものとして根付かせていきたいと思っています。
これまでの活動
2019年1月10日~13日に開催したMusic Dialogue室内楽塾 in 東京では、、日本各地に加え韓国からの参加もあり、若手演奏家9名が受講、塾長である大山平一郎と共に、ベートーヴェン、フォーレ、ブラームスのそれぞれの名曲に挑戦しました。
受講生は、年齢が18歳から30代後半まで、活動地域も東京、札幌、フランス、ソウルと、幅広いバックグラウンドを持つ、通常であれば出会うことがない演奏家同士が一緒に室内楽を通して音楽づくりを学びました。
演奏者たちは精神的にもアップ・ダウンが激しい3日間のレッスン・リハーサルを乗り越え、最終日の発表会では皆、初日と比べると別人のような演奏を披露してくれました。受講者たち自身にとっても、「こういうプロセスを経たらこんな深い音楽を作れるんだ」という驚きがあったとともに、自信につながったようでした。
この時の運営には音楽大学の学生2人(大学3年生と大学院2年生)に関わり、準備段階から演奏会までの間、運営に必要なやり取りや印刷物作成、プログラム解説執筆やご来場された方への対応など、アーツマネジメントを総合的に体験してもらいました。プログラム解説執筆についてはプロのライター(Music Dialogueサポーター)にメンターとしてついてもらい、学生が書いたものを何度も添削してもらいました。
これまでの事業成果
受講生からは、終了後に「こんな風に楽譜を深読みできるなんて初めて体験した、もっともっと一緒に学ぶ機会が欲しいです」といったコメントや「北海道からきて、東京の演奏者のレベルの高さに驚きながらもなんとか必死にがんばった。北海道に戻ったら学んだことを室内楽の仲間と共有したい。ものすごい刺激になりました」という他の演奏家にも影響を与えるような体験となったことが分かるようなコメントが寄せられています。
留学の経験がある受講生からは「ドイツから帰国して何年も経つうちに日本基準に染まってしまっていたことに改めて気づいた。留学中も先生に問題点として指摘されていたことを今回も指摘され、日々の仕事に追われて根本的に解決していなかったと反省。時間をかけてでも、また気持ちを新たに取り組んでいきたいです」と、受講生が抱える問題に深くアプローチできたことが分かりました。
事業の必要経費
〇謝金:講師への謝礼
〇会場費:4日間の会場費とピアノ使用料・調律料
〇宿泊費
〇広告宣伝費:チラシなどの印刷費、記録の作成費
〇企画制作費
〇通信費:リハーサル聴講や最終日の演奏会の申し込みフォームの管理費