私たちの取り組む課題
音楽療法士という職業が学会の認定資格となって20年を超えましたが、まだ、「音楽療法士」は国家資格ではありません。でも、音楽療法士によって意図的に構造化され、計画された音楽活動が、人が生きていく上で避けては通れない老化や思いがけない心身の病や障がいによる生活の困難を軽減したり、つらい症状を軽くして服薬の量を減らせたり、心身の機能を日々、維持・回復させたりすることは、少しずつ知られるようになってきました。私たちは、こうした効果を、誰にでも体験的に知ってもらうことができるよう、幼いお子さんからご高齢者まで、障がいの有無にかかわらず参加していただけるような「音楽療法ライブ」を、いろいろな形で、いろいろなご依頼に合わせて行ってきました。その背景には、実際に自閉症スペクトラムや遺伝的な障がいのあるお子さんたちと続けてきた20年間の臨床経験があります。かれらは、みな大人になりましたが、言葉ではうまく自分の欲求や思いを表現できなくても、周囲の人たちにこれを伝えようとすることを諦めていません。それがどういうことかといえば、自分に係る人たちとの関係をちゃんと保てるということです。通じないからと心が他者との関係を断ってしまうと、人は自閉的になり、社会全体の統合的な動きに無関係な生き方を始めます。でも、諦めなければ、誰かに手を差し伸べてもらえる人であり続けることができます。一人でも多くの人が、社会とつながり続けることを諦めないで生きられるよう、音楽というコミュニケーション・ツールを用いて、音楽という芸術活動を通して、私たちはかれらとともに訴え続けていきたいと思います。
なぜこの課題に取り組むか
代表の中井深雪が音楽療法を用いて幼稚園就園前の子どもたちと音楽活動をするようになったのは1996年のことでした。やがて、さまざまな社会福祉施設からのオファーをいただき、都内5つの施設で障がい者の方々の音楽療法を行うようになりました。音楽療法士が、それぞれのノウハウでさまざまな対象と音楽療法を行うようになっていったこの20年間、私が考え続けたのは、どうしたらみなさんが、一生楽しく音楽できるか、ということでした。おかげさまで、どの施設も20年以上おつきあいさせていただいています。3歳だったお子さんが24歳!18歳だった利用者さんが40歳!でも、その音楽歓迎のまなざしは今も少しも変わりません。
ただ、もっと驚いたことが実はありました。それは、アシストに入ってくれた他の若い音楽療法士たちのうち、月に5日以上一緒にセッションしていたような人たちに、心身の不調が消えていくという変化が相次いだことです。朝起こした腹痛や頭痛、倦怠感などが、セッション1回するだけで治った、というのはザラで、一時期(10年くらい)ぜんそくや花粉症が出なくなった人や、中には良性の脳腫瘍が小さくなって、諦めていた妊娠が叶ったという人までいたのです。彼女たちは、みな女性でしたが、必ずしもセッションの間、歌っていたわけではありません。等しく言えることは、リズムに乗って動き回っていたことと、歌に合わせているので頭の中では歌も歌っていただろう、ということくらいです。つまり、人の心身を健康にしてくれる音楽活動とは、乗れる音楽で体が動いた、という活動なのです。
私たちは、やはりこうした計画に沿った音楽活動は、人々の心身を真に健康に、幸せにする可能性を持っている、と確信したくなりました。
そこで、より多くの人たちにそのノウハウを伝えて、音楽を介したコミュニケーションをもっと増やしたい!という思いで、人々の「不調」を調整できる音楽活動の提供に取り組んでいるのです。
寄付金の使い道
私たち「心のおしゃべり音楽工房」は、日本の各町で地域の方々とちゃんと繋がることのできる音楽療法士を増やし、一人でも多くの市民のみなさまの心身の健康に欠かせない音楽療法を普及させていきたいと考えております。
そして、様々な問題を抱えておられる方・親子・家族・あるいは介護者など、心の繋がりやバランスを崩しそうな方たちに対して、音楽療法を通じて、その緩和や解決の道しるべとなる活動をして参ります。
このような新しい仕組み作り・プロジェクトの立ち上げ・イベントの開催・楽器の購入と維持には多くの費用が必要となります。
NPO法人として活動している私達にとって、皆様のご支援が必要不可欠でございます。想いに共感してくださった皆様とともに、私達は、優しい音、優しい声に溢れた社会を目指します!
ぜひとも、御寄附にご協力をお願い申し上げます。